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ポルシェが中国にて苦境に立たされる。「ポルシェのEVが売れないので正規ディーラーにて値引きを行わざるを得ず、その分の損失を本社に要求」との報道

ポルシェ

| 一時ポルシェとディーラーとの間で緊張が高まったようだが、両者は解決策を模索すると声明を発表 |

そしてこの問題は今後ほかの自動車メーカーにも波及するであろう

さて、中国ではいまだ160もの振興EVブランドが存在するとされ、日米欧の自動車メーカー製EVがこれに押される形で販売を失っているのは既報の通り。

しかしそれは多くの場合「普及価格帯」におけるクルマでの話であってプレミアムカーブランドにはさほど影響がないと見られていたわけですが、今回中国にて「ポルシェのEVの売れ行きが悪化して値引き販売せざるを得なくなり、ディーラーがその分の損失をポルシェ本社に求めている」という報道がなされることに。

中国自動車業界に異変発生。「PHEVがガソリン車よりも安く売られ」EVより大きく成長する可能性も。さらにEVの安売りも加速し「ほとんどの新興EV企業が値引き戦略を採用」
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ポルシェは2023年、中国での販売を15%失う

参考までに、ポルシェは2023年に中国市場での販売を15%失っていて、今年はさらにそれが悪化するとみられています(ポルシェ自身もそれを認めている)。

そして現地ディーラーでは販売目標を達成するため、EVを値引きして販売せざるをえなくなり、そして値引きの分だけ損失を被っていると報じられているわけですね(参考までに、中国ではノルマの強要、販売目標達成のために在庫を抱えさせることは違法である)。

今回なされている報道は「中国のポルシェディーラーグループ3社が、ポルシェ本社に対し、新車在庫の補助金という形で損失の補償を求めた」というもので、ディーラーによれば「ポルシェからは好意的な回答を得られなかっただけでなく、ポルシェは該当ディーラーに対して新車在庫の送付を停止した」と報じられ、現地で緊張感が高まっている様子を伺えます。

ちなみにですが、北米でもちょっと似たような事件があり、北米のポルシェディーラーが「CIに沿った店舗を建設するよう」ポルシェから強要され、これを拒否すると(北米ではこういった強要は違法である)ポルシェが新車を回してくれなくなったといった報道も。

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ポルシェ
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それはともかくとして、話を中国のディーラーに戻すと、この一件を受け、ポルシェと中国のディーラーは「複雑な問題に直面しており、市場の変化に対応する効果的な方法を見つけるために協力する」という声明を発したとも報じられ、この問題の大きさを物語っているように思います。

もちろんこれは他の外国の自動車メーカーにとって警告となることは間違いなく、すでに中国は、需要と供給の両面で世界最大の自動車市場となっていて、中国国内における自動車登録台数は2023年に約2,580万台にも上り、約11%の増加を示しています。

一方で今回の報道は、差し迫った(米国での)報復関税とEV価格戦争がすでに発動している中、日米欧自動車メーカーは戦略の多様化を検討する必要があるであろうことを意味していて、今後の戦略に大きな影響を与えることとなるのかもしれません(具体的には、PHEV重視となるであろう)。

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BYD
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中国でのポルシェのEVの魅力の低下は、プレミアムブランドにとって広範な問題を定義する

この問題はおそらく一過性のものではなく、というのもウォールストリートジャーナルによると、ポルシェの中国での第1四半期の納車台数は前年比24%減、フェラーリの納車台数も同四半期に前年比25%減となったほか、メルセデス・ベンツとBMWにおいても、第1四半期の中国での販売台数が前年比で減少したと報じられているから(ただし中国は激しく販売が上下するので、すぐに売上が戻る可能性も)。

さらにハイファッションブランド(ルイ・ヴィトンやグッチなど)の多くも中国の景気減速のおありを受けて売上減に見舞われる一方、自動車業界は別の課題にも直面していて、現在中国製EVはより手頃な価格になっているだけでなく、伝統的にドイツが支配してきた高級セグメントの現実的な代替品として見られるようになっています。※シャオミSU7はひとつの例であると考えられる

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35万元(約720万円)以上の自動車を購入する人は依然としてドイツブランドを好むという統計もあるそうですが、今後市場が変化することも十分に考えられ、実際にBMW、メルセデス・ベンツ、アウディなどは、25万元(約510万円)以上の価格帯においてかつては優位に立っており、2020年には60%の市場シェアを誇っていたものの、わずか3年でそのシェアは45%に落ち込み、テスラ、BYD、Li Autoがその売り上げを奪っているという現実も。

この理由の一つには中国製自動車の競争力や魅力が向上したということもあるかとは思うものの、中国市場の根本にある「愛国精神」が大きく影響しているのかもしれません。

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参照:Jiemian News, Wall Street Journal

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