| 詳細は不明だが、最初に申し込んだ人は「間違って表示された安い価格で」パナメーラを購入した可能性が高い |
いったいなぜこういった間違いが起きたのかはまったく不明
さて、中国北部、銀川にあるポルシェの正規販売店がインターネット上にパナメーラの広告を出し、その価格が「単純な間違いで」実際の価格の1/8以下に設定されており、大混乱を招いたというニュース。
報道によれば、このポルシェディーラーは、オンラインにてパナメーラを124,000元(現在の為替レートで約238万円)で売りに出し、その際には911元(約18,000円)の予約金を申し受けると記載したものの、これは998,000元(約1912万円)の単純な間違いだったもよう。
ただし人々は「幸運なプレゼント」受け取り予約が殺到
しかしながらネット上では「ポルシェ・パナメーラがバーゲンプライスで販売されている」と受け取られ、そのために購入希望者が殺到し(数百人だと報じられている)、実際にそれら購入希望者が911元の予約金を支払ったと報じられています。
その後、この銀川のポルシェセンターは「表示していた販売価格に重大な誤りがあった」という声明を出すことになりますが、これはドイツのポルシェ本社の知るところとなり、ポルシェAGも「間違いに気づき、販売店はすぐに誤った情報を削除した」とコメントする事態にまで発展しています。
ただ、そこからがこのポルシェセンターの「災難」で、数百人とされる予約者全員にコンタクトをとって不手際を謝罪し、48時間以内に予約金を払い戻すという約束をすることになったものの、ちょっと興味深いのが、このキャンペーンにおいて「一番最初に予約した人」にはどうやら本当に幸運が訪れたようであり、現地ポルシェセンターによると「在庫として保有していた一台を、合意できる価格にて販売できるように交渉した」。
その金額については公表されておらず、しかし正規販売金額(1912万円)を下回っているものと考えられ(安い価格に惹かれて申し込んだ人なので、その人が正規の価格で購入するとは考えにくい)、もしかすると当初の記載のとおり、124,000元にて販売したのかもしれません。
こういった場合、販売店は「提示した価格」で販売する義務はある?
参考までに、日本でもこういった「価格表示間違い」による大きな騒ぎが何件か発生していて、有名な例としては丸紅やアマゾンでの間違いが記憶に残ります。
そしてこういった間違いがあった場合、販売者はその価格での販売を拒否できるのかどうかということが常に議論の的になりますが、民法上は「間違った側」の救済措置として、その取引を無効とする「錯誤取り消し」を適用することができる可能性も。
しかし一方、購入者の権利も保護されており、重過失が(販売者に)あった場合は取引を取り消すことができないとも定められており、販売者がとうぜん注意すべき重要な要素である「価格」に対する注意を怠った場合は「重い過失がある」とされ、取引を取り消しすることができないケースもあるようです(丸紅は記載価格の1/10でPCを売りに出したが、結果的にはその価格で購入者全員に販売し、該当サイトを閉鎖した)。
中国での法律がどうなっているのかはわからないものの、様々な報道を見る限りでは「消費者の保護」的側面が強いように思われ、かつ中国はポルシェにとってもっとも大きく、そして重要な市場です。
2022年だとポルシェの販売が309,884台であるの対して中国での販売は93,286台(つまりポルシェ3台のうち1台が中国で販売されている)となっており、国民感情を損ねないためにも「もともと提示の価格」で販売したのでは、と考えています。
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参照:Bloomberg