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このクルマに足りないのは情熱的なオーナーのみ。あまりに美しいフェラーリ308GTB「ヴェトロレジーナ」が中古市場に登場、工場出荷時と同じ仕様にまで復元される

2023/07/29

このクルマに足りないのは情熱的なオーナーのみ。あまりに美しいフェラーリ308GTB「ヴェトロレジーナ」が中古市場に登場、工場出荷時と同じ仕様にまで復元される

| ただでさえ珍しいフェラーリ308GTB「ヴェトロレジーナ」、しかもボディカラーはレアなオロ・キアロ |

この希少な組み合わせによるコレクション価値は非常に高い

さて、「フェラーリと言えばロッソ(レッド)」という認識は世界共通かと思いますが、現在ジワジワと人気を上げているのがレッド以外のカラー、しかも淡いメタリック系のヘリテージカラー。

その理由は不明であり、ロッソのフェラーリをあまりに見慣れてしまったからなのか、ロッソ以外のフェラーリが珍しく希少価値が高いと認識されるようになったからなのか、はたまた近年のフェラーリのデザインが過去を強く意識したものだからなのか。

そして今回RMサザビーズのプライベートセールスに登場したのがこのオロ(ゴールド)・キアロのボディカラーをまとう1977年製のフェラーリ308GTBです。

Ferrari-308-GTB (21)

このフェラーリ308GTBは「極めて珍しい」存在でもある

このオロ・キアロはフェラーリ創業当初こそ珍しいカラーではなかったそうですが、「フェラーリ=レッド」という認識が持たれるようになったのちは非常に希少なボディカラーに。

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さらにこの308GTBについては、(308GTBの)生産初期のみに712台が製造された、そしてもちろん人気の高いグラスファイバー製ボディ「ヴェトロレジーナ」を持っており、まさに”希少車中の希少車”とも言える個体です。

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このフェラーリ308GTB”シャシーナンバー20695”は当初ドイツ向けヨーロッパ仕様として製造されており、ケルンとフランクフルトの中間に位置する小さな町、ドイツのハダマールに住むベルナルド・クマーに新車で(1977年2月14日に)納車されたという記録が残ります。

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見ての通りオロ・キアロにタン・レザーという「低コントラスト、そしてエレガント極まりない」仕様を持っていますが「曲線と曲面からシャープなウエッジシェイプへ」移行する過程にあった308GTBにもよくマッチしているようですね。

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そこからこのフェラーリ308GTBはこういった経歴をたどっている

上述の通り、このフェラーリ308GTBはドイツにて新車で納車され、その後1980年代にはヨーロッパからカリフォルニアに渡り、サンフランシスコのベイエリアに住むトニー・ライトなる人物の手に渡ります。

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トニー・ライトはこのクルマをレッドに再塗装した後(けっこうレッドにリペイントする人は多い)、パトリック・オティスに売却しますが、このパトリック・オティスは現在、アメリカを代表するヴィンテージ・フェラーリのレストアおよびスペシャリストとして知られている、とのこと。

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その後、クルマはアメリカ東海岸に移り、2005年秋にメリーランド州アナポリスのドン・ヘクラーが(フェラーリ・クラブ・オブ・アメリカの創立メンバーの一人、ジョン・デラメーターを通じ)購入することに。

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ドン・ヘクラーがは、フェラーリに詳しい人物であり、RMサザビーズのプライベート・セールス・チームに対し、ドン・ヘクラーは「この308GTBは素晴らしいクルマであり、アメリカ北東部各地のイベントに定期的にこのクルマで出かけ、サーキット・イベントのためにワトキンス・グレンまでドライブしたこともあった」とコメント。

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ただ、同氏の所有期間中、鹿との衝突事故でフロント・スポイラーとノーズにダメージを受けたことがあるそうで、ただし現オーナーの購入条件として購入前点検が行われた結果、構造的なダメージはないことが判明しており、損傷したパーツについては、新古品パーツ(もちろんヴェトロレジーナ)に交換され修復されている、とも説明されています。

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そうして2009年秋には現オーナーの所有となりカナダに輸入されることになりますが、そこからオンタリオ州トロントのロックス・オートモーティブ・レストレーションによるレストア作業が開始され、そこでオリジナルの「オロ・キアロ」へと戻されて現在の姿に(元のカラーがオロ・キアロということは分解中に判明したらしい)。

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このロックス・オートモーティブ・レストレーションは308のスペシャリストとしてカナダのフェラーリ界で高い評価を得ているといい、実に1,200時間を費やして内外装はもちろん機関含めて「製造時の状態」へと戻すこととなっています。

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唯一工場製造時と異なるのは(当時オプションとして提供されていた)欧州仕様のフロントスポイラーを装着していることですが、現オーナーはUS仕様のスポイラーも補完しており、いつでもその仕様へと戻せるということも説明がなされています。

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インテリアはオリジナル同様にタンカラーのコノリーレザーへと張り替えられ・・・。

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エンジンもフルリビルトがなされています。

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レストア完了後、このフェラーリ308GTBは2018年にニューヨーク州ワトキンス・グレンで開催されたフェラーリ・クラブ・オブ・アメリカの例年ミーティングに持ち込まれ、その審査では99.5点を獲得し、プラチナム賞(97点以上)を受賞したという経歴も。

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また、集中的な検査と評価により、車両のすべてが工場で設計された通りに完璧に作動していると判断された車両のみに与えられる「コッパ・ベッラ・マッキナ賞」も受賞したとされ、他の308、328、348、355、360を抑て、このショーで最高の "3シリーズ "フェラーリに選ばれたのだそう。

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現在の走行距離は99,000km弱で、レストア完了後に走行したのはわずか1,000km強のみ。

オリジナルの保証書を含むマニュアル一式、収納ケース、コンクールでの受賞証明、バルブキット、ジャッキ、非常灯、警告灯、三角停止板、非常用ウインドウクランクを含むツールキット、レストア前とレストア中のレシートや写真を含むヒストリーファイルが付属している、とのこと。

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参照:RM Sotheby's

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