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| 約1,200馬力のハイブリッドスーパーカーに搭載された“止まる力” |
このブレーキ性能は、F1マシンのようなサーキット由来のテクノロジーによって実現される
フェラーリが誇る最新スーパーカーFerrari F80(フェラーリF80)は「加速性能が突出しているだけでなく、驚異的なブレーキ性能」を持つことが明らかに。
これはフェラーリが公式動画によって示したもので、ハイブリッドパワートレインによって0-100km/h加速をわずか2.15秒でこなすのみではなく、時速200kmからわずか98メートルで完全停止することが示されています。
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サーキット仕込みのブレーキ技術を市販車へ
シリコンカーバイドコーティングで熱を制御
フェラーリF80には、シリコンカーバイドコーティングされたモータースポーツ由来のブレーキディスクが採用され、フェラーリによると「これにより、高温時でも安定したブレーキ性能を発揮し、長時間の走行でもパフォーマンスが低下しにくくなった」。
空力とダウンフォースもブレーキングに貢献
F80の高い空力性能と垂直ダウンフォースは、単にコーナリング性能を高めるだけでなく、制動時の安定性と短距離での減速にも大きく貢献していますが、フェラーリは296スペチアーレ / 296スペチアーレAにおいてもリアスポイラーの動作を3段階に調整することで「エアブレーキ」として機能させるという手法を取り入れています(ただ、マクラーレンほど複雑な動作ではないようだ)。
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0-200km/h加速 5.75秒、トップスピードは350km/h超
F80のパワートレーンは、3.0リッターV6ツインターボエンジン(900馬力)にF1由来のMGU-Kを搭載した電動フロントアクスル(300馬力)を組み合わせ、システム合計出力はなんと1,200馬力にも達します。
主なパフォーマンススペックは以下の通りですが、いずれの数値をとっても「フェラーリ史上最高」レベル。
とくに今回島された「停止能力」については比類なく、ローマの「時速200キロから停止まで」の距離が113メートルであることを考慮すると、F80の「98メートル」という数字がいかに驚異的であるかがわかります。
- 0-100km/h加速:2.15秒
- 0-200km/h加速:5.75秒
- 最高速度:350km/h
- 100km/hからの停止距離:28メートル
- 200km/hからの停止距離:98メートル
参考までに、「時速100キロから停止まで」につき、ほかのフェラーリだとざっと以下のとおりです。
- フェラーリ 488 GTB: 29.5m
- フェラーリSF90ストラダーレ 29.5m
- フェラーリ 599GTO: 32.5m
- フェラーリ モンツァ SP1 & SP2: 32m
- フェラーリ カリフォルニア T: 34m
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フェラーリがF80を「公道のレーシングカー」と豪語する理由
フェラーリはF80を「レースカーを公道で楽しむための究極のマシン」と位置づけていますが、その理由は「ブレーキ、加速、ハンドリング、すべての要素においてF1テクノロジーと公道の快適性を融合させたることで驚異的なパフォーマンスを実現したため」。
スーパーカーに求められるのは速さだけではなく、「速く止まれる」ことも安全性と総合性能の証明となり、F80はまさにその両方を高次元で両立した、フェラーリの次世代スーパーカーと言えそうです。
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より速く、より短く止まることができれば、それだけアクセルを開けることができる時間と距離も長くなる
参考までに、エンツォ・フェラーリはブレーキに関してはあまり重視していなかったという記録が残っていて、実際に「レーシングカーにディスクブレーキを採用したのはかなり後になってから(ジャガーがいち早くディスクブレーキを導入したのとは対象的である)。
エンツォ・フェラーリにとっての「速いレーシングカー」とは、強力なエンジンを積み、直線でタイムを稼ぐクルマであったとされており、これが「フェラーリが売るのはエンジンであり、車体はオマケ」というポリシーにつながっていたのだと思われます。
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ただ、現代では「いかに速く、短い距離で止まれるか(スピードを落とせるか)」がレースにおいて非常に重要な要素となっていて、制動距離が短いということは裏返せば「それだけアクセルを開けている時間が長くなり」つまり高いスピードを保てる距離も長くなるわけですね。
その意味では、ブレーキ性能の強化もまたエンジンパワーを活かすための重要な意味を持つと考えてよく、このF80のブレーキ性能については、エンツォ・フェラーリも「天国で」頷きながら満面の笑みを浮かべているのかもしれません。
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フェラーリがF80のブレーキについて解説する動画はこちら
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参照:Ferrari