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ランボルギーニが合成燃料の開発を開始!「いかなる手段を用いてもガソリンエンジンを存続させ、そのためにはハイブリッドも活用する」

ランボルギーニ

| ランボルギーニは他の自動車メーカーとはやや異なる「電化への」姿勢を持っている |

なおウラカン後継モデルについては「ターボ」の可能性を否定出来ないようだ

さて、電動化に熱心なフォルクスワーゲングループの中において「ガソリンエンジンにこだわっている」のがランボルギーニ。

以前はランボルギーニに加えてブガッティもガソリンエンジンで「行けるところまで行く」というスタンスであったものの、リマックとの合弁による新会社「ブガッティ・リマック」を設立するに際してそうもいっていられなくなり、この8月に発表されるであろう「シロン・ロードスター(仮称)」を最後にハイブリッドもしくはピュアエレクトリックへと移行すると言われます。

そんな中、EUの「合成燃料に対するスタンス」を注視していると言われたランボルギーニが「ポルシェの合成燃料プログラムと並行して、合成燃料の開発プロジェクトを立ち上げた」との報道。

ランボルギーニ
ランボルギーニはまだ「完全に電動化するかどうか」について最終判断を下していない?合成燃料(eフューエル)に対するEUの対応を注視しているようだ

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電動化だけがカーボンニュートラルへの道ではない

なお、この合成燃料(Eフューエル)は「従来のガソリンエンジンにそのまま使用できる」というもので、ガソリンエンジンをカーボンフリー化して将来にわたり合法に販売し続けることを可能とするものです。

もう少し踏み込むならば「燃料を燃焼させて走る」ので、その際にはCO2を排出するのですが、その燃料を生成する段階においてOC2を吸着させるため、「製造段階においてCO2を減少させた」燃料を使用して「CO2を発生させながら走る」ことになり、つまりは”プラスマイナスゼロ”という解釈です。

ただ、この合成燃料を「カーボンフリーと認めるかどうか」については国や団体、地域によって差異があり、最近EUはこれについて「カーボンフリーと認めていいんじゃないか」という解釈がなされたところで、これによってランボルギーニはその方向性をやや変化させたと考えて良さそうです。

参考までにですが、ランボルギーニは来年にアヴェンタドール後継となるハイブリッドスーパーカー、2024年にはウラカン後継としてのハイブリッドスーパーカー、そして同じく2024年にはウルスのハイブリッドモデルを発表し、さらに2028年頃にはランボルギーニ初のピュアエレクトリックカー(4人乗りのハイライダークーペになる可能性が大)を発売するという計画を公表しています。

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ランボルギーニ・ウルス
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ランボルギーニは「独自」にEフューエルを開発

今回の「ランボルギーニが合成燃料の研究を開始」ということについて、ランボルギーニのアジア太平洋地域ディレクターであるフランチェスコ・スカルダオーニ氏がカーメディアに語った内容だとして報じられており、それによると「我々は合成燃料を使った内燃機関のためのドアを開いたままにしておきます。我々にとっての理想的なシナリオは、2028年に導入する4番目のランボルギーニでもあるピュアエレクトリックモデル、そしておそらく合成燃料で走る内燃機関を搭載するスーパースポーツというラインアップです。そうすれば、ランボルギーニにとってのスーパースポーツカーの純粋なDNA、内燃エンジンのドライバビリティ、スーパースポーツカーのエモーションを維持し続けることができるのです」。

加えてフランチェスコ・スカルダオーニ氏は「我々はこのプロジェクトを立ち上げたばかりです。そのための予算を新たに計上し、このプロジェクトを進めるために石油会社との協業を開始する予定です」と続け、ポルシェが研究を行っている、より高度な「バイオ燃料」プログラムに参加することはないだろうともコメント(つまりランボルギーニはEフューエルのみを研究対象とする)。

ただ、興味深いのは、ランボルギーニとポルシェは同じグループに属しているのにそれぞれ別の方法でEフューエルの研究を進めることで、同氏によれば、「私たちは今、並行した道を走っています。我々は独自の合成燃料チャネルに投資しており、ポルシェも同様に投資を行っています。我々はガソリンエンジンを生き残らせるために、この潜在的な方法に挑戦し、開発するための独自の方法を持ちたかったのです」。

ランボルギーニ・ウルス

この真意については測りかねるものの、簡単に言うと「ポルシェに依存すると自社での決定権が無くなってしまう」ため、自社独自のEフューエル確保の手段そして流通手段を持ちたかったということなのかもしれません(ポルシェに依存すると、もしポルシェがある日、Eフューエル撤退といい出したら、それに従うしかなくなる)。

しかしながらランボルギーニは「まだ研究に着手しようという段階」であり、逆にポルシェは実用化の域にまで達しており、「ポルシェのほうがずっと先にいる」ことも理解していて、それでもポルシェに「相乗り」するのではなく、自分たちがEフューエルを理解しつつ、先に進むためには独自のプロジェクトを持つしかなかったとも語っています。

ランボルギーニがEフューエルの開発を行うのは「顧客のため」

今回ランボルギーニが「合成燃料の開発を行う」と決めた理由の大きな部分は「顧客のため」だといい、ガソリンエンジン(内燃機関)を支持する顧客の声に耳を傾け、そういった顧客の要望を満たすためだといいます。

そしてアヴェンタドール後継モデルに「V12自然吸気エンジンを積む」のも顧客を第一義に考えたためで、そうすることで「電動化の流れにやや抵抗のある顧客」にも受け入れられる製品づくりを行おうという意向があるもよう。

なお、合成燃料を使用した場合、規制さえ許せば「ガソリンエンジンオンリー」での走行が可能となるものの、もうひとつ大きな壁が存在し、それは”騒音規制”。

仮に合成燃料を用いることでガソリンエンジンのみで走行させることが可能となっても、騒音規制をクリアさせるためにサウンドが「小さく」なってしまってはランボルギーニのファンがこれを許容しようはずもなく、よってランボルギーニとしてはこれを回避するために「ハイブリッド」を使用するとも。

おそらくはプラグインハイブリッド化によって、エレクトリックモードでの走行を可能とし、これによって騒音規制に合致させようということなのだと推測しますが、実際にフランチェスコ・スカルダオーニ氏は「ハイブリッド化されたパワートレインを採用しようと思ったのは、エンジンの音を生かすためなのです。ハイブリッドシステムの良さは、エンジンのサウンドをそのまま楽しめることですから」と述べています。※フェラーリは株主向けの決算発表会にて、騒音規制がドライビングプレジャーをある程度阻害することになるとも発言しているので、スーパーカーメーカーは今後、この対策が必要となるのは間違いない

ランボルギーニ・ウラカンEVO RWD

ちなみにですが、ターボチャージャーはその構造上、エンジンサウンドを抑えつつパワーを向上させることができるものの、ランボルギーニとしてはアヴェンタドール後継モデルに対しては「ターボではなくハイブリッド」を採用し、しかしウラカン後継モデルがターボを採用するかどうかについては「その種の情報はまだ公表できない」と言葉を濁していて、つまりはウラカン後継モデルに関してはターボ化の可能性も残されていると考えておいたほうが良さそうです。

最後にフランチェスコ・スカルダオーニ氏は「私たちは、このハイブリッド計画への移行に重点を置いており、これは、最高ドライビングエモーションやサウンドを持ち、現在のクルマよりも優れたパフォーマンスを発揮するクルマを作るために必要なことなのです。そして私たちはあのサウンドの感動をもう一度味わえるような市販車だけに焦点を合わせてゆきます」と語っていて、スーパースポーツセグメントにおいてはピュアエレクトリックモデルよりもハイブリッド、しかし4人乗りモデルについてはピュアエレクトリックという構成をイメージしているものと解釈できそう。

そのほか、同氏はフェラーリのICONAシリーズ(モンツァSP1/SP2、デイトナSP3)のような”ガソリンオンリー”超少量生産モデルについても「可能性を排除しない」と語っており、以前に示された「サーキット走行専用のV12自然吸気エンジン搭載モデル」とともに、なんらかの形でノンハイブリッドモデルも生産され続けることになるのかもしれませんね。

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参照:Drive

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