| マセラティ・ブーメランはボクの中で「高い地位」を占めるコンセプトカーのひとつでもある |
今回のレンダリングはまさに「過去から現在、未来」への橋渡しでもある
さて、レンダリングアーティスト、ディーン・ソン氏が「もしもマセラティ・ブーメランが現代に蘇ったら」というCG作品を公開。
マセラティ・ブーメランは1972年にマセラティが発表したコンセプトカーですが、当時の流れに沿った未来的なルックス、そして低く構えたスタイルが特徴です。
なお、ぼくは低くて角張ったクルマが大好きなので、同じ時代のランチア・ストラトス・ゼロ、アルファロメオ・カラボ、フェラーリ・モデューロ、ロータス・エスプリ、デロリアンDMC-12などとあわせ、このブーメランもぼくの中では「殿堂入り」となっているクルマです(もちろんランボルギーニ・カウンタックも)。
-
ランチア・ストラトスの「元祖」。今も多くの人に影響を与える「ストラトスHFゼロ・コンセプト」はこんな車だ
| ランチア・ストラトスはもともとこんな車だった | 「ニュー・ストラトス」の発売が巷を沸かせていますが、「元祖」ストラトスといえばこの「ランチア・ストラトスHFゼロ・コンセプト(1970)」。正 ...
続きを見る
イタルデザイン・ブーメラン2023はこんなクルマ
なお、今回発表されたレンダリングの正式名称は「イタルデザイン ブーメラン2023」。
つまりマセラティの名ではなく、ブーメランをデザインしたイタルデザインの名を使用しており(ただしフロントにはマセラティの”三叉の銛”エンブレムが装着されている)、初代ブーメランの登場から「51年後」にこの作品が作られたわけですね。
そしてこのイタルデザイン ブーメラン2023は初代ブーメランの特徴を非常によく捉えていて、フロントからリアに至るまでの「一筆書き」つまりワンモーションフォルム、広いグラスエリアや・・・。
特徴的なサイドウインドウもしっかり再現。
さらには現代ならではのライティング技術を盛り込んだ近未来的な仕上がりに。
なお、このイタルデザイン ブーメラン2023のパワートレーンについて言及はなされていないものの、テールパイプが見えないことから「おそらくは」ピュアエレクトリックパワートレーンを搭載するのでは、と推測しています(オリジナルのブーメランのテールパイプ周辺のデザインを模したと思われるディティールも見られる)。
マセラティ・ブーメランはこんなクルマ
そこでオリジナルのマセラティ・ブーメランについて触れておくと、これは1972年のトリノ・モーターショーにて発表されたコンセプトカーであり、ベースとなったのはマセラティ・ボーラ(310馬力を発生するV8エンジンを搭載し、最高速は300km/h近い、とされる)。
(この前にデザインされた)アルファロメオ・イグアナにて採用されるボンネットの凹み、タピロの前端とベルトラインの形状などがブーメランにとってのインスピレーションとなっており、「曲線がほぼなく、ローラーで平坦にされたかのような」面のみで構成されることが外観上の特徴だと言えますね(そしてこれらが1975年のロータス・エスプリにつながっている)。
フロントガラスの傾斜角はマンタよりも2度低い13度で、この角度は「寝すぎている」ためにガラス製造業者からは「視界が歪んで見えなくなる」という苦言もあったもよう(同様のガラス傾斜角を持つエスプリは1972年にプロトタイプが発表されたものの、この問題を解決するために1975年まで生産開始が延期された)。
マセラティ・ブーメランのボディサイズは全長4,342ミリ、全幅1,860ミリ、全高1,070ミリというもので、ランボルギーニ・ミウラの「1,055ミリ」のほうが意外にも低い、ということになりますね。
なお、このブーメランはトリノショーへと展示された後にコレクターへと売却され、その後数人の手を経て現在も個人コレクターが所有しており、時折ヒストリックカーイベントへと登場する様子が報じられています。
そして当時のコンセプトカーにおいて興味深いところは「思い切ったインテリアを持っていた」ということで、もちろんこのブーメランについてもそれは例外ではなく、ステアリングホイールの内側にメーターを内蔵するという斬新な構造を持っています(グリップ部分のみが回転する)。
ただしこれは「見た目の奇抜さ」のみを狙ったものではなく、当時高まっていた安全性に対する機運への回答でもあり、「正面衝突の際にコラムが後方に移動するのを防ぐ」ために開発された”チェーン接続による分割ステアリングコラム”の採用、そして「エアバッグの装着を視野に入れ」ステアリングホイールの内側にスペースを設けるといった新しいチャレンジが盛り込まれた結果でもあるわけですね。
参考までに、イタルデザインはこのステアリングホイールにつき、「これまでジウジアーロが作ったステアリングホイールの中で間違いなく最高」だとコメントしています。
合わせて読みたい、レンダリング関連投稿
-
こんなん走ってたら絶対にビビる。「もしもアルファロメオがトラックを発売したら」というレンダリング
なお、アルファロメオは今までに商用車を発売したことはない 韓国のデザイナー、Taekang Lee氏の考えた「アルファロメオ・トラック・コンセプト」。読んで字のごとく「アルファロメオがトラックを作った ...
続きを見る
-
フェラーリ・ローマ「ブレッドバン」?CGデザイナーが秀逸なレンダリングを作成、これは実際に発売して欲しいかも
| フェラーリ250GT SWBブレッドバンの特徴をうまく踏まえつつも独自の仕様に | フェラーリはかつて「FF」「GTC4ルッソ」を発売したことがあるだけにシューティングブレークの発売を期待したい ...
続きを見る
-
もしも1967年にランボルギーニがアリタリアをスポンサーにNASCARに参戦していたら?「本当にあった話」のようにリアルなレンダリングが登場
| ミウラがモータースポーツに参戦し、サーキットを駆け抜ける姿を見たいと思っていたのはぼくだけではないはずだ | この「アリタリア」カラーを(ストラトス用に)アレンジした人はまさに天才 さて、いつも「 ...
続きを見る
参照:Dean Song, Italdesign