| ランチア・ストラトスはもともとこんな車だった |
「ニュー・ストラトス」の発売が巷を沸かせていますが、「元祖」ストラトスといえばこの「ランチア・ストラトスHFゼロ・コンセプト(1970)」。
正直これが1970年の車とは思えない斬新さを持っており、「自動車史上もっとも極端なウェッジシェイプを持つ車」「車高が(おそらく)もっとも低い車(83センチ!)としても知られます。※フェラーリ・モデューロ、ランボルギーニ・ブラボーも負けてない
今なお色褪せない魅力
デザインはベルトーネで、シャシーはランチア・フルヴィアから流用されたもの、エンジンはディーノ用のV6。
レイアウトはミドシップ、駆動輪は後輪となっています。
サイドウインドウの開閉ができないのはもちろん、サイドには「ドア」もなし(強烈すぎる!)。
デザインは「ベルトーネ」とだけ伝えられるものの、リアフェンダーのアーチを見るに担当したのはマルチェロ・ガンディーニ氏だと思われます。
このフェンダーアーチはその後ランボルギーニ・カウンタックにも採用され、現代の「アヴェンタドールS」「ウルス」にも引き継がれる「伝統」でもありますね。
リアウインドウは「なし」。
ドアもない、リアウインドウもない、というある意味とんでもない車です。
よく見るとボディ下部は「テールランプ」となっているようですね(画期的)。
フロントにある「LANCIA」エンブレムを押すとフロントウインドウが開き、ここから乗りこむというスタイル。
シート形状もブッとんだもの。
メーターも先進的で、1970年に考えた「未来」がここにあります。
ストラトスHFゼロ・コンセプトは残念ながら2011年のベルトーネ閉鎖の折にオークションへとかけられ売却されていますが、永遠に忘れられることはない、記憶と歴史に残る車であるのは間違いありません。
ストラトスHFゼロ・コンセプトは今でも大きな影響力を持つ
なおストラトスHFゼロ・コンセプトが与えたインパクトは抜群で、47年後の2017年にケン・オクヤマ氏が発表した「Kode 0」もこのストラトスHFゼロを現代によみがえらせたものだと公表。
さらにはランボルギーニが「次の100年」を見据えたコンセプトカー「テルツォ・ミッレニオ」発表の際に公開されたオフィシャルフォトにもストラトスHFゼロの模型が写っていたため、テルツォ・ミッレニオにもなんらかの影響を与えたとも考えられますね。
なお、このストラトスHFゼロ・コンセプトは現実味を欠いていたこと、ランチア側がそもそもラリーで勝負できる車を期待していたことから量産は見送られ、その後1971年にぼくらのよく知る「ランチア・ストラトス」の原型となる「ストラトス・プトロティーポ」が完成。
その後調整を経てラリー参戦のためのホモロゲーションを満たすための「ロードカー」として誕生したのが「ランチア・ストラトス・ストラダーレ」という流れとなっています。
参照:Bertone, etc.