| ミウラがモータースポーツに参戦し、サーキットを駆け抜ける姿を見たいと思っていたのはぼくだけではないはずだ |
この「アリタリア」カラーを(ストラトス用に)アレンジした人はまさに天才
さて、いつも「いかにもありそう」なレンダリングを作成し公開するアビメレックデザインが今回「アリタリアカラーのランボルギーニ・ミウラ」を公開。
なお、アリタリアカラーで有名なのはラリー競技に参加したランチア・ストラトスですが、アビメレックデザインは「単なるランチア・ストラトスのランボルギーニ・ミウラ」版ではなく「1967年のナスカー」に参戦したという想定にてレンダリングを作成しています。
もしもランボルギーニ・ミウラがNASCARに参戦していたら
実際に作成されたレンダリングは「当時の写真をスキャンした風のちょっと荒い画質」までを再現しており、たしかにランボルギーニ・ミウラそのもののシルエット、アリタリアカラー、そしてナスカーらしいスポンサーステッカーにナンバー表示、さらにはぶっといグッドイヤー製タイヤという要素を上手くミックスしています。
なお、ランボルギーニは創業当時から「モータースポーツに参戦しない」と決めていたために、この「ミウラがナスカーに」というのはどうやっても実現が難しく、しかしそれを「実はミウラがナスカーにこっそり参戦していた」というレベルのリアリティをもって作成されているのがなんともユニーク。
ちなみにランボルギーニがモータースポーツに参加しなかったのは、「フェラーリとの差別化を意識し、ロードカーに特化した戦略を採用したため」だとも言われていますが、一方では、ランボルギーニのためにV12エンジンを設計したジオット・ビッザリーニが、フェラーリ在籍時の経験から「モータースポーツに参戦することは著しく企業を疲弊させる」としてフェルッチオ・ランボルギーニを(モータースポーツに参戦しないよう)説得したとも言われていますね。
たしかにジオット・ビッザリーニは(レース用の車両を設計していた人であるにも関わらず)宮廷の反逆にてフェラーリを去った後にモータースポーツへと関与しておらず、フェラーリでは様々な辛い体験をしていたのかもしれません。
そして、そういった話をフェルッチオ・ランボルギーニとするということは、当初フェルッチオ・ランボルギーニは「モータースポーツに参戦し、フェラーリに対抗しようと考えていた(そしてそれをジオット・ビッザリーニに相談した)」という可能性もありそうです。
「アリタリア」カラーとは
アリタリアカラーとは、ランチア・ストラトスが「アリタリア航空」をスポンサーに付けて戦った1976-1977年に用いられたカラーリングであり、わずか2年という短期間しか用いられなかったものの、多くの人の心に焼き付いているカラーです。
少なくともぼくの中では強烈な印象として残っていて、さらには多くのアーティストがこのカラーリングを用いたレンダリングを作成しているので、世界レベルでのプロモーションに成功した例だと言って良いかもしれません(マルティニやガルフ、ロスマンズ、JPSなど、当時のモータースポーツに持ち込まれたリバリーは非常に印象的なものが多い)。
ちなみにこちらがアリタリア航空の機体(アリタリアはアリ=翼と、イタリアとを組み合わせた造語)。
アリタリア航空はイタリアのフラッグキャリアであったものの、2021年には残念ながら経営破綻によって消滅し、経営権がITAエアウェイズへと引き継がれています。
そしてここで思うのは、このアリタリアのカラーリングをランチア・ストラトスに転用する際にアレンジを行ったデザイナーの手腕が非常に優れていたこと。
特に垂直尾翼の「A」のフロントへのアレンジは秀逸としかいいようがありません。
もちろんランボルギーニとアリタリアとの接点は過去になく、しかし無理やり結びつけるならば、ランチア・ストラトスはマルチェロ・ガンディーニのデザインであり、ランボルギーニ・ミウラのデザインもまたガンディーニによってなされている、ということくらい。
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