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BYDの2024年第1四半期におけるEV生産は前期比−43%の大幅減。一方テスラが「予測通り」の生産台数を記録すればテスラが再びEV生産ナンバーワンに

BYD
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| BYDの生産台数は大きく「上下」しており、ちょっと生産現場が心配になるほど |

ある意味では管理コストがかかり、利益率を圧迫する要因にもなりそうだ

さて、BYDが2024年第1四半期のEV販売台数を公開し30万114台であったと発表。

この数字は過去最高の52万6409台を販売した前期に比較して43%減というものですが、前年同期比だと逆に13.4%増という数字です。

参考までに、BEV以外の車両(PHEV)を含めた販売台数だと、BYDは2024年第1四半期に62万6263台を計上しており、こちらは前年同期比で13.4%増なるも昨年の第4四半期に比較すると33.7%の減少なので、2023年第4四半期の販売が「あまりに多かった」ということなのかもしれません。※テスラを抜いて世界一になるために相当に無理をしたのかも

ただ、2024年3月単月では(EVとPHEV含め)30万2459台を販売しており、こちらは前年比で46%増加となって月間の販売台数としては2番目の高水準(過去最高は12月に記録した34万1043台)。

つまり販売台数がとんでもなく乱高下しているということになりますが、このうちEVのみの販売台数は13万9902台で前年比36.3%増、プラグインハイブリッドは16万1729台で56.4%増なので、これまでの報道の通りPHEVの人気が高まっていることがわかりますね。

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テスラはBYDから「首位を奪還する」可能性も

なお、テスラは明日(3日)に販売台数を公表する予定ですが、アナリストの予想では45万8500台を販売したと見られ、こちらは前期比で5%マイナスという数字。

実際にこれを達成できたとなるとBYDの30万114台を大きく超えることになり、現時点では「EV販売世界一」となりますが、ちょっと気になるのはなぜBYDがそんなに凹んだのか。

まず2023年第4四半期では記録を達成するために「無理」をしたことは間違いないとして、そこから半分近くにまで落ち込むというのは異常であり、これはやはり昨今報じられるとおり中国でのEV需要が冷え込んでいるためなのかもしれません。

ただ、そうなると現在の中国ではBYDのような安価なクルマであっても販売に苦戦しているということになり、ひいてはこれがテスラの将来的な販売不振の原因になることも考えられます。

一方でシャオミの発売したSU7は1日で9万台の予約を集めたという報道もあり、実際のところよくわからないのが中国市場の実情ということになりますが、いずれにせよ中国の消費者は「常に新しいものを探しており、なんらかの排他的特徴がなければすぐに飽きてしまう」という可能性もありそうですね(BYDのクルマにはそれがなく、シャオミSU7には目新しさがあった)。

テスラは現在「安価なEV」の発売に向けて動いている

そう考えるとテスラには「イーロン・マスク」という排他性があり、これはシャオミの「雷軍CEO」という訴求力とも類似する形で中国の消費者を強く惹きつけているとも考えられ、しかしそのテスラであっても次々出てくる新興勢力に対抗することがだんだんむずかしくなっているのもまた事実。

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そしてそれはテスラ自身が一番良く理解しているはずで、よって少し前から「25,000ドルのEV(モデル2と一般に呼ばれている)」の開発に言及しており、テスラはこれの実現のために(より大型の成形が可能な)ギガキャストの導入が報じられ、しかし最近新たに報じられているのが「製造ラインの変革」。

情報が限られているものの、これまでの「流れ作業」によって車体にパーツを組み付けてゆくのではなく、サブアッセンブリラインにてコンポーネントを組み立て、それを最後にすべてドッキングさせるという手法を取り入れると報じられており、これによって製造面積が40%減少するほか作業速度が早くなり、そのぶん製造コストが大きく引き下げられる、とも。※トヨタも同様のアナウンスを行っている

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テスラはこの方式によって製造にかかるコストを「半減」できると考えているそうですが、実際にイーロン・マスクCEOはこれについて「世界のどの自動車製造システムよりも大幅に進んでいる」とも述べており、現状を打破する大きな契機となることを期待しています。

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参照:Reuters

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