シャオミSU7発売後もその騒ぎが収まらない。24時間で約9万台を受注、人々が試乗予約を取るためディーラーに午前3時まで並び続ける。なぜここまで成功できたのか

｜　シャオミ SU7の成功は単にコストパフォーマンスの高さだけでは説明ができない　｜

それはシャオミ創業者の人柄や姿勢、そしてシャオミ製品の浸透度や信頼性の高さにあるという

さて、3月28日の発売以来、その過熱ぶりが収まらないシャオミSU7。

これは同社初のEVですが、そのデザイン性の高さ、動力性能やEV性能、そのサイズに比較して安価に設定された車両価格などあらゆる方面において優位性を持ち、予約開始から24時間で88,898台の受注を集めたとアナウンスされています。

シャオミSU7は「中国で最も注目された中国自動車メーカーのEV」に

このシャオミSU7に関する混乱は現在まで続いており、すでにシャオミは第一期生産分（10万台）のSU7の受注を締め切ったために新規注文を受け付けておらず、「注文を入れた転売ヤー」がSU7の購入権利を（車両価格抜きで）10万元（現在の為替レートにて約209万円）にて転売する例が横行しているとも報じられています。

ただ、シャオミはその一歩先を行っていて、このSU7の予約には5,000元（約10万5000円）の保証金を支払う必要があるのですが、この10万5000円は「注文後7日以内のキャンセルであれば」返金がなされるものの、それ以降のキャンセルだと（車両のキャンセルはできるものの）この保証金が返金されないといい、つまり転売ヤーは7日以内に転売せねばならず、しかしそれは容易ではないかもしれません。

この戦略によってシャオミはSU7の転売を最小限に抑え、かつ「実需」を正確に把握することができるわけですが（テスラ・サイバートラックの予約は150万台を超えるというが、予約金の返金がいつでも可能なこともあり、実際にどれくらいの人が本気で買うのかわからない）、一方でこのシャオミの方針は大きな議論を呼び、一部の消費者は（中国の）消費者センターに相当する機関に苦情を申し立てているという報道も。

#XiaomiSU7 provides two sets of Xiaomi Pilot options: Pro and Max.

The Pro utilizes a cutting-edge vision-based system, while the Max takes it a step further with a vision-plus-LiDAR solution for enhanced capabilities. #XiaomiEVLaunch #DrivingForward pic.twitter.com/jAyRzVSrMW

— Xiaomi (@Xiaomi) March 28, 2024

つまるところ、これほどまでに大騒ぎになっているのがシャオミSU7で、発表初日にはシャオミディーラーに長蛇の列ができ、試乗の申込みを行うために人々は午前3時まで並んだといいますが、多くのEVメーカーが「実際に発売しつつも、顧客へのデリバリーが先送り」になるのに対し、シャオミではこの4月から実際に納車を開始するとのことで、そういったスピード展開もまたシャオミSU7が支持される理由のひとつなのかもしれません。

なお、シャオミの車両を生産するのは国有の北京汽車工業控股有限公司（BAIC）であり、中国工業情報化省（MITT）によると、シャオミSU7は、北京汽車の子会社であるBAIC Off-road Vehicle Co.が北京に建設されたシャオミの新工場で組み立てられる予定となっています（BAICはメルセデス・ベンツの筆頭株主でもあり、発行済株式の9.98％を所有している）。

2024年の生産予定台数は10万台前後を予定しており、工場がフル稼働した場合、第2フェーズでは年間15万台、第2フェーズでは年間30万台の生産が可能になるとも報じられていて、この数年で一気に「トップEVメーカー」のひとつに躍り出る可能性もありそうですね。

Xiaomi EV factory sets standards for sustainability.

Our EV factory boasts a solar roof generating 16.4M kWh of clean energy annually and 99% efficiency in exhaust gas treatment. #XiaomiEVLaunch #DrivingForward pic.twitter.com/jFtTadvM0Z

— Xiaomi (@Xiaomi) March 28, 2024

なぜシャオミはここまでの成功を収めたのか？

上述の通り、このシャオミSU7は「過去、もっとも注目を集めた中国製EV」ですが、気になるのはその成功の理由。

もっとも大きなものとしては、テスラ・モデル3よりも大きく、性能に優れ、かつ安価であるというコストパフォーマンス面によるものが大きいと考えてよく、しかしこれだけでは説明が不十分かもしれません。

実際のところ、吉利汽車の発売するZeekr 007のほうがコストパフォーマンスが高く（航続距離が長く、出力が高く、価格が安い）、しかし実際に人気を博したのはこのシャオミSU7。

#XiaomiSU7 offers a variety of customization options, allowing you to create a driving mode that perfectly suits you. #XiaomiEVLaunch #DrivingForward pic.twitter.com/cwe4PVbSYQ

— Xiaomi (@Xiaomi) March 28, 2024

こういった現状につき、中国メディアでは2つの要因を挙げており、ひとつはシャオミCEOである雷軍氏の人柄で、自分にできないことは先人の協力を仰いでスピードのある展開を行いつつ、しかも協力者への感謝を忘れないという謙虚な姿勢（実際にSU7の発表の場でも、パートナーであるNio、Li Auto、XpengのCEOや創業者を壇上に招いている）、自身のビジョンをわかりやすく、人々が共感できる形で示すことができる「（スティーブ・ジョブズのような）ショーマンシップ」。

そしてもうひとつはシャオミのブランド力であり、現在中国のいずれの家庭でも「シャオミ製品がない家庭はない」と言われるほどで、しかもそれらのデバイス間での接続性が（アップル製品のように）優れており、人々がシャオミ製品に対して高い信頼を寄せ、慣れ親しんでいること。

こういった要素がシャオミSU7の発売を成功に導いたと分析されていますが、現在戦国時代に突入し「生き残り」をかけて各社が争う中、シャオミの生存確率を飛躍的に向上させていると考えていいのかもしれません。

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