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コルベットのミドシップ化に要したのは60年。途中で「ロータリエンジン搭載」モデル、「デロリアン」の元祖とも言えるモデルもあった!

投稿日:2019/07/20 更新日:

| ここまで多くのプロトタイプが作られながらも「60年」かかったのは実に不思議 |

さて、シボレーはミドシップレイアウトを採用した新型C8コルベット・スティングレイを発表しましたが、この「ミドシップ化」は、コルベットの主要開発者、ゾーラ・アーカス・ダントフが(イタリアンスーパースポーツに対抗すべく)1950年代終わりから進めてきたもの。

ただ、これまでもいくつかのプロトタイプが製造されながらも、結局のところ市販モデルではミドシップ化されるに至らず、今回「ほぼ60年の歳月を経て」ようやくミドシップ化されたわけですね。

これまでミドシップ化ができなかった理由としては「コスト」が最大の要因だと言われますが、それでも今回ミドシップ化したということは「これ以上はフロントエンジンだと競争力を発揮できない」とGMが判断し、コストを投じることにしたということなのだと思われます。

最初のミドシップコルベットは1959年のCERV I

コルベットが誕生したのは1954年で、最初の「ミドシップ」コルベットが試作されたのは1959年。
これはCERVⅠ(CERV= Chevrolet Engineering Research Vehicle)と命名されており、その姿はコルベットというよりはレーシングカー。

ゾーラ・アーカス・ダントフは1953年にシボレーへと加入し、C1世代の開発からコルベットに関わってきた人物ですが、C1コルベットの挙動に不満を感じ、これを正すにはミドシップ化しかない、という信念を持っていた人物。

よってコルベットのエンジン(大きく改造されている)そしてリアサスペンションを流用したCERVⅠを製作し、テストを行っています。
画像を見ると、非常にコンパクトなクルマであることがわかりますね(これにV8エンジンを積んで走っていたかと思うと、ちょっと怖い)。

このクルマは製造から2年間ずっと存在を隠されており、その後も公式レースに参戦したことはないという、まさに「幻のクルマ」。

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CERV IIはもしかするとフォードGTとル・マンで戦っていた可能性も

その後に登場したのが1964年のCERV II。
これはCERV Iとは異なってル・マン24時間レースへの出場を考慮したもので、6台が製造される予定だったものの、1台が製造された後にGMがモータースポーツ活動から撤退してしまい、それに続く生産がなされずに「1台のみ」がただ存在することに。

その後は個人のコレクターに売却され、2013年にはRMサザビーズ開催のオークションにて、約1億2000万円という高額を記録し落札されています。

「竹ヤリ」がなんとも言えない迫力を醸し出していますね。

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XP-880アストロII(1968)は快適なツーリングカーだった

そしてゾーラ・アーカス・ダントフはさらに「第三世代」のミドシップコルベットを製作。
デザインはビル・ミッチェル(コルベットのデザイナー)で、この「XP-88- Astro IIはショーカーとして展示されることに。

そしてCERV I/CERV IIと異なるのは、レーシングカーではなく公道走行可能なスポーツカーとして設計されていることで、ラゲッジスペースの設置や快適性も考慮されています。

エンジンは390馬力を発生するV8で、これを車体中央にマウントしていますが、ミドシップとは思えないスマートさを持っていますね。

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XP-882はオイルショックで計画が頓挫した悲運のコンセプトカー

そしてさらにゾーラ・アーカス・ダントフはXP-882を1968年から製造開始。
なお、このプロジェクトを招集したのはジョン・ザッカリー・デロリアン。
言うまでもなく映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」にタイムマシンとして登場したデロリアンを後に(独立して)製造販売することになる人物ですね。

そして完成したXP-882は1970年のニューヨーク・オートショーにて展示されて高い評価を獲得し、市販化に向けて動き出したものの、1973年に起きた「第一次石油ショック」の影響でその後プロジェクトは頓挫することに。

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フルアルミボディの「レイノルズ・アルミニウム・コルベット」も存在

その後登場したのはXP-895で、これはXP-882の発展型。
欧州を意識したデザインに改められていますが、重量が重くなってしまい、GMのサプライヤーであった「レイノルズ」によるアルミ製ボディへと変更されたのが「レイノルズ・アルミニウム・コルベット(1973)」。

レイノルズ・アルミニウム・コルベットは現在GMのヘリテージセンターに所蔵され、XP-895は別の「何か」に換装されたと報じられています。

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なんとロータリーエンジン搭載のコルベットも製作されていた

さらにミドシップコルベットの歴史は継続し、1973年にはXP-897GTが完成。
このコルベットの特徴はピニンファリーナによるデザインを持っていたこと、そして「2ローター」のロータリーエンジンを持っていたこと、そしてポルシェ初の市販ミドシップカー「914」のシャシーを流用していたこと。

なお、このXP-897GTは後にエンジン型式に因んで「2ローターコルベット」へと改名され、1973年のフランクフルト・モーターショーに登場しています。

最初はシルバーのボディカラーを持っていたものの、後にこのレッドへと改められています(ポンティアック・トランザムもしくは日産Z31フェアレディZのように見える)。

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なお、ロータリーエンジンというとマツダが開発したものと思われがちですが、実はドイツのフェリクス・ヴァンケルというエンジニアが開発したもので、そのため欧州では「ヴァンケル・エンジン」という呼び方のほうが一般的。
このヴァンケル・エンジンについては、GMのほか、メルセデス・ベンツも実用化に挑戦したものの、「実用化に成功したのがマツダだけ」ということになります。

そして同年(1973)には4ローター・コルベットも

そして同年にはガルウイングドアと4ローター・ロータリーエンジン(420馬力)を持つ「4ローター・コルベット」も登場。

「ミドシップ」「アルミボディ」「ガルウイング」はその後ジョン・ザッカリー・デロリアンが「デロリアンDMC-12」で実現した「ほぼそのまま(デロリアンのボディはステンレス合金)」で、となるとデロリアンはコルベットのミドシップ化プロジェクトの派生だと考えて良いのかもしれません(ジョン・ザッカリー・デロリアンがそこで着想を得てデロリアンを設計した)。

なお、ジョン・ザッカリー・デロリアンはGMを退社して1975年にデロリアン・モーター・カンパニーを設立し、そこで開発を進めて1981年に発売したのがデロリアン、もしくはバック・トゥ・ザ・フューチャーのタイムマシンとして知られる「DMC-12」ですね。

1970年代後半、ついにミドシップコルベットの発売チャンスが到来

その後しばらくは「コルベットのミドシップ」化プロジェクトは途絶え(ジョン・デロリアンが退社したからかも)、しかし1977年にGMはXP-895のパワートレインに新しいボディを架装した「エアロヴェット(Aerovette)」を発表。

実際に4世代目のコルベットして、そして1980年モデルとして市販される予定だったものの、ビル・ミッチェル、ゾーラ・アーカス・ダントフ両名がGMを去ったため、またコスト高を理由にこの計画は実現せず、代わりにフロントエンジンのコルベットが「C4」として発売されることに。

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1980年代に「コンセプトカー」としてミドシップコルベットが復活

1980年代に入ると技術革新が著しく、アクティブサスペンションや4輪ステアリング、ABS、トラクションコントロール等が登場。
そういった状況の中でGMは「技術の見本市」として1986年に「コルベット・インディ」を発表。

これは純粋なコンセプトカーであったとされ、2.65リッターV8ツインターボから600馬力を発生するなど、現代においても通用しそうなパフォーマンスを持っています。

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そして1990年に発表されたCERV-IIIはシボレー・コルベット・インディの派生モデルで、より「ロードカー寄り」の装備や機能が与えられています。
エンジンは5.7リッターV8(LT5)で650馬力を発生。

車体はロータスによって開発されたカーボンファイバーで、こちらも「現代基準の」スーパースポーツだと言えそうです。

なお、このCERVは1996年に「IV」が発表されるものの、こちらは「フロントエンジン」へと変換されています。

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こうやって見ると、ミドシップコルベットのコンセプトカーは「ブルー」「シルバー」「レッド」のみということに気づきます。

C8世代のコルベット発表時のイメージカラーは「レッド」のようですが、これは「コルベットのミドシップ化への道のり」へのオマージュなのかもしれませんね。

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