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ランボルギーニ「カウンタックLPI800-4のようなレトロモデルを二度と発売しない」。各社がリバイバルを行う中であえてやらないその理由とは?

ランボルギーニ・カウンタック

| ランボルギーニは過去を再現することで”歴史上の聖域”には踏み込みたくない |

そしてこれは「ミウラのリバイバル」の道が絶たれことを意味する

さて、ランボルギーニは伝説の「カウンタック」後継モデルであるカウンタックLPI900-4を発売しましたが、これは異例中の異例の出来事です。

ランボルギーニは「同じ名前を使用してのモデルチェンジ」を行わず、基本的にそのモデルは一代で終了することになり、その名は(そのモデルが販売終了になれば)二度と使用されないという通例を持っているわけですね。

よって、同じ名称が異なるクルマに使用されたのはカウンタックがはじめてということになりますが、今回ランボルギーニの最高技術責任者ルーヴェン・モア氏が「今後、こういったリバイバルは二度と無い」とコメントしています。

ランボルギーニ・エッセンツァSCV12
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なぜランボルギーニは「レトロ」モデルを作らない?

そこで気になるのがなぜ「いったんはカウンタックを発売したランボルギーニが、今後もう過去モデルのリバイバルを行わないと言っているのか」。

これについてはカウンタックLPI800-4登場の背景から語る必要があって、まず現代の「カウンタックLPI800-4」が企画されたのは前CEO、ステファノ・ドメニカリ氏の指揮によるものだったことに留意する必要があります。

ステファノ・ドメニカリCEOはスクーデリア・フェラーリの代表を努めていた人物で、そこからフォルクスワーゲンに入り、数年後にはランボルギーニCEOへと抜擢されることに。

ここではモータースポーツに注力するなど、それまでのランボルギーニとは異なる方向性を打ち出しており、サーキット限定モデルやウラカンSTOのような「ほぼレーシングカー」とも言うべき過激なモデルを発売したわけですね。

ランボルギーニ・ウラカン

そしてもうひとつ、これまでとは異なる方向性が「過去モデルのリバイバル」。

それ以前のランボルギーニも過去にはじゅうぶんなリスペクトを行っていましたが、それはあくまでも「要素として取り入れる」にとどまっていて、ズバリ”過去のモデルを再現すること”が目的ではなかったと捉えています。

しかしながら、ランボルギーニは1971年のカウンタック(プロトタイプ)発表から数えて50年後の2021年に「カウンタックLP500」をワンオフながら製作しており(これも過去に例を見ない)、そして続けて発表されたのがカウンタックLPI800-4。

1971-Lamborghini-Countach-LP-500-2

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2021年、ランボルギーニCEOが交代する

そうして2021年は「カウンタックイヤー」として記憶に残ることとなったのですが、この年(正確には2020年末)に起きたもう一つの大きな出来事が「ランボルギーニCEOの交代」。

前出のステファノ・ドメニカリ氏がF1のCEOへと就任するためにランボルギーニを辞し、そのかわりに(ブガッティCEOを務めていた)ステファン・ヴィンケルマン氏がランボルギーニCEOへと”復帰”したわけですね。

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なお、ステファン・ヴィンケルマン氏は10年間ランボルギーニのCEOを務めていたものの、親会社であるフォルクスワーゲンの行う「定期異動」によってアウディスポーツへ、そしてその後にブガッティへCEOを歴任し、しかしその手腕を評価され、空席となったランボルギーニCEOの座へと復帰しています。

ランボルギーニ
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ランボルギーニはモデル数が少なく(3つしか無い)、そうそう新型車を発表するわけでもないので、CEOが変わったとしてもそれほど大きく方針が変わらないだろうと思ってしまいますが、意外とCEO交代による方針の差は大きく、ステファノ・ドメニカリ氏は上述のように「モータースポーツ」「レトロ」、そして市販車においては、それまで採用していた「LPナントカ」というサブネームを廃止したうえで「EVO」という呼称を好んで用いることに。

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一方、復帰したステファン・ヴィンケルマン氏は、それまで自身が(以前のランボルギーニCEO時代に)取り入れていた「LPナントカ」という呼称を復活させ、さらには「テクニカ」「ペルフォルマンテ」というサブネームをも再利用しています。

加えてウラカンEVO系の販売を終了させるなど前任者のカラーを一掃することとなったのですが、カウンタックLPI800-4は「キャンセルできないところまでプロジェクトが進んでいたので」ステファン・ヴィンケルマンCEO就任後であってもそのまま発売された、という経緯があるわけですね(”LPI800-4”というサブネームが与えられたのは、ステファン・ヴィンケルマン氏の意向であったと思われる)。

現代のランボルギーニにとって、レトロモデルは「ノー」

そして現在に話を戻すと、ルーヴェン・モア氏は「われわれはブランドとして、今も昔も、それほどレトロ志向ではありません。レトロ・リバイバルのマーケットがあることは確かですが、私たちの会社の戦略には合いません。私たちはいつもこんな比較をします。クルマのバックミラーはフロントガラスより小さい。我々に必要なのは未来を見るための大きなフロントガラス、そして過去を見るための小さなバックミラーです。カウンタックは、特定のクルマを讃えるための極めて稀な具体例だったのです」。

さらに同氏はジャガーのクラシック・コンティニュエーション、シンガー・ヴィークル・デザインによるポルシェ911のようなヘリテージ・シリーズやレストモッドを否定しており、「私たちは常に、デザイン言語を少し変えるようにしています。もし私たちが(コンティニュエーションやレストモッドを)持ち込めば、お客様から多くの関心を得られると強く信じています。しかし、それは私たちの哲学ではありません」。

ランボルギーニとしては、過去のモデルのリバイバルを求める顧客が多く存在することを認めつつ、しかしルーヴェン・モア氏は「すでに、ランボルギーニの過去を尊重する忠実なオーナーはこの種の芸術品を持っているので、我々はクラシックカーの領域に踏み込みたくありませんし、一種のパラレルパスを作りたくありません。我々は小さな会社なので、過去よりも(むしろ)未来に投資したいのです」。

Lamborghini-Countach-LPI-800-4-With-The-Original-Lamborghini-Countach-Prototype-7

過去のヘリテージについては様々な考え方があるかとは思いますが、レトロモデルのリバイバルによって未来をつくることも可能ですし、それとは逆に、クラシックモデルをリバイバルしないことで、それらクラシックモデルを「聖域化」してブランド価値を高めることができるのかもしれません。

ただ、カウンタックLPI800-4は現CEOの意図したものではなかったかもしれませんが、ランボルギーニの「流れ」を大きく変えたことも事実であり、もしかすると歴史上唯一のリバイバルモデルとなる可能性もあって(CEOが変われば、またリバイバルがあるかもしれない)、いろいろな意味でターニングポイントとなるスーパーカーだったと捉えています(つまり、その存在意義はかなり大きい)。

しかし残念なのは、現CEOのもとでは「ミウラのリバイバル(復刻)は絶対にない」という事実であり、これは多くのファンを落胆させてしまうことになるのかもしれませんね。

ランボルギーニ・カウンタックLPI800-4を注文した顧客のほとんどは「オリジナルのカウンタックを所有している人」だった!そして「所有しているカウンタックと同じカラー」を指定するケースが大半
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参照:Motor1

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