| その意味において、カウンタックLPI800-4は非常に大きな意味を持つクルマとなってくる |
そのほうがランボルギーニらしくて方向性が明確だと思う
さて、ランボルギーニCEO、ステファン・ヴィンケルマン氏があらためて「レトロカーはもう作らず、カウンタックLPI800-4が最後になる」とコメント。
これは以前にも語られたことではあるものの、今回重ねて言及されることになり、もう「過去モデルのリバイバルはない」ことが(同氏の任期中には)決定的となっています。
なお、ランボルギーニは「60アニヴェルサリオ」なるロゴをパテント登録していますが、こういった発言を見る限り、このモデルが発売されたとしても(車両ではなく、このロゴはイベントやアパレル向けとして使用される可能性もある)、カウンタックLPI800-4がベースではない、ということですね。
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「過去が未来を作っているのではない」
ステファン・ヴィンケルマンCEOによれば、「カウンタックLPI800-4はたしかにユニークな試みではありましたが、我々は小さなブランドです。よって前を向いて進む必要があり、過去に頼ることはできず、過去が未来を作っていると考えることもできません」。
加えて「我々は常に前を見ています。現在は絶え間なく新しいものが出てくるので、未来に集中せねばなりません」とも。
実際のところ、ランボルギーニは「レブエルト」なる商標を登録し、おそらくこれはアヴェンタドール後継「ハイブリッド」モデルに使用されるのではと見られていますが、新しい時代へと向かおうとしています。
いくつかの自動車メーカー(ランチアやルノーなど)は電動化に際して過去のビッグネームを蘇らせ、それによってブランドからの客離れを防止し、加えて従来の顧客の呼び戻しや新しい客層の呼び込みを考えているものの、ランボルギーニは「そうではない」ということですね。※エレクトリック化によってブランドのコアバリューを失ってしまうケースもあり、それを補完するためにリバイバルがなされるのだと思う
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ランボルギーニは過去にミウラの復活に「NO」を突きつけたことも
なお、ランボルギーニは2006年に「ミウラ・コンセプト」を発表していますが、これはワルター・デ・シルヴァ氏がフォルクスワーゲングループおよびランボルギーニのデザイナーとして迎え入れられた際に製作されたもの。
非常に大きな反響を呼び、発売が熱望されたものの、その後にランボルギーニCEOに就任したステファン・ヴィンケルマン氏はこの市販化に対して、今回のコメント同じ「過去ではなく未来を見る」という理由をもってNOを突きつけています(ミウラ・コンセプトの企画段階では、ステファン・ヴィンケルマン氏はまだCEOではなかった)。
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ただ、「じゃあなぜカウンタックLPI800-4を発売したのか」という疑問が起こりますが、これはステファン・ヴィンケルマン氏がランボルギーニCEOを離れていた(ブガッティCEOを努めていた)期間に企画されたものだから。
ステファン・ヴィンケルマン氏は2016年の「定期異動」にて10年在籍したランボルギーニを離れて(おなじVWグループ内の)アウディスポーツへと異動し、その後はブガッティCEOへ。
しかしその間ランボルギーニCEOを努めていたステファノ・ドメニカリ氏がF1のCEOへと就任するに際してランボルギーニを辞すこととなり、そこでまた(2020年に)ステファン・ヴィンケルマン氏がランボルギーニCEOへと「復帰」したわけですね。
そしてこのカウンタックLPI800-4はステファノ・ドメニカリ氏が企画していたものであり、ステファン・ヴィンケルマン氏が復帰した際には「もう中止できないところまでプロジェクトが進んでいたため」発売に至ったわけですが、ある意味でカウンタックLPI800-4はステファン・ヴィンケルマン氏にとって(オーナーの方には恐縮ですが)不本意な製品だったのかもしれません。
そして同氏にとって「本意でなかった」のはウラカンEVO系も同じであったと見え、ウラカンEVO系は(予期された)モデルライフを待たずして受注を終了し「ウラカン・テクニカ」へと切り替わっており、そのデザインも大きく変わることとなっています。
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その他にも様々な変化があり、それらは別の機会にて語りたいとは思いますが、とにかくランボルギーニは「未来を見る」「過去を壊しながら先に進む」ということになり、その攻撃的なスタイルが示すように、それでこそランボルギーニなのかもしれませんね。
ただ、ステファン・ヴィンケルマンCEOはランボルギーニの過去を無視しているわけではなく、様々なディティール、ネーミング、戦略などにおいても過去のランボルギーニへの敬意をしっかりと払っている人物。
そして(オリジナルの)ミウラ、カウンタックともに「当時、前例のない」クルマであり、現代においても前例のないスーパーカーを作り出すことこそが、「ミウラやカウンタックの意思を引き継ぐ」ことなんじゃないかとも考えています(必ずしも、有形にて示すことが必要ではない)。
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参照: Road and Track