
| 流石に今回ばかりはイーロン・マスクCEOも「厳しさ」を認める |
ただし実際の状況は「もっと悪い」のかもしれない
昨日行われたテスラの2025年第2四半期の決算説明会で、イーロン・マスクCEOは「今後数四半期は厳しい」と認めており、実際、テスラの四半期利益は前年同期比で16%減少。
これは過去10年間で最大の落ち込みであり、市場にも大きな衝撃を与えています。
イーロン・マスクCEOはその要因として、彼自身が支持したアメリカ大統領による関税や規制の変更を挙げ、暗い見通しを語すこととなっていますが、しかし、彼はいつもどおり「希望」も口にしており、それが「ロボタクシー」による劇的な収益回復です。
イーロン・マスクCEOによれば、「現在テキサス州オースティンにて試験的運用されるロボタクシーにつき、来年末までにアメリカ人の半数が利用可能になる」。
これによって“利益の雪崩”が起きるという希望を示しているわけですね。
-
-
テスラが2025年第2四半期の決算を発表。売上・利益ともに前年割れ、売上は-12%、一株あたり利益は-23%を記録し時間外取引で株価を下げる
| 業績悪化が続くテスラ、マスク氏の政治的影響も | ほんの半年前までは誰もがこの状況を想像できなかったほどの「転落」である テスラが発表した2025年第2四半期決算によると、売上・利益ともに前年同期 ...
続きを見る
ロボタクシーで逆転? 現実は非情
しかしながら、こうしたイーロン・マスクCEOの“夢物語”は、これまで幾度となく現実を裏切ってきており、今回の予告も例外ではないというのが市場の見方。
たとえば、すでにロボタクシーを本格展開しているWaymo(ウェイモ)は、アメリカの主要都市で週25万件の有料走行をこなす実績を持つものの、依然として”赤字続き”。
ウェイモの親会社であるGoogle(アルファベット)の「その他事業」部門は、以下の理由によって昨年度44億ドル(約7000億円)の損失を記録しています。
- 自社保有車両の維持コスト
- 車両のレトロフィットやマッピング技術の開発費用
- 管理体制の維持費用
つまり、ウェイモほどの規模でも利益化には至っておらず、「1回の乗車ごとに赤字」という状態で、これが、テスラがこれから参入しようとしている市場の厳しい現実ということになります。
テスラの自動運転は、むしろ逆風中
さらにイーロン・マスクCEOは、昨年のQ2決算で「今年中に“完全自動運転”を実現する」と宣言していたものの、実際にはそれどころかオートパイロットやFSD(Full-Self Driving)を巡る死亡事故で裁判沙汰になっている始末。
現在のところ、テスラのロボタクシーはオースティンの一部地域で、招待制の上、助手席に人間スタッフが同乗している状態で、これを「利益の雪崩」と表現するには、さすがに無理があると捉えられているわけですね。
株式市場の反応は冷ややか
これまではイーロン・マスク氏の“大風呂敷”が市場で歓迎され、株価上昇を伴うのが常であり、しかし今回ばかりは様相が異なっていて、決算発表後にテスラ株は9%下落し、イーロン・マスク個人の資産も120億ドル(約1.8兆円)減少したと報じられています。
かつて“ミーム株”として株式市場を熱狂させたテスラですが、今や信頼を失いつつあるというのが実情で、イーロン・マスク氏のいう“逆転劇”は本当に実現するのか、それとも、これは”終わりの始まり”なのかに注目が集まる状況です。
合わせて読みたい、テスラ関連投稿
-
-
テスラ「Model Y L」ついに登場。3列シートを備えたロングホイールベース仕様が中国市場へと今秋展開、プレゼンスの強化なるか
Image:MIIT | ついに3列SUVへ進化。テスラ・モデル Y Lの全貌 | 中国では「発表前の新型車」の情報が公的機関を通じて公開される さて、長らく「テスラ・モデルYのロングホイールベース版 ...
続きを見る
-
-
【異例の人事】なぜ?テスラ、””畑違い”のIT部門幹部を営業責任者に任命。販売不振から回復に向けての“賭け”か
| なぜ?販売不振のテスラ、新営業責任者に“技術畑”の幹部を抜擢 | 果たしてこの「賭け」に勝算はあるのか さて、テスラは創業当初から他の自動車メーカーとは異なるアプローチを貫いており、その理由として ...
続きを見る
-
-
テスラがロサンゼルスにダイナーをオープン。レトロフューチャーな雰囲気と高価格メニュー、その評価が「最悪」に
Image:Tesla | テスラが新たに仕掛けた「ダイナー」プロジェクトとは? | 様々な意味で「テスラダイナー」が大きな話題に 今週、テスラがロサンゼルスに新たなダイナーをオープンさせたとして話題 ...
続きを見る