| ステランティスは共通化と効率性を重視し、各ブランド間にて多くのコンポーネントを共有することになるものと思われる |
それによってアルファロメオからはスーパーカー、ランチアからはデルタも登場
さて、PSA(プジョー・シトロエン)グループとフィアット・クライスラー・オートモービルズが合併してステランティスが誕生して2年近くが経過しますが、ステランティスの北米最高執行責任者マーク・スチュワート氏によれば、いずれのブランドも「順調」である、とのこと。
ちなみに現在ステランティスにはクライスラー、ダッジ、ジープ、ラム、フィアット、アルファロメオ、フィアットプロフェッショナル、ランチア、マセラティ、プジョー、シトロエン、DS、オペル、ボグゾール(ボクスホール)という14ものブランドが存続していますが、(ステランティスによれば)これらいずれもがうまく機能している、ということになりそうです。
ステランティスはいずれのブランドも「廃止しない」
なお、ステランティスは1年半ほど前に「傘下にある全てのブランドにつき、資金と時間的猶予(10年)を与え、それぞれが独自の道を歩めるようにする」と発表。
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ステランティスが「傘下のブランドにつき、ブランド確立のために10年の猶予と、必要な予算を与える」。これはもうランチア・ストラトス、デルタの復活を期待するしかない
| ステランティスは「太っ腹」ではあるが資金はちょっと心配だ | さて、PSA(プジョー・シトロエン)とFCA(フィアット・クライスラー)とが合併してステランティスが誕生していますが、ステランティス下 ...
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それに従い、いくつかのブランドでは大きな変更があり、例えばプジョーは高級路線を歩むという方向性を採用し・・・。
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アルファロメオは品質やサービスを向上させるという方針、そしてドライバーズカーにフォーカスするというコメントも。
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さらにランチアはブランドをリブートし、デルタの復活についても言及しています。
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なお、ステランティスがそれぞれのブランドを廃止せず、かつ10年間も投資を続けるだけの資金をどこから捻出したのかはさっぱり不明ではあるものの、10年後までに少なくとも25台のバッテリー式電気自動車を発表する予定であり、2030年までにヨーロッパでの自動車販売台数の100%を純電気自動車にしたいと考えていて、プジョーもその時までには(ヨーロッパでは)完全なる電気自動車ブランドとなることを目指します。※一方で、一部の国や地域では電動化が進まないと踏んでおり、ガソリン車を残すことも考えているようだ
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ステランティスでは色々と楽しそうな変化も
ただ、上述のとおりいずれのブランドも大きく動いてゆくことには変わりはなく、とくにアルファロメオはCEOやデザイナーが刷新され、来年はじめにはジュリアSWBザガートを発表するほか、「ミドシップスーパーカーを発売する」という話も。
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マセラティについては新型グランツーリスモに加えグランカブリオを投入し、それぞれのモデルにピュアEV版の「フォルゴーレ」も。
さらにMC20についてもフォルゴーレの投入があるほか、カスタム部門「フオーリセリエ」の強化、そして限定ハイパーカー「プロジェクト24」の投入など新しい計画が目白押しとなっています。
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そしてアメリカだとダッジやジープの元気もよく、ダッジだと電動化に向けた「チャージャー・デイトナコンセプト」を発表済み。
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クライスラーだと次の10年に向けて製造と生産への大規模な投資を進めており、パワートレイン工場に1億ドル以上、カナダの工場に28億ドルという巨額の投資を行っていますが、クライスラーの野心的なEVの未来に向けた準備ということになり、やはりクライスラーも大きな変革を行うことは間違いなさそう。
今回のコメントだと、14のブランドが今後数年間、どのような舵取りをするのかという細かいところにまで言及はなされていないようですが、ステランティス全体としてはコスト削減と効率化を目指しており、これまで以上に各ブランド間での共通性が増してゆくことになるものと思われ、しかし各ブランド間にて食い合いが生じないようにすることも重要なのかもしれませんね(新型ダッジ・ホーネットとアルファロメオ・トナーレの高すぎる類似性が一部で問題となったようだ)。
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参照:Automotive News