| 見た感じは「超」アメリカン、ダークヒーローが乗るクルマもそのものだ |
アメリカの自動車メーカーはドイツ勢とは全く異なるアプローチを取っている
さて、ダッジは2023年モデル限りで人気モデルのチャレンジャーそしてチャージャーを終了させる予定ですが、そこで気になるのが「後継モデル」。
そして今回、そういった懸念を吹き飛ばすべくダッジが発表したのが”エレクトリック”アメリカンマッスル、「ダッジ・チャージャー・デイトナコンセプトEV」ですが、これはEVにも関わらず「フラッツォニック・チャンバード・エキゾースト(Fratzonic Chambered Exhaust)」と命名された排気システムを持つといい、ダッジならではの独自のシステムであるもよう。
なお、EVというと「貧乏くさい」「楽しくない」「単なる移動手段」「遅い」というイメージが根強く残っているかと思われますが、自動車メーカー各社ともそういったイメージの払拭に最大限の努力を払っており、ダッジも同様、ということになりそうです。
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ダッジ・チャージャー・デイトナコンセプトEVのイメージは1970年前後のアメリカンマッスル
なお、このダッジ・チャージャー・デイトナコンセプトEVのインスパイア元は1968年から1970年にかけてのクラシックなアメリカンマッスルだといい、ワイドなフロント/リア、平坦なボンネットは明らかに「当時のチャージャー風」。
ただしこの広大なボンネット内にはもちろんガソリンエンジンは搭載されておらず、かわりに仕込まれるのは「Rウイング」と呼ばれるエアロデバイスで、フロントから取り入れたエアを(ウイング状のフロントエンドの中を通過させ)ボンネット上に流し、さらにこれをサイドへと導くことでエアロダイナミクスを最適化させるというものです。
そのほかデザイン的なところだと、ドアに内蔵されるフラッシュマウントドアハンドルが目に入りますが、全体的にフラッシュサーフェス化されており、これらはある意味で「カスタムカーショップが手掛けるレストモッド、そしてその手法としてのスムージング」を連想させ、こういった手法にはアメリカ人大喜び、といったところなのかも。
アメリカ人は理屈抜きでクルマを楽しむという考え方を持っている
ちなみにアメリカ人はクルマを「道具」というより「文化」として楽しむ傾向があるといい(なんかわかる)、そのためかこのダッジ・チャージャー・デイトナコンセプトEVについても、ダッジ自身が「全力で楽しんだんじゃないか」と思えるクルマに仕上がっているように思います。
このあたりはすべてに理由が必要なドイツ車とは異なり、「楽しければそれでいいじゃない」的なアメリカ気質が感じられ、上述のような「EV=つまらない」という認識を吹き飛ばしてくれそうですね。※でないと、デーモン(悪魔)やジェイルブレイク(脱獄)といった名称をグレードに用いたりしない
なお、このダッジ・チャージャー・デイトナコンセプトEVは「ハッチバック」構造を持っており、ハッチを開くとこういった広大なスペースが出現(リアシートを折りたたんだ状態)。
リアシートを戻すとこう。
ちなみにフロントとリアにある三角形のようなマークは「Fratzog(フラッツォーグ)」で、これは1960-1970年代のダッジ車に使用されていたものだといい、テクノロジーや航空産業をイメージしたものだとも言われます(当時は技術革新のスピードが速く、ジェット機やロケットなどがどんどん進化していた)。
そして現代のフラッツォーグは「ダッジの過去の性能と未来の電気自動車の融合」を表現している、とのこと。
フロントフェンダーには「ヘルキャット」のグラフィックが見られますが、もちろんヘルキャット(エンジン)を積んでいるのではなく、上述の通りパワートレーンはピュアエレクトリック。
ただし現時点では「ヘルキャットより速い」「800Vシステムを採用し、4輪を駆動」というよりほかの情報は提供されておらず、つまりパワー、加速、航続距離、速度など性能に関する情報はナゾのまま。
ただしダッジ・チャージャー・デイトナコンセプトEVにはeRuptと呼ばれるトランスミッションが搭載され、明確なシフトポイントを設けることでガソリン車のような運転ができるといい、しかしこれも「物理的な変速機」なのか、トヨタの出願した特許のように「シフトチェンジのトルク抜け」を再現した変速機レスなのかも不明です。
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フラッツォニック・チャンバード・エキゾーストについても詳細はわからず、ただ「車両後部に設置されたアンプとチューニングチャンバーを介してパフォーマンスサウンドを押し出す、業界初のシステム 」とだけ。
しかしこのシステムは最大で126デシベルのサウンドを発するといい、これが事実であればランボルギーニ・ウラカンEVO RWDのコールドスタート時の爆音である100デシベルを遥かに超えるということになりますね。
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ダッジ・チャージャー・デイトナコンセプトEVのインテリアもまたアメリカンだった
そしてこのダッジ・チャージャー・デイトナコンセプトEVのインテリアもまたアメリカン。
欧州自動車メーカーの発表する、明るく開放的で、かつサステイナブルな印象とはほぼ真逆にあるような、いわばダークヒーロー的な雰囲気すら感じますね。
12.3インチのセンタースクリーンを中心に、16インチのデジタルメーターと8インチのヘッドアップディスプレイが装着され、車両の前後デザイン同様にダッシュボードも「ワイド」な仕様。
ナイトライダーのような「レトロな未来」、そしてアナログ感すら感じさせるところはなかなかに面白いと思います。
スターターにはミサイル発射ボタンよろしく「フラップ」つき。
シフトレバーは「あえて」残されているようですね。
ステアリングホイールのセンターはレッドにて「SRT」文字が発光し、スポークの端も間接照明にてライトアップ。
スポークそのものにはタッチ式のコントロールパネルが埋め込まれ、4つのドライブモード(オート、スポーツ、トラック、ドラッグ)を指先にて操作可能。
ルーフには開放感のあるパノラミックルーフが採用されています。
現時点で誰もが知りたいのが「ダッジ・チャージャー・デイトナコンセプトEVは市販されるのかどうか」ということだと思われますが、上述の通り、2023年12月をもってチャレンジャー、そしてチャージャーは生産を終えるため、ダッジとしては後継モデルを発売する必要に迫られます。
よって、このダッジ・チャージャー・デイトナコンセプトEVがそれらの後継として発売される可能性も考えられるものの、「そんなに早くピュアエレクトリックカーをダッジが発売できるのか」という疑問も残り、もしかするとハイブリッドを一回「間に挟んで」ピュアエレクトリックに移行するのかもしれません。