| まさかここまでの速さでEVに対する関心が薄れることになろうとは |
そしてまたハイブリッド、PHEVに対する関心の盛り上がりも予想外である
さて、つい1-2年前までは「EVこそ未来」「EVこそ正義」「ガソリンエンジンに将来性はない」という風潮が自動車業界の大半(もしくはすべて)を占めていたわけですが、そこから一気に状況が変わってしまい、「2023年の新車販売はEVのみ」としていたメルセデス・ベンツがガソリン車の見直しを行うと株主向けに発表したり、ルノー、ステランティス、フォルクスワーゲンもマルチパワートレーン戦略への移行に言及したり、そしてかのアップルも「電気自動車プロジェクトを終了」させるといった判断を下しています。
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メルセデス・ベンツが「EV集中」戦略を転換し2030年以降もガソリン車を作り続けるとコメント。「2030年であっても、EV / PHEVの販売比率は50%にとどまるだろう」
| もはやEVの販売減速、ガソリン車の存続は誰の目にも明らかに | 今後さらに多くの自動車メーカーがメルセデス・ベンツ同様に「方針転換」を行うものと思われる さて、昨今は「EV離れ」「ハイブリッド / ...
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いったいなぜこうなってしまったのか
なお、こういった傾向は「そもそも消費者がEVを望んでいなかった」のに自動車メーカーと政府が無理に(消費者の負担を無視して)この販売を拡大しようとしたこと、「EVの普及とともに、維持や修理など、その課題が浮き彫りになった」ことに起因するものと思われ、消費者にとって、購入価格が高く、航続距離が短く常に電欠の不安と戦う必要があるうえ、極寒のもとでは充電器できなかったり、タイヤの摩耗速度がガソリン車の倍であったり、ちょっとした修理にもとんでもない額を請求されたり、そして売却時にはびっくりするほど安いEVを選ぶ意味を見いだせなくなっているからだと思われます。
少し前であれば消費者側も「環境のため」と多少の負担や不便さを許容できたものの、現在のように金利や物価が上昇し、生活が圧迫され、これまでと同じ生活ができないような状況では「自分に直接のメリットがない」EVに対してガソリン車以上の価格を支払うことは難しく、つまり「EVを購入しても自分にはなにひとつメリットがない」ということに多くの人が気づいたのかもしれません(すべての人がEVのメリットを享受できないわけではない)。
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「摩耗スピードはガソリン車の倍」。タイヤメーカー各社ともEV専用の「減りにくい」タイヤを開発しているが、ガソリン車用タイヤと比較してどう違うのか
| ボクの経験上では、EV用タイヤは一般にグリップが低く、ウェット性能では不安を感じる場合も | もちろんタイヤメーカーは最大限の「バランス」を実現しようと努力している さて、ちょっと前に話題となった ...
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そして、現実を見るようになった人々が選ぶようになったのが「ハイブリッド」「PHEV」であり、これらはEVよりもぐっと安く、しかし燃費に優れ、多くの国や地域では税制などの優遇措置を受けることができるので「ガソリン車よりも購入しやすく、維持にお金がかからない」存在でもあるわけですね。
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中国ではEVよりもPHEVのほうが人気があり前年比72%の伸び。なおEVは14%増、逆にガソリン車は11%のマイナス、通常のハイブリッドも15%マイナス
| 中国での自動車事情は日本のそれとは全く異なる | なんとガソリン車よりもPHEVのほうが安い場合も さて、中国ではBEVの販売比率が世界で最も高くなったと報じられて久しい状況ですが、今回は「中国に ...
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アメリカでは「ハイブリッド」「PHEV」選好姿勢が明らかに
こういった傾向は現在世界中にて鮮明に現れているといいますが、今回はそれを裏付ける報告が米国にて発表されており、つまるところ「ハイブリッド車が急速に販売を拡大している」。
順を追って見てゆくと、まず2024年2月の北米における乗用車販売台数は前年同期比で9.2%増加しており、これはJ.D.パワー、グローバルデータ、コックス・オートモーティブ、S&Pグローバル・モビリティらが予想した5.6~6.3%の伸び率を大きく上回っています(季節調整後の年率換算販売台数は1,600万台を超え、予想の1,540~1,550万台を超えている)。
そして各自動車メーカー/ブランドの中でもっとも大きく伸びたトップスリーがホンダ(32%)とトヨタ(16%)、そしてフォード(11%)なのですが、これらの成長の理由が「ハイブリッド」。
とくにトヨタにおけるハイブリッドの販売増が顕著だといい、なんとプリウスの売上は前年比で363%も増加するという成長を見せていて、人々がこぞってハイブリッド車を購入しているということがわかります。
なお、もともとハイブリッド車が少なかったフォードでは(投入したばかりの)ハイブリッド車の販売が32%増加したとされ、これは1月に続く大きな伸び率でもあり、フォードは今「ハイブリッドのありがたみ、そして今後拡充を行う必要性」をひしひしと感じている最中なのかもしれません。
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フォードの1月の販売に大きな異変。EVが11%減少しハイブリッドが43%伸び、ガソリン車が2.6%伸びる。やはり世界中どの自動車メーカーでもEV離れが鮮明に
Ford | およそ全世界にて「EVからハイブリッド」へのシフトが加速している | それは中国においても変わらず、やはり彼の地でもハイブリッドが伸びている さて、フォードが1月の販売実績を公開し、その ...
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多くの自動車メーカーが「未来」だと信じて疑わなかったEVが消費者にそっぽを向かれ、その一方で「(多くの自動車メーカーが)過渡的技術であり無意味」としてきたハイブリッドが消費者に受け入れられているのはなんとも皮肉な事実ではありますが、現在はあれだけ嘲笑されていたプリウスを多くの自動車メーカーが「追う」形となっており、まさに何が起きるかわからない、という印象です。
ただ、現在ほとんどの自動車メーカーが「EVからハイブリッド、PHEVへ」と軸足を移しつつあるものの、それができるのも「EVの開発で電動化技術に親しんでいたから」であり、EVオンリーへと動いたことも無駄ではなかったのかもしれません。
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参照:Automotive News