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ブガッティの新しいデザイン責任者はこんな人。「私の夢は、いつの日か孫たちとコンクール・デレガンスの芝生を歩き、私がこの時代に作ったクルマを見せること」

2023/08/05

ブガッティの新しいデザイン責任者はこんな人。「私の夢は、いつの日か孫たちとコンクール・デレガンスの芝生を歩き、私がこの時代に作ったクルマを見せること」

| ブガッティでのフランク・ヘイル氏の最初の作品はシロン後継のハイパーカー |

ブガッティのクルマづくりに対する姿勢は今でも創業当時と変わらない

さて、ブガッティは先日「19年もの間、ブガッティのデザインを牽引してきたアキーム・アンシャイト氏が引退する」と発表しましたが、今回はその後任であるフランク・ヘイル氏に焦点を当てたコンテンツを公開。

ブガッティによれば、フランク・ヘイル氏は2008年にブガッティのシニア・エクステリア・デザイナーとして入社し、その後エクステリア・デザインの責任者、さらにデピュティ・デザイン・ディレクターを経て、シロン、ディーヴォ、ボリード、W16ミストラルといったモデルのビジュアル・アイデンティティを導いた人物で、ブガッティの歴史過程におけるデザインの重要性を深く理解し、1世紀にわたる歴史、そして芸術家一族によって設立されたブガッティ・ブランドの価値観を引き出してきた、と紹介されています。

ブガッティ創業者の魂は現在の製品にも根付く

なお、ブガッティの示す通り、ブガッティ創業者であるエットーレ・ブガッティの一族は芸術家が揃っており、祖父の代から(貴族向けの高級)家具デザイナー、そのほか彫刻家などで占められています。

そういった環境で育ったエットーレ・ブガッティが自動車に対しても「速さ」だけではなく芸術性を求めたのは至極当然の流れであり、ブガッティのクルマが誕生した瞬間から高い芸術性を備えていたのは「必然」であったのかもしれません。

そしてフランク・ヘイル氏はブガッティのような象徴的なブランドの将来のデザインを担うだけでなく、ブガッティ・リマックのデザインディレクターという新たな役割を担うことになりますが、今回の就任に際して以下のようにコメントしています。

「クルマは、デザインから運転に至るまで、常に私の人生の中心でした。ブガッティでは、ブガッティの創始者たちがそうであったように、私は常にこの魅力をテクノロジーと革新への愛と融合させることを追求し、ブランドの本質であるパフォーマンスを満たすフォルムを創造してきました。私にとって、真の美しさと時代を超越したエレガンスは、目的のためにデザインされたクルマからしか生まれません。そうすることで、私たちは自動車デザインを超越し、何世代にもわたって愛好家に愛される、純粋な芸術性に傾倒したクルマを創造することができるのです」

02 BUGATTI Frank Heyl

「美は目的の美学から生まれる。ですから、"形は性能に従う "のです。この献身とデザインの規律によって、私たちは本物の製品を生み出すことができるのです。最終的にブガッティは、何世代にもわたって存在し続けるのですから、時代を超越したものでなければなりません。このレベルの自動車クチュールでは、ブガッティはアートピースとして認識されます。ブガッティはコレクターズアイテムであり、自動車愛好家のオーナーによって大切にされ、世代から世代へと受け継がれ、何世紀にもわたって楽しむことができるようになるのです。私の夢は、いつの日か孫たちとコンクール・デレガンスの芝生を歩き、私たちがこの時代に作ったクルマのいくつかを見せることです」

ブガッティはデザインにおいても限界を押し広げる

ブガッティというと前人未到の速度域に到達するために技術的な挑戦を繰り返していますが、それはデザインにおいても同様だとされ、フランク・ヘイル氏は「ブガッティのデザインは常に限界を押し広げるものでなければならない。いかに現状に挑戦するかが重要なのです」とも。

これまで限界と信じられていたものをいかに超えるか。

同氏はこのパイオニア精神が重要だと語っていて、これもまたブガッティの創始者であるエットーレ・ブガッティが「真の革新」を求め、タイプ35レーシングカーのためにアロイ合金ホイールや中空軽量フロントアクスルといった画期的な新技術を発明したことに通じます。

05 BUGATTI Bolide Experience

さらにその後、息子のジャン・ブガッティは、タイプ46シュルプロフィレにて採用された”レイドウィンドスクリーン”に見られる空気力学的な革新と、息をのむようなエレガンスを融合させるという才能を発揮していますが、フランク・ヘイル氏もまた「こういったブガッティの哲学を引き継ぎ、息をのむほど美しい本物のデザインを追求しています。この伝説的なブランドの理念の次の章を堂々と書き記すという新たな責任を引き受けることは、大きな謙虚さ、敬意、名誉、誇り、そして喜びを伴うものです」と述べ、今回仰せつかった大役を見事に果たすべく意気込みを見せることに。

なお、ブガッティのデザイナーと他の自動車メーカーのデザイナーとが異なる部分のひとつとして、「ブガッティのデザイナーは、クルマのエンジニアリング的な要素に明るくなくてはならない」というものがあるとされ、これは今までに挙げた例のように、デザインは性能のためになされるべきという基本思想があるからなのだと思われます(多かれ少なかれ、他の自動車メーカーにも同様の思想が根付いているとは思われるが、ブガッティの場合はそのレベルが段違いなのだと思われる)。

03 BUGATTI Tye 32 Tank

実際のところ、フランク・ヘイル氏自身もこれまでの業務の過程にて「デザインを犠牲にすることなくパフォーマンスを追求する新たなイノベーション」を行ってきたと紹介されており、たとえば「シロンのためのバキューム効果を内蔵した特別なトランクリッド」は同氏の考案だとされています。

これは走行中にのみ開くサンドイッチ構造を持つエアガイドエレメントを備えたデュアルシェルトランクリッド備え、この構造によって換気孔を設けることなく、エンジンの熱気を後方へ排出することが可能となったそうですが、何より重要なのは「(大げさなダクトを設ける必要がなくなったので)エレガントなスタイリングを損なわずに済んだ」ことなのだそう。

これまでのブガッティのデザインやエンジニアリング、フランク・ヘイル氏の実績を見るに、現代のブガッティにもエットーレ・ブガッティとジャン・ブガッティの独創的な精神が根付いていると考えてよく、フランク・ヘイル氏は「スピード、ラグジュアリー、エレガンスというブガッティの歴史の3つの柱」を守りつつ、時代を超越した芸術作品、そして革新と性能の不朽のシンボルとなるハイパーカーをデザインし、ブガッティの新たな歴史を創造してくれることになりそうです。

03 BUGATTI Bolide Experience

「比較されるようであれば、それはブガッティではない」。

そう語ったのはエットーレ・ブガッティではありますが、フランク・ヘイル氏の「最初の作品」となるシロン後継モデルもまた、オーセンティックで時代を超越した、そしてまったく比類のないクルマとなりそうですね。

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参照:Bugatti

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