| 中国で工場の作業員を安定して確保しようとなれば、社員食堂の充実は絶対に外せない |
テスラは「生産効率」の追求を最重要課題として掲げている
さて、テスラが所有するギガファクトリー中で最大の生産能力を持つのが「ギガ上海」。
年間100万台の生産能力を持つとされ、今年すでに50万台を超える車両を路上に送り出していますが、なんと「40秒に一台」というペースでクルマを製造できるといい、これは2023年1月にフォードが誇らしげに発表した「ミシガン州ディアボーンのトラック工場では49秒ごとにF-150を製造できる」という製造速度を大きく上回る数字です。
そして今回、そのギガ上海のファクトリーツアーを紹介する動画がツイッター上へと公開されており、ここでその内容を見てみましょう。
テスラ「ギガ上海」はこんな感じ
そこでまずギガ上海の外観はこんな感じで、雰囲気的には一般的な工場といった感じでもありますね。
そして次に紹介されるのが食堂。
中国ではなかなか工員の確保が難しく、そして工員を確保しつなぎとめるための手段のひとつが「充実した食堂」だとも言われます。
質、量ともに求められるレベルが非常に高く、ある意味では「もっとも投資を行うべきところ」なのかもしれません。
バーガーキング、タコベルほか様々なファストフード店(合計で16)が入居していますが、提供される食事の価格は市価の半分程度なのだそう。
確かに工場のような単調な作業が続く職場では、「食べること」が最大の楽しみとなるのかもしれませんね。
工場内には金魚の入った水槽がありますが、これは工場の排水を処理した水が満たされているといい、つまり「それだけ排水がクリーン」ということのアピールです。
なお、テスラは上海そしてベルリンにギガファクトリーを建設する際、廃水処理がクリーンではないという指摘を受けて工事が一時中断されたことがあり、(この水槽は)その対策なのかもしれません。
現在のギガ上海は「最大効率で生産中」
テスラは2023年第1四半期と第2四半期の決算報告にて「上海工場は数ヶ月連続でほぼ最大生産能力で稼働している」とコメントしていますが、同じく決算報告書によると、テスラは中国での生産をこれ以上増強する必要性を感じていないといい、つまり中国での需要はこれがピークだと捉えているのかも(ただしギガ上海で製造された車両は日本ほか世界中に輸出されている)。
なお、テスラは「コスト最適化が成功の鍵である」と常々述べており、生産効率を追求することをトッププライオリティの一つに掲げています。
そのためには製造工程の改善はもちろん、設計そのものによる構造の簡略化、使用するパーツの共通化などあらゆる方法にて工程を減らし、そして製造速度を向上させているわけですね。
その生産性向上の「要」がギガキャスト(ギガプレス)であることは間違いなく、テスラがIDRA社の工作機械を使用し始めたのち、BYDそしてトヨタなど、これを導入する自動車メーカーが相次いでいます。
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2023年7月初め、テスラはギガ上海のバッテリー生産ラインで数人の労働者を解雇していますが、これはトヨタやフォルクスワーゲンのように「生産調整」によるものではなく、おそらくは自動化された設備を取り入れたためだと推測されており、今後も同様に「設備の自動化による解雇」が続くのかもしれません。
#Didyouknow that at #Shanghai's #Tesla Gigafactory, they can produce a #car in less than 40 seconds? 🤔Curious to see how they achieve such speed? Let's dive into the working environment!@Tesla @Tesla_Asia pic.twitter.com/FWXe7TxGYq
— Shanghai Let's meet (@ShLetsMeet) July 25, 2023
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