| ブガッティのクルマはすべてにおいて自由度が高いだけに、仕様を決めるのにも相当な時間がかかるもよう |
仕様決めの段階でデザイナーやエグゼクティブと話すのもまたとない経験となりそうだ
さて、ブガッティは40台のみの限定生産にてサーキット走行専用のハイパーカー「ボリード」を発売していますが(もちろん完売済み)、いかにサーキット走行専用といえど、ブガッティの他のクルマ同様に「内外装すべてがオーダーメード」にて製造されることになります。
そこで今回ブガッティは、幸運にもボリードを注文できるという恩恵を授かった顧客を招き、その仕様を決めてゆく様子を公式コンテンツとして公開することに。
なお、顧客が招かれたのは1928年以来、ブガッティの本拠地であり続けたシャトー・サン・ジャンです。
ブガッティ・ボリードの仕様はこうやって決めてゆく
そこでまずこのボリードについて、ブガッティいわく「W16エンジンの最も純粋な姿として設計され、世界で最も先進的なエンジンと、モータースポーツを象徴する1世紀にわたる成功が融合した比類ないハイパーカー」。
顧客はそのボリードの仕様を決めてゆくに際し、まずは一日を通じてブガッティからのプレゼンテーションを受けることになり、その内容としてはブガッティのレースの歴史、(ブガッティ創業者である)エットーレ・ブガッティがいかに優れた才能を持っていたか、そして(現代の)モルスハイムの職人たちからの仕事内容など。
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そして顧客はこういったプレゼンの内容からインピレーションを得て自身のボリードの仕様についてイメージを膨らませてゆくことになりますが、さらに一日の締めくくりとしてブガッティのデザイナーとのセッションを行い、最終的なオーダーメイドによるデザイン案を固めてゆくのだそう。
その後、ブガッティのスペシャリストであるルイジ・ガッリ氏(ブガッティのヘリテージ・認証担当)のドライブによって、史上最も成功を収めたレーシングカーであるブガッティ・タイプ35にて走行を行うことに。※このブガッティ・タイプ35は、1924年から1930年の間にて、モータースポーツでの2,000回以上の勝利を収めたと言われている
その後はデザインチームを含め、受け取ったインスピレーションを「視覚化」する作業へと移りますが、そこで用意されるのが様々なスケッチやサンプル。
さらにはブガッティのセールス&デザイン・エグゼクティブであるジャッシャ・ストラウブ氏とのセッションが行われ、ブガッティの歴史における象徴的な色の組み合わせ、ブガッティの過去のモータースポーツ・カラーへのオマージュ、あるいは顧客が保有するシロンのコレクションにマッチするアイデアについて話し合うことに。
そして今回紹介されている顧客が選んだのはル・マン・タイプ57Gタンクへのオマージュとしての「ブガッティ・ブルーとダークブルーのツートンカラー」。
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ブガッティ・ボリードのシートも「オーダーメイド」
外観の仕様が決まった後は最初のシートフィッティングに移り、用意されたバケットシートのサンプルに座って最もサポート性が高く快適なポジションを探し、その体型にあわせたクッションを調整することになりますが、これはアストンマーティン・ヴァルキリー、マクラーレン・ソルスGTでも行われていることで、最近の「サーキット走行専用ハイパーカー」の定番とも言えるイベントです。
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ボリードはコーナリング時に最大2.5Gの横力を発生するそうですが、それに耐えるためにもドライビングポジションについては「寸分の狂いもなく」調整することとなるもよう。
内装の素材については、レース志向の強いアルカンターラやスエード素材、もしくは伝統的かつラグジュアリーなレザー素材かを選択でき・・・。
ステアリングホイール(のグリップ部分)のカラーや素材も選択できる、とのこと。
ブガッティ・オトモビルのマネージング・ディレクター、ヘンドリック・マリノフスキー氏によれば「ブガッティの本拠地であるモルスハイムでお客様をお迎えできることは、私たちにとって大きな喜びです。ブガッティのハイパースポーツカーはどれも特別ですが、ボライドはその時代を決定付ける存在であり、ブガッティの伝説的なW16エンジンを搭載した唯一無二の現代のサーキット専用モデルです。私たちはお客様のために、ボリードの背後にあるビジョンと、私たちの伝説的なレーシングヘリテージにある多くのインスピレーションを提供するためのユニークな企画を立案しました。永遠の思い出となるよう、真にユニークな体験を創造することが、私たちの日々の原動力です」。
なお、ボリードの生産は2024年にモルスハイムのアトリエで開始される予定だといいますが、生産の様子、そして完成車についても随時公開されることになりそうですね。
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参照:BUGATTI