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アウディが中国で発売する新型車には「フォーリングス」を使用しない?現地で競争力を持たせるために安価なEVを開発し、それは「アウディとは呼べないシロモノ」になるようだ

2024/08/05

アウディ

| 中国市場での生き残りを考えるならば、この方針も「やむをえない」だろう |

ただし代わりにどういったエンブレムが与えられるのか、どういった名称を名乗るのかについては報じられていない

さて、「アウディの内部事情を知る匿名の情報源からの情報」として、アウディが中国市場においてそのエンブレム”フォーリングス”を外すとの報道。

この意図としては「ワールドワイドでのアウディブランドのイメージの保護」だといい、どういうことかというと、まず中国市場は(その姿勢がやや緩められたといえど)EVシフトを推進するアウディにとって重要な市場であり、実際に中国は全世界のEV販売のなんと59%を占めています。

アウディ
でしょうね。ついにアウディも「2033年までにラインナップをEVにする」という計画を翻して「それ以降もガソリン車を販売する」方針へ。この責任は誰が取るんだろうな

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中国でEVを販売するにはある程度の「妥協」が必要である

そしてアウディはこの中国市場にてEVの販売を強化したいと考えているわけですが、これまでアウディが用いてきた手法やデザインでは中国市場を戦い抜くことはできず、中国専用の「考え方」へとシフトする必要が生じます。

これは(ポルシェ含め)中国に大きく依存するフォルクスワーゲングループ全体に共通する考え方だと思われ、ポルシェですら(中国での販売を落としたことを受け)中国専用車の投入に言及しているほどなので、どれほど状況が深刻であるかわかろうというものですね。

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そして「中国で戦うようにする」にはいくつかの手法があって、まずデザインを中国市場が好むものへと変更したり、そしてインフォテイメントシステムも中国向けに(アバターの内蔵やコミュニケーション機能の強化、SNS連携強化など)調整し、なによりも価格を引き下げる必要が出てきます。

これで中国人は見分けがつくのか・・・?最新の中国車はどれもデザインや車名が似すぎていてボクにはさっぱり区別がつかない。なぞそうなったのかを考えてみた
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そして価格を引き下げるために行う必要があるのが「コストダウン」。

これは使用されるパーツのクオリティにはじまり、そのクルマそのものを開発するために期間やコストを削減する必要が出てくるわけですが、これについてはすでにフォルクスワーゲンが「開発期間の短縮」に言及し、アウディとともに現地のパートナーとともに”より安価な”EVを開発し販売することに合意済み。

VWが新車の開発期間を54ヶ月から36ヶ月に短縮。「中国の競合に勝つにはそれしかない。いくつかの路上テストを廃止し、冬季テストも2〜3回から1回に減らす」
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果たして「それ」はアウディと言えるのか

つまりアウディは今後中国市場において「いま中国で売れているデザインを採用し、コスト面で妥協をしたEV」を投入することになりますが、いわばこれは中国の新興EVメーカーの後追いでもあり、「右へ倣え」といった行動で、”非常に”アウディらしくないとも考えられます。

しかし実際のところ、アウディは中国現地のパートナーである上海汽車(SAIC)との共同開発にて、アドバンスド・デジタライズド・プラットフォームと呼ばれる新しいアーキテクチャを誕生させ、「市場投入までの時間を30%以上短縮」させるとアナウンスを行っており、この「アウディ-SAIC」EVは直近で3台が開発され、最初の1台は来年から販売されるとも。※中国で競争力をもたせようとなると、既存プラットフォームベースではどうやっても太刀打ちできない

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なお、これに先がけて今年11月には(新しいプラットフォームを採用する)コンセプトカーが公開され、2020年代末までにはあわせて9台のモデルが投入されるほか、アウディは中国のスタートアップ、「モメンタ」と提携し、同社の開発する運転支援技術を導入するという話もあるもよう。

よって(情報が正しければ)アウディは現在EVに使用する、MEB(VWとの共有)そしてPPE(ポルシェとの共同開発)を中国市場において廃止し、そのかわりに「オールチャイナ」にて開発・調達した車両を製造販売する可能性が高く、そしてこれは(世界的基準からすると)アウディとは呼べないクルマかもしれません。※開発期間の短縮は安全性や信頼性の低下にも繋がりかねない

そしてこういった事情もあって「アウディは、今後中国で発売されるEVにフォーリングスを用いない」と言われているのですが、その真偽の程は11月には明らかになるのかもしれませんね。

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参照:Automotive News

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