| フォルクスワーゲンはじめ、いくつかの既存自動車メーカーが「安価なEVを製造するため」中国の自動車メーカーに助けを求めている |
はじめから「EVメーカー」として誕生した会社には無駄がなく、製造コストが最適化されている
さて、テスラが「25,000ドルの安価なEV(いわゆるモデル2)プロジェクトをキャンセルした」と報じられる一方、いくつかの既存自動車メーカーは廉価版EVのリリースに言及しており、フォルクスワーゲンもそのひとつ。
フォルクスワーゲンの場合は(失われつつある)中国でのシェアを取り返すために廉価版EVの投入をしなくては「会社が成り立たない」状況に陥る可能性があり、よってフォルクスワーゲンは少し前に中国の現地新興EVメーカー、Xpengとの提携を発表しています。
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フォルクスワーゲンは2026年に低価格EVを一気に6モデルも発売
そしてこのパートナーシップによって誕生するのが「ローコストな新しいEVプラットフォーム」ですが、フォルクスワーゲンは(XpengとVWの子会社である)フォルクスワーゲン・チャイナ・テクノロジーカンパニー (VCTC)と(VWのソフトウエア開発部門の)カリアッド・チャイナの共同プロジェクトである新しいチャイナ・エレクトリカル・アーキテクチャ(CEA)経由にて、「最大で40%生産コストを低減できる」という新型EVを投入する計画を持っているわけですね。
このコスト削減の一部は電子制御ユニットの数が30%削減されたことによって達成され、また集中型コンピュータ システムとサブシステムのゾーン構造により、VWは無線アップデートを適用したり、継続的かつシームレスにアップデートできる自動運転機能などの新技術を実装することが容易になる、とも伝えられています。
なおフォルクスワーゲンはまず2026年にこのプラットフォームを使用した2台の中級車を中国市場に投入する予定でだとされ、最初の車両はSUVとなるもよう。
これに加え、同じ2026年にVWは「フォルクスワーゲン中国技術会社(VCTC)」が(従来からの提携関係を継続している)上汽フォルクスワーゲンおよび一汽フォルクスワーゲンと共同開発した2つ目の中国専用プラットフォームもデビューさせるといい、 この”チャイナ メイン プラットフォーム (CMP) ”アーキテクチャは、上述のXpengとの提携によって誕生するクルマよりもさらに手頃な価格となるよう設計されており、当初は4つの小型車が誕生する計画だとも報じられています。
つまりフォルクスワーゲンは2026年に低価格EVを一気に6台も(中国にて)発売することになりますが、これはすでに述べた通り「それだけ中国での競争が厳しいから」。
VWは何十年にもわたって中国において強大な存在感を示し、この国が提供する販売と製造の可能性を活用した最初の西側ブランドであったものの、最近はますます有能で強気な価格を設定する地元の反対派やテスラに対して苦戦を強いられている状態です。
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VWの中国における責任者、ラルフ・ブランドシュテッター氏は「競争は非常に熾烈であり、この環境で競争力を発揮できるようコスト構造を適応させる必要がある」とコメントしており、ここからの巻き返しに期待したいところですね。
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参照:Reuters