
| ポルシェの販売下落は「止まらない」 |
世界的に落ち込むポルシェの収益 ― 中国とアメリカの影響大
さて、ポルシェAGは2025年第1四半期の決算にて深刻な業績悪化を報告していますが、その主要因は米国へと輸入するクルマへの25%関税、そして中国市場での需要減退。
そして今回、この決算に加え直近の販売動向を踏まえつつ、ポルシェは2025年通期の売上・利益見通しを大幅に下方修正したことが報じられています。
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【ポルシェにおける主な数字のまとめ】
- 自動車部門の営業利益:前年同期比 -43.8%
- ポルシェAG全体の利益:-40.5%
- 営業利益率:14.2% → 8.6%へと引き下げ
- 営業キャッシュフロー:マイナス9,100万ユーロ
- 売上予測:390~400億ユーロ → 370~380億ユーロに引き下げ
- 利益率予測:最大6.5%(従来の約半分)
【関税の影響】すでに約1億1,400万ドルの損失を計上
そして今回の「トランプ関税」につき、ポルシェCFOのヨッヘン・ブレックナー氏は記者会見にて「すでに4〜5月だけで約1億1,400万ドルの損失を被っている」と報告。
しかしながら今回の予測(業績引き下げ)には関税の長期化までは織り込まれておらず、仮に業績が悪化するならば「今後さらに予想を引き下げる可能性がある」とも述べています。
ポルシェの価格改定は時間の問題?
現在、ポルシェの米国価格には関税の影響は反映されていませんが、その理由は「発効前に在庫を先行出荷し備蓄していた」ため。
しかしヨッヘン・ブレックナー CFOは
「この状況が続けば、価格引き上げは避けられない」
とし、将来的には(備蓄が尽きれば)911やマカン、カイエンなどの価格上昇が現実のものとなるであろうことを示唆しています。
【今後の懸念】米国に工場なし、SUVが最大のリスク
なお、現在のところポルシェは米国内に生産拠点を持たず、現時点で工場設立計画もなし。
これにより、すべての車両が関税の対象となるわけですが、高価格帯の911などは価格転嫁できる可能性があるものの(いかに高額であっても顧客は911を受け入れるであろう)、利益の柱であるSUV(マカン/カイエン)シリーズについては購入者層が「価格に敏感」であること、そしてライバル柄数存在することから(一方で911にはライバルが不在である)大幅な値上げを行うことは難しく、これによってポルシェの利益率が大きく低下する可能性も。
そしてこの状況はアウディ、BMW、メルセデス・ベンツなどのプレミアムカーメーカーにも共通しており、今後はポルシェに続き「通気見通しを引き下げる」自動車メーカーが出てくるのかもしれませんね。
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参照:Reuters