
| ただし、幸運は準備をしておいたものだけに訪れる |
こういった形でテスラが販売を失うとは、誰も予期し得なかったであろう
さて、フォルクスワーゲングループが2025年第1四半期の販売状況を公開していますが、ここではいくつかの「異変」が見られます。
もっとも大きなものは「(VWグループの)グローバルでのEV販売台数が216,800台へと(前年同期比で59%)増えたということで、これは大きな躍進だと考えられますが、この立役者となったのは欧州市場であり、同市場でのフォルクスワーゲングループのEV販売は昨年の74,400台から158,100台へ、”113%”という爆発的な成長力を見せているわけですね。
なぜフォルクスワーゲングループのEVは販売が伸びたのか?
ここで湧いてくる疑問が「なぜフォルクスワーゲングループのEV販売が伸びたのか」。
これまで同グループのEVはなかなか売れず、よってフォルクスワーゲングループはそれまでの計画を転換せざるを得なかったほど。
それが一転しここまで売れるようになった理由としては「テスラの不振」が影響しているのではと見られていて、実際にテスラの販売はグローバルで(2025年第1四半期に)13%減の336,681台ヘ、そしてドイツ市場では62%もの減少が報じられています。
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テスラの2025年第1四半期の販売は「予想を遥かに下回り、2022年第4四半期以来最悪」の水準に。さらに状況を悪くしているのは「今後改善の見込みが低いこと」である
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なお、これら販売減の要因としては既報の通り「イーロン・マスクCEOの政治的言動」によるものが大きく、とくにナチス式敬礼は欧州において大きな批判を招いてしまい、最新の統計では「ドイツ人の94%が、イーロン・マスク氏の言動が理由でテスラを買わない」と回答することに。※ただ、ドイツの極右政党であるAfdは(直近の調査では)支持率ナンバーワンの政党であり、これを養護するイーロン・マスク氏に反感が持たれるというのには違和感を覚える
いち自動車会社のCEOの言動でここまで(製品の)販売が落ち込むというのも驚きではありますが、それだけ「テスラとイーロン・マスク」は強く結びついており、両者が不可分であるということもわかります。
一方、中国市場は「成長の足かせ」に
いずれにせよ、このテスラの販売急落によって「恩恵」を受けたのがフォルクスワーゲングループのEVということになりますが、同グループではVW ID.シリーズ、アウディ e-tronシリーズなど様々なEVを展開しており、消費者にとって豊富な選択肢が用意されていたことから「選ばれる」こととなったのかもしれません(その意味では、頑張ってEVを市場投入してきた苦労がちょっとだけ報われた)。
そのほか、フォルクスワーゲングループの市場別EV販売だと、北米市場では前年同期比51%の19,900台となったものの、中国市場だと37%減となる25,900台へと落ち込んでしまい、方々で報じられる通り、中国市場での苦戦が鮮明となっています。
参考までに、中国市場においては内燃機関搭載者の販売も減っており、同市場では7%のマイナスを記録し、地域別では「唯一の」マイナスとなっているので、このトレンドが続くようであれば、あるいは「中国市場から撤退」したほうがいいのかもしれません。※ワールドワイドでのVWグループにおける内燃機関車の販売は1.4%増、PHEVは15%増
フォスクスワーゲングループのEV販売実績はこうなっている
そして以下はVWグループにグループのEV販売「詳細」で、販売地域別、モデル別の状況を示したものですが、「EV人気モデル」6位にポルシェ・マカンEVが登場し、ポルシェのEV販売台数を326%増へと押し上げる原動力となっています。
VWグループ EV販売実績(2025年Q1)
地域 | 2025年Q1 | 2024年Q1 | 増減率 |
ヨーロッパ | 158,100台 | 74,400台 | +112.6% |
アメリカ | 19,900台 | 13,200台 | +51.0% |
中国 | 25,900台 | 41,000台 | -36.8% |
その他地域 | 12,800台 | 7,800台 | +63.7% |
世界合計 | 216,800台 | 136,400台 | +58.9% |
VWグループの人気EVランキング(2025年Q1)
- VW ID.4 / ID.5 – 4万3,700台
- VW ID.3 – 2万8,100台
- Audi Q4 e-tron(ID.4の兄弟モデル)– 2万2,800台
- Skoda Enyaq – 2万200台
- VW ID.7 – 1万9,100台
- Porsche Macan Electric – 1万4,200台
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