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フェラーリ「ディーノ計画は死んでいないが、すぐに発売する予定もない。現在は”高価格戦略”を進める」→一台あたりの利益を最大化

2019/09/21

| フェラーリは一台あたりの利益を最大化する戦略に |

フェラーリのチーフ・コマーシャル・オフィサー、エンリコ・ガリエッラ氏によると、「V6エンジン搭載のディーノをすぐに発売する予定はない」とのこと。

これは英国Autocarがフェラーリに対して発した「ディーノの計画は死んでしまったのか?」という問いに答えたもので、「今は”死んだ”という言葉は使わないでおこう。ただし、直近でディーノを発売する計画がないこともまた事実だ」。

フェラーリは2022年までに15ものニューモデルを投入する計画を発表していますが、そのうち4つはすでに発表済み(SF90ストラダーレ、F8トリブート、F8スパイダー、812GTS)。

残るは11台ということになるものの、これは今までのフェラーリからすると「かなりな数」でもあり、ここにディーノが含まれるというのはごく自然な考えとも言えます。
ただ、ここ最近はまったくディーノのウワサも聞こえてこず、そこでAutocarがフェラーリに対して直球を投げたのかもしれません。

フェラーリは高価格帯に集中

そして現在のフェラーリの路線が「高価格帯にシフト」。
SF90ストラダーレはその価格5000-6000万円ほどだと言われますが、これはもちろんフェラーリに大きな利益をもたらすことに。

加えて新しく立ち上げた限定シリーズ「ICONA」も同様で、たとえ少量といえどモンツァSP1/SP2も利益には貢献しそう(よって、残る11車種のうちいくつかは、このICONAシリーズだとも思われる)。

フェラーリは希少性を損なうことができず、そのために「台数を増やさずに利益を伸ばさねばならない」という矛盾した課題に取り組む必要があり、その解決策の一つは「高価格帯にシフト」なのだと思われます。

フェラーリの戦略はCEO交代によって真逆にシフト

そしてなぜこういった動きが出てきたのかということですが、まずフェラーリの前CEO、セルジオ・マルキオンネ氏は「安価なモデルを投入し、販売台数を増加させることで」利益を増加させるという意向を持っていたわけですね(同氏は、フェラーリブランドを活用し、さらに安価なサブブランド”フェラリーナ”までを提案していた)。

ただ、そうなるとフェラーリの希少性や排他性、そしてブランドバリューが低下することになり、投資家はこれに反発。

その後同氏が死去するにあたってフェラーリCEOはルイス・カミレッリ氏へと交代し、同氏のもと、これまでとは真逆の「高価格帯戦略」を採用することに。

加えてニューモデルを積極投入するものの、モデルあたりの生産台数を(モデルサイクル短縮化によって)減らし、そのぶん希少性を保つと見られますが、少量生産化によって高くなるコストも車両に上乗せされることになりそうですね(購入時はそれなりのコストを消費者に強いるものの、売却時も高額だと思われるので、消費者に損がある話でもない)。

ディーノはもともとエントリーモデルだった

そして件の「ディーノ」ですが、これはもともとフェラーリが1967年に発表したミドシップスポーツ、「ディーノ206GT」に端を発します。
当時フェラーリは財政を支えるために市販車ビジネスの拡大に迫られていましたが、そこでフェラーリ創業者、エンツォ・フェラーリの息子であるアルフレッドが提案したのが「V6エンジン搭載のエントリーモデル」。

ただ、エンツォ・フェラーリは市販車ビジネスに対して積極的ではなく、「V12エンジン搭載車以外はフェラーリと言わん」というポリシーを持っており、フェラーリブランドのイメージ毀損を回避するために「フェラーリ」の名は与えずに「ディーノ」というブランド名にて発売。

よってディーノにはフェラーリのエンブレムが与えられていなかったとされますが、顧客の要望があればフェラーリのエンブレムを装着した、とも言われていますね。

ちなみに「ディーノ」の車名は、このクルマ(に積まれるV6エンジン)を発案したアルフレッドの愛称”ディーノ”から。

その後ディーノは246GT/246GTSへと発展し、その後4座の208GT4/308GT4へとバトンタッチ。
ただしこれらモデルは販売が芳しくなく、フェラーリ本社の指示により、各ディーラーに在庫されているディーノ208GT4/308GT4のエンブレムをすべて「フェラーリ」に入れ替えて売り切り、そのまま販売終了となっています。

よって、もともとディーノとは販売台数を確保するためのエントリーモデルであったということになりますが、2016年に持ち上がった「新ディーノ」も同様の役割を期待されていたものと思われます。

ただ、フェラーリは今後V6エンジンを復活させることになり、そこで「フェラーリ初の」V6エンジン搭載モデルだった初代ディーノをV6エンジンとともにリバイバルさせることで大きな話題を呼べそうだと考えていたものの、方針変更によってこの計画も潰えてしまった、ということになりそうです。

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