
| 初の海外工場も閉鎖の可能性。新CEOの「Re:Nissan」再建計画が本格始動 |
日産が大胆なリストラ策を開始、7工場を閉鎖へ
日産は深刻な経営難に直面しており、ここから脱するべく新CEOであるイヴァン・エスピノーサ氏のもとで抜本的な再建計画「Re:Nissan」を進行中。
2025年7月現在、世界で7つの工場を閉鎖し、従業員2万人を削減する方針が報じられていますが、すでにこの一環として神奈川県・追浜工場を2028年3月までに閉鎖する計画が公式に発表され、今後の追加閉鎖対象にはメキシコのCivac(シバック)工場も含まれる可能性が高いとAutomotive Newsが報じています。
メキシコCivac工場は日産初の海外拠点だった
このCivac工場は、1966年に稼働を開始した日産初の海外工場であり、メキシコ国内はもちろん、ラテンアメリカ向けのフロンティア/ナバラなどのピックアップトラックなどを生産中。
この工場は2027年3月までに閉鎖される可能性が高く、日産のグローバル戦略において歴史的にも重要な、そして象徴的な拠点を失うことを意味します。
ダイムラーとの協業も終了へ、QX50/QX55は年内生産終了
さらに、日産はメルセデス・ベンツとの合弁工場「COMPAS」での提携を2026年初頭までに解消する方向だといい、ここではインフィニティQX50/QX55およびメルセデスGLBが並行して生産されていますが、QXシリーズは2025年12月をもって生産終了。
これにより、日産のプレミアムブランド「インフィニティ」の北米戦略にも大きな転機が訪れようとしており、少し前に掲げた「ブランドのリブート」どころかその存続すら危ぶまれる状態に。
生産能力を30%削減、開発も一時停止。徹底したコスト削減
「Re:Nissan」計画では、以下の具体的な数値目標が掲げられていますが、5月には一部モデルの開発を一時停止し、人員をコスト削減タスクに再配置したほか(削減のための仕事はなんともネガティブではあるが、やるしかない)、新型車の開発スピードも改善する方針についても言及されていますね。
- 工場数:17拠点 → 10拠点へ削減
- 生産能力:30%削減(2027年まで)
- 従業員:2万人削減(主に工場閉鎖による)
- 開発コスト:20%削減
- 調達先に対しては支払い猶予(IOU)の導入
ホンダのピックアップを日産が生産?奇抜な提携案も浮上
そしてここ最近で新しく出てきたウワサが「日産はアメリカ・ミシシッピ州の工場でホンダブランドのピックアップトラックを生産する可能性がある」。
これは、トランプ政権による輸入車関税の影響を回避するための措置であり、同時に工場の稼働率を100%に近づける目的もあるとされ、ただし現時点では正式な発表はなく、あくまでも「ウワサ」の範疇にとどまります。
ただ、工場を17拠点から10拠点へと削減しても30%しか生産能力が減らず(工場の規模の代償はあると思うが)、そしてそれでもホンダ車の生産を請け負うという話が出る辺り、「いままで日産の工場はどれだけ設備を遊ばせていたのか」という感じですね。
過去最大級の赤字。回復への道のりは険しい
日産は昨年度、45億ドル(約7,200億円)の最終赤字を計上し、Re:Nissan計画で最大34億ドルのコスト削減を見込んでいますが、これでも赤字をすべて解消できるわけではなく、CEO交代後も再建の道のりは険しく、ブランド再構築と製品戦略の見直しが急務であると見られています。
なお、日産はホンダとの提携を断って「自力再建」の道を選んでいますが、これが吉と出るか凶と出るかはまだ不明。
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しかしながら日産はもう「どうしようもないところまで」来ていて、それを考えると「(ホンダ側の視点だと)ホンダは日産にリソースを奪われず」良かったのかもしれません。
一方の日産は「新型車が出ずに売るものがなく」、現行製品を安価なプライシングにて延々と売り続けるしかないという状況であり(北米で最も安価なクルマはヒョンデやキアではなく日産車である)、そして新型車についても「ライバルに対して競争力を持つ」と思えるレベルのクルマが出てくるとは思えず、いかにコストを削減したとしても「収入を増やせる」可能性が見えない限り、その再建の道は果てしなく遠いのかもしれません。
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参照:Automotive News