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ヒョンデがサーキット走行に対応したEV、アイオニック5 Nを発表。ガソリン車の8速トランスミッションの動きを再現しドリフトも自在、「戦闘機」からサンプリングしたサウンドも【動画】

ヒョンデがサーキット走行に対応したEV、アイオニック5 Nを発表。ガソリン車の8速トランスミッションの動きを再現しドリフトも自在、「戦闘機」からサンプリングしたサウンドも【動画】

| ヒョンデは現在世界中でその存在感を強めており、「あなどれない」ブランドにまで成長している |

キャッチコピーは「Never just Drive(単に運転するだけではない)」

さて、韓国ヒョンデが大人気のEV、アイオニック5のハイパフォーマンス版、アイオニック5 Nを発表。

なお、ヒョンデにとっての「N」は(BMWにとってのM同様)走りを表す文字であり、ヒョンデの本社所在地、そしてニュルブルクリンクの頭文字をとったもの。

参考までに、最近までこの「N」ブランドを率いていたのはBMW M社で代表を努めていたアルバート・ビアーマン氏です。

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アイオニック5 Nは電動化ハイパフォーマンスモデルの「最初のステップ」

EVにこういったハイパフォーマンスモデルを設定したこと自体が驚きですが(他だとメルセデス”AMG”しかないと思う。BMWは純然たるMブランドからはEVを発売していない)、ヒョンデはこのアイオニック5を「電動ハイパフォーマンスカー戦略における最初の一歩」だと表現しており、将来的にはこのサブブランド「N」専売となるスーパーEVが発売される予定だとも述べています。

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おそらくこのスーパーEVは「N ヴィジョン74」の市販バージョンになると考えてよく、しかし現時点では多くが謎に包まれたまま。

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そこで話をこのヒョンデ アイオニック5 Nに戻すと、前後に合計2つのエレクトリックモーターを搭載して600馬力と740Nmを発生し、10秒間持続する「Nグリン・ブースト」機能を作動させることによって最高出力641馬力/770Nmにまで向上するというギミックを備えます。

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なお、0-100km/h加速は3.5秒(Nグリン・ブースト使用時は3.4秒)、最高速は260km/h。

搭載されるバッテリーは84kWh、充電システムは800Vに対応し、その結果わずか18分でバッテリーを10%から80%まで充電することが可能だとアナウンスされています。

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ヒョンデ アイオニック5 Nは単なる「パワーアップ版」ではない

このアイオニック5 Nは単に(標準のアイオニック5の)出力を向上させワイルドな外観を与えただけのクルマではなく、数々のサーキット走行に特化した専用の機能を持っており、そのひとつが「バッテリー・プレコンディショニング機能」。

これはバッテリーの性能を最適化することを目的に導入されたもので、ドライバーはドラッグ・モードとトラック・モードを選択できるとされ、トラック・モードではバッテリー温度を最適化し最多周回数を実現し、ドラッグ・モードでは短時間にトータル・パワーを集中させることにより公道とサーキットの両方でドライビングエクスペリエンスを向上させることができるのだそう。

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さらに2つのモードを備えた”Nレース”機能では、クルマのエネルギー使用をさらに効果的にコントロールできるといい、たとえばエンデュランス・モードは(ピークパワーが制限されるものの)サーキットでの走行距離を最大化することができ、スプリント・モードはその逆に「フル出力を優先」。※上述のトラック/ドラッグモードに似ている

さらにNローンチ・コントロールでは3段階のトラクション・レベルを設定でき、ロケットスタートをサポートすることが可能となるようですね。

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現時点において、ヒョンデはアイオニック5 Nの車両重量を明らかにしておらず、しかし「標準モデルより重い」ことについては言及済み。

標準のアイオニック5の車体重量は2,115kgですが、大径ホイール、全面的に見直されたサスペンション、エアロパーツ含むワイドボディ、最新の回生ブレーキシステムなどが重量増加の要因となっている、と明かされています。

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アイオニック5 Nに搭載される回生ブレーキについて触れておくと、これはサーキット走行時など必要に応じて(従来の)機械式ブレーキを補完して強力なストッピングパワーを発揮するそうですが、通常時は最大0.6G、ABS作動時は最大0.2Gの減速力を発揮することができるもよう。

一方で機械式ブレーキは4ピストンのモノブロック・フロントキャリパー+400mmローター、リアはシングルピストン+360mmローターという構成となっていて(回生ブレーキとの併用を考えているせいか比較的コンパクト)、このブレーキは、ハイブリッド構造を持つ軽量新素材で構成され、ヒョンデ史上最強のブレーキに仕上がっていることもアナウンスされています。

そのほか、重量を感じさせないためのソリューションとして、ヒョンデは「Nペダル」なるものを開発しており、これはソフトウエアによって制御がなされ、回生ブレーキ力を増加させることで荷重移動を自動的に行い、その結果として即座に(かつ軽快に)ターンインできるようプログラムされているようですね。

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ヒョンデ アイオニック5 Nにはドリフトモードも

さらには「後輪駆動車で使われるクラッチキックの動作をシミュレート」したトルクキックドリフト機能、そしてこれを統合してコントロールする「Nドリフト・オプティマイザー」なるデバイスが装備され、これは(想像の通り)ガソリンエンジン搭載のFRスポーツカーのようにドリフトを可能とするもので、最大11段階の調整が可能なNトルク・スプリット、そして電子制御式リミテッド・スリップ・ディファレンシャルによって最適なアングルを維持した状態でのドリフトが可能となるもよう。

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そしてちょっと面白いのは「N e-シフト」「N アクティブサウンド +」なるシステムであり、これはドライビング・エクスペリエンスを向上させるために開発され、N e-シフトは、ヒョンデの8速デュアルクラッチトランスミッションのフィーリングをEVにもたらすもので、モーターのトルク出力を制御することで、シフトチェンジ時の揺れをシミュレートすると紹介されており、トヨタがEVに装備しようとして開発を行っている「疑似MT」同様の機能と考えてよいかと思います(ただちトヨタのようにクラッチ付きMTではなく、パドルシフトに疑似シフトチェンジを行うようだ)。

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もうひとつのNアクティブサウンド+は、3つの異なるサウンドテーマを提供することによってN e-シフトを補完すると説明され、ひとつめのテーマ「イグニッション」だとヒョンデのNモデルに積まれる2.0リッターターボエンジンのサウンドを疑似的に再現し、「エボリューション」は(ヒョンデのミドシップスポーツコンセプトである)RN22eからインスピレーションを得たもので、最後の「スーパーソニック」は戦闘機をソースとした刺激的なサウンドを生成するといい、もちろん「疑似シフトチェンジ」「疑似エンジン回転数」にマッチしたサウンドをドライバーの耳へと届けることに。

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ヒョンデ・アイオニック5 Nは見ての通り標準モデルよりも大きく、全幅は40mm、全長は80mm拡大され、一方で車高は20mm落とされることに(ホイールは21インチ)。

エクステリアだとロアバンパーリップスポイラー、アクティブエアフラップ、機能的なメッシュエアカーテン、サイドスカート、リアディフューザーを装備し、これらエアロパーツの一部には「N」を象徴するルミナスオレンジが配されます。

ボディカラーは合計で10色が用意され、Nパフォーマンス・ブルー・マットに(マットではない)Nパフォーマンス・ブルー、そしてアビスブラックパール、サイバーグレーメタリック、エコトロニックグレーマット、エコトロニックグレー、アトラスホワイト、アトラスホワイトマット、グラビティゴールドマット、ソウルトロニックオレンジパール。

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インテリア(画像がほとんど公開されていない)は、パフォーマンス・ブルーのアクセントを配したブラックのみの選択となり、新デザインのNステアリングホイールには、はじめてパフォーマンス・ブランド「N」ロゴを採用し、ドライブモードセレクト、Nグリンブースト、2つのNカスタムボタンの4つのボタンを装備。

さらにはサーキット走行時に備え、強化されたセンターコンソールにニーパッド、加えてスライド式アームレストを追加するという本気仕様を持っています(シートの取り付け位置も下げられている)。

現時点ではこのアイオニック5 Nの発売日や価格、グレードなどは明かされていないものの、近日中になんらかの公表を行うということもアナウンスされており、詳細の情報公開を待ちたいところでもありますね。

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ヒョンデ アイオニック5 Nのワールドプレミア動画はこちら

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参照:HyundaiWorldwide

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