| まさか当時のヒョンデは45年以上経過した後に、このデザインが大きな反響を呼び、ヒョンデを躍進させることになるとは思わなかっただろう |
やはり自動車におけるデザイン、さらに言えばアイコニックなデザインがどれだけ重要であるかがわかる案件である
さて、ヒョンデが今年のコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステにて「ポニー・クーペ・コンセプト」のレストモッドを公開する、とアナウンス。
このポニー・クーペ・コンセプトは1974年のトリノモーターショーにてデビューを飾っており、当時の市販車「ポニー」の前身となるクーペボディを身にまとうコンセプトカー。
そのデザインを担当したのは他ならぬジョルジエット・ジウジアーロで、その後に自身がデザインしたデロリアンDMC-12に影響を与えることになったとも語っています。
なお、アイオニック5へとつながるコンセプトカー、「45EVコンセプト」もこのポニークーペ・コンセプトにインスパイアを受けていて(45とはポニークーペ・コンセプト発表45周年記念という意味がある)、ここからヒョンデの「ポニークーペ・コンセプト推し」が始まったように思います。
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ポニークーペ・コンセプトとはどんなクルマだったのか
そこでこのポニークーペ・コンセプトを振り返ってみると、上述の通りこれは「ポニーのクーペ版」。
このポニーとはヒョンデ初の市販車であり、ボディ形状は一般的な4ドアハッチバック(リフトバック)です。
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なお、年次を見ると、ポニークーペ・コンセプトが1974年、ポニーが1975年なので、ポニークーペ・コンセプトのほうが「先に生まれた」わけですが、折しも世界は経済危機を迎えており、スポーツカーを受け入れるだけの経済的な余裕が当時の世界にはなく、よってヒョンデは「(市販車第一号を)より販売台数を稼げる」ボディ形状へと変更した、とされています。
ただ、このヒョンデ・ポニークーペ・コンセプトはのちのヒョンデ車に大きな影響を与え、経済危機を乗り切った後にはヒョンデ Sクーペなる、ポニークーペ・コンセプトに近い外観を持つクルマも発売されているので、ヒョンデとしてはポニークーペをなんとか世に出したかったのかもしれません。
ヒョンデはポニークーペ・コンセプトを現代に蘇らせる
そして今回ヒョンデは(上述の通り)ポニークーペ・コンセプトを現代に蘇らせるとアナウンスしており、5月20日に実車をお披露目することになりますが、その製作を担当するのはオリジナルのポニークーペ・コンセプトをデザインしたジョルジエット・ジウジアーロ、そしてその息子のファブリツィオ・ジウジアーロ。
つまりヒョンデは1970年代はじめに市販車第一号を世に送り出すにあたって、大御所であるジウジアーロにデザインをイキナリ依頼したということになり、おそらく当時相当なデザイン料を支払ったと思われるものの、今になって(アイオニック5にヒットや、そのほかデザイン資産の活用、話題性獲得など)そのモトが十分すぎるくらい取れたと考えることができるかもしれません。
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画像を見るに、木型を使用してボディパネルを叩き出すという手法を取るようで、この復元に相当な注力を行っていることもわかりますね。
このポニークーペ・コンセプトは「N Vision 74」にも大きく影響を与えており、ちょっと前には、このN ヴィジョン74が少量ながらも生産されて販売されるというウワサも出ており、しかしこれはヒョンデが直接「それはない。ガセネタである」とコメントしたため、実現の可能性は現段階では「ゼロ」。
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今回のレストモッドについてはまだ詳細が分からず、基本的には当時のスタイルを復元することに集中しているそうですが、しかしいくつかは現代的な要素も付与されるものと思われます。
ちなみに内装はレトロフューチャーなデザインを持っていて・・・。
拡大するとこう。
現在公開されている画像はレストモッド中のもの、そして真横と真上から車体を捉えたものとなっていて、つまり意図的にヘッドライトやテールランプが見えないよう隠された状態。
ただし、現在のヒョンデのデザイン言語のひとつとなっている「デジタルピクセル」ヘッドライトそしてテールランプを持つであろうことは想像に難くなく、さらにデザインに対して非常に高いプライオリティを置いているヒョンデだけに実車公開には期待がかかります。
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