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ヒョンデのデザイナー「SUVばかり作ってセダンを切り捨てるブランドは将来後悔するでしょう。このままではSUVしか作れないデザイナーで溢れてしまう」

2023/04/15

ヒョンデのデザイナー「SUVばかり作ってセダンを切り捨てるブランドは将来公開するでしょう。このままではSUVしか作れないデザイナーで溢れてしまう」

| ヒョンデのデザイナーはデザインスキルだけではなく、商業センスにも長けている |

実際のところ、近年のヒョンデ/ジェネシスの成功は「優れたデザイン」によるものだと言っていい

さて、現在猛烈な勢いにて勢力を拡大している韓国ヒョンデとその高級ブランドであるジェネシス(と傘下にあるキア)。

人気の理由はひとえにデザインにあると認識していますが、それもそのはずで、ヒョンデ/ジェネシスは元ランボルギーニやベントレー、BMWなど世界に名だたるプレミアムブランドのデザイナーを獲得し、デザインをトッププライオリティに置いた製品づくりを行っています。

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ヒョンデはデザインに対して高いプライオリティを置いている

そういったデザイナー陣の中で、もっとも強い存在感を発揮しているのがルク・ドンカーヴォルケ氏。

ルク・ドンカーヴォルケ氏は1992年にフォルクスワーゲングループに加入し、その後1994年から1996年はシュコダ(オクタヴィアとファビアをデザイン)、そして1996年から1998年まではアウディ(A2とA4アバントをデザイン)、1998年にはランボルギーニのデザインチーフへと就任。

ランボルギーニでは「ディアブロVT」「ムルシエラゴ」「ガヤルド」、その後2012年に(同じフォルクスワーゲングループ内の)ベントレーに異動してフライングスパーほかEXP10 スピード6などコンセプトカーのデザインを手がけたのちの2016年4月に突如ベントレーを辞任し、翌日に「ヒュンダイ入り」が発表されています。

ヒョンデでは数々の功績を残し、重責にまで上り詰めるものの、「家族と過ごす時間を持ちたい」としてヒョンデを辞しますが、ヒョンデは破格の待遇にて同氏を呼び戻し、現在同氏はヒョンデ・モーター・グループ全体のチーフ・クリエイティブ・オフィサーへと就任して現在に至ります。

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こういった経緯を見るに、ヒョンデが欧州車やアメリカ車、日本車と戦う武器として選択したのが「(品質や運動性能ではなく)デザイン」であり、そのデザインを再現するために有力デザイナーを世界中から獲得し、さらにそのデザインを製品として実現するために相当なコストを割いていると考えて良さそうですが、多くの自動車メーカーではデザインのプライオリティは(重視はしているものの)トップではなく、製造コストのためにデザインを犠牲にする場合も多々あると認識しています。

つまり、デザイナーがいかに優れたデザインを考えても、”それはカネがかかるから無理”と言われることになり、結局日の目を見ないものの、しかしヒョンデではデザイナーの発言力が強く、そのデザインを実現するために社内の他の部署が(デザイナーに合わせて)動くのだと考えられます。

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そしてヒョンデがいかにデザインを重視しているかが理解できるのが「アイオニック5」であり、これはもともとコンセプトカーであったものの、あまりに評判が良かったため、様々な予定を変更し、そしてコンセプトカーにて評価された「デジタルピクセル」ランプを新たに開発してまで投入したというクルマ。

その後は同じデザインテイストを持つクルマを相次ぎ(コンセプトカー含め)発表しており、これは「デザインが会社を変えた」好例かもしれません。

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ヒョンデ/ジェネシスはセダンを捨てない

ちょっと前置きが長くなったのですが、ぼくが言いたかったのは「ヒョンデはデザインを重視している」ということ、そして「ルク・ドンカーヴォルケ氏はヒョンデにて絶大な権力を持っていること」。

そして今回、そのルク・ドンカーヴォルケ氏が語ったのが「セダンを捨てない」。

正確に言うならば、セダンに加えてクーペやカブリオレも重視しており、つまりSUVの影に隠れてしまい、多くの自動車メーカーが廃止しているモデルたちにもスポットライトを当てると述べています。

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同氏によれば「私は、無骨なものからスポーティなものまでSUVを愛していますが、SUVに特化するのは間違いです。私は、街中をSUVで溢れさせたくはありません。自動車を作る立場の側から見ると、SUVを作るのはとても簡単で、SUVに特化したクルマづくりをしていると、その自動車メーカーは、(SUVのような)レンガしか手がけてこなかったために、限られたスキルのデザイナーしか持たないことになるのです」。

さらにルク・ドンカーヴォルケ氏は「セダンを廃止しようとしているライバルブランドは、その決定を後悔するようになるでしょう」と述べ、さらにはXスピーディウム・クーペ、Xコンバーチブルのような「ほかメーカーが見切りをつけつつあるセグメント」についても展開を行うことを示唆しており、このあたり同氏はベントレーでの経験を生かして”勝算あり”と踏んでいるのかもしれませんね。※ベントレーはSUV「ベンテイガ」を持っており、人気商品となっているものの、ほかブランドほどその比率が高くなく、コンチネンタルGTなどほかモデルもよく売れている

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なお、現在ジェネシスはセダンとして「G90」「G80」「G70(とそのシューティングブレーク)」、SUVとして「GV80」、「GV70」、「GV60」の3つを持ち、つまりはセダンとSUVとが半々という、現代ではかなり珍しい構成を持っていますが、今後SUV比率がどんどん薄くなる可能性があるのかも。

ただ、ルク・ドンカーヴォルケ氏は「まだまだSUVにも可能性がある」とも語っており、メルセデス・ベンツGクラスのライバルとなる「ラダーフレーム(ボディオンフレーム)採用のオフローダー」投入についても意欲を見せており、水面下では何らかの準備を進めていることについても触れています。※このルク・ドンカーヴォルケ氏は、デザイナーとして自身の嗜好を追求するよりも、自動車を”商品”として捉え、ビジネスとして成功させることを優先するという稀な商業型デザイナーでもある

最後に同氏は、「私の目標は、会長から "もしも "と言われたときに、準備不足であることがバレないようにすることです」とも語っており、ヒョンデの会長からどのような無理難題を持ちかけられようとも、「ええ、できますよ。問題ありません」とサラっと言えるだけの準備を日々行っているのだと思われます。

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参照:Motor1

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