
| このフェラーリ初のEVが素晴らしいクルマとなるのは間違いないであろう |
問題は(F80同様)ファンがその意図を理解できるかどうかである
さて、フェラーリは4月29日に296スペチアーレ(あるいはVSと呼ばれるスペシャルモデル。実際の名称は不明)をオンラインにて発表する予定ですが、10月9日に開催される「キャピタル・マーケッツ・デイ」にて、エレットリカと呼ばれるEVを正式発表する計画を持っています。
もちろんフェラーリにとってEVは「初の存在」でもあり、これはフェラーリにとって大きな節目、そして転換期であることは間違いなさそうです。
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フェラーリが2024年の決算を報告。販売台数は前年比+89台、2025年には「6つのニューモデル」を発表し、そのうちのひとつである「初のEV」は10月9日にお披露目
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ハイブリッドでの成功、そしてEVへ
フェラーリはこれまで、SF90ストラダーレ / SF90スパイダーや296GTB / 296GTSといったハイブリッドモデルを投入して大きな販売成功を収めてきましたが、そして今、その流れの集大成とも言えるEVモデルが「満を持して」登場することに。
フェラーリとエレクトリックパワーというのは意外な組み合わせではあるものの、F1を通じて長年にわたり電動技術を磨いてきたフェラーリにとって、この流れは自然なものだと言えるのかもしれません。
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「2025年はフェラーリにとって大きな変革の年」。296GTB/GTS、ローマ、SF90に変更があり、さらにはフェラーリ初のEVも登場
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加えて、フェラーリの現在のCEO、ベネデット・ビーニャ氏はこの業界では珍しい「自動車畑」出身ではなく「電気業界出身」といった背景を持つ人物でもあり、その意味でもこのEVは「登場すべくして登場する」ということになりそうですね。
さらに言うならば、フェラーリは「セミオートマチック」「電制デフ」などの電子制御デバイスを他メーカーに先駆けいち早く導入してきたという実績もあり、常に業界をリードするという姿勢を取ってきたことを考慮するに、ある意味で「EVの投入」は”フェラーリらしい”挑戦である、と考えることもできそうです。
フェラーリ「エレットリカ」の詳細
モデル名は仮に「Elettrica(エレットリカ)」とされており、これは「電気的な」という意味のイタリア語。
過去に「12チリンドリ(12気筒)」のように直訳的な名前を採用してきたフェラーリにとって、このネーミングも実現性が高いとも見られている反面、この商標の出願が確認されていないため、実際には別の名称にて登場するのかもしれません。
デザイン的には、(マラネロ付近を走るプロトタイプから推測して)ハッチバック風のクロスオーバースタイルになると見られており、4ドアボディが予想されています。
これは伝統的なスポーツカーというよりも、より実用性を持った高性能ラグジュアリーEVといったポジションになる可能性があり、フェラーリオーナーの「日常の足」といった位置づけなのかもしれません。
サウンドも“手作り”
フェラーリらしいこだわりはEVでも健在であるとされ、2023年に特許を取得した「サウンド再現装置」によって、内燃エンジンのようなサウンドを人工的に再現する仕組みが搭載される可能性が高く、すでにテスト車両のスパイ映像からも、その“音”が確認されており、注目を集めています。
なお、このサウンドについては、電気的に合成した「フェイク」ではなく、実際のパワートレーンの状況を直感的に把握できるよう、パワートレーンの物理的な動作音を増幅したものだとも報じられていますが、これは「フェラーリが公表するまで」なんとも判断ができないところですね。
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フェラーリはEVといえども「内製率」を高める
フェラーリの会長、ジョン・エルカーン氏によれば「すべての主要な電動コンポーネントはマラネロで開発・手作りされる」。
フェラーリは車両とくにドライブトレーンを内製することについて強いこだわりを持っており、ガソリンエンジンの主要コンポーネントだと「クランクシャフト以外」はすべて自社製であるとも言われます。
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フェラーリが新しい施設「E-ビルディング」を公開。主にEVおよび関連コンポーネントを生産することになるものの「Eは環境、進化、エネルギーを示します」
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それはエレクトリック時代であっても同様で、エレクトリックモーター、そしてそこへパワーを供給するバッテリーセルについても内製を行うべく「E-ビルディング」を建設していますが、このエレットリカに使用される電動パワートレーンについても自社にて製造されることになりそうです(フェラーリは「自動車メーカー」であるという意識を高く持っており、その観点からもル・マン復帰に際し、LMDh規定に則った指定メーカー製のシャシーを使用していない)。
さらに2024年4月にはボローニャ大学やNXPと連携して「E-Cells Lab」を設立し、リチウム電池の研究も強化中していることも報じられていますが、昨年だけで200件以上のバッテリー関連特許を取得しており、EVへの本気度が伺えようというものですね。
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まとめ:フェラーリの未来が始まる
内燃機関を愛するファンにとっては複雑な心境かもしれませんが、フェラーリはあくまで“フェラーリらしさ”を失わずに次の時代へ進もうとしており、フェラーリファンであればその意思を汲み取って応援するしかないのかも。
そして「エレットリカ」はフェラーリの新しい時代の象徴となる1台で、果たしてこの新型EVがフェラーリに新たな黄金時代をもたらすのかどうか、10月の発表に注目したいところでもありますね。
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