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テスラが「スーパーチャージャー事業を閉鎖し、管理者2名、そしてその下の500名を解雇」との報道。同事業部は新たな、しかし大きな収益源になると見られていたが

テスラ

| 加えてテスラはスーパーチャージャーを核とした娯楽施設を展開予定であったが |

一体テスラに何が起きているのか

さて、ここ何度かにわたり幾度かの「一時解雇(レイオフ)実施」が報じられるテスラ。

今回はさらに追加でのレイオフが発表されたとの報道が複数メディアにてなされており、これによれば「スーパーチャージャー事業のシニアディレクターと新製品の責任者の両方が退任し、その部下の500人も解雇される」。※一部報道では、「追加」の解雇ではなく、すでに発表された14,000人の解雇にこれらが含まれるというものも見られる

なぜテスラはこの時期にスーパーチャージャー事業を縮小?

なお、テスラは競合他社にない利点として「スーパーチャージャー」を持っていて、これによって顧客の充電エクスペリエンスを高めています。

一方で競合他社は自前で充電設備の展開を行わず、顧客に販売したEVの充電については「外部の充電事業者」に依存しているのが現状で、これによって顧客が充電体験についての(充電器が壊れている、予約アプリの操作性が悪いなどの)不満を漏らすことになり、一部のEVオーナーが「ガソリン車(あるいはハイブリッドやPHEV)に回帰する」理由の一つになっている、とも。

テスラ
ついにVWグループもテスラの充電規格を採用と発表。これでアウディ、ポルシェもテスラのスーパーチャージャーを使用できるようになり、事実上テスラが充電市場を制覇

| つい1年前まではこの規格を採用する会社はテスラのみだったが、今では充電ネットワーク会社を含めると28社が採用を表明している | のこるはステランティスのみだが、おそらくはこの流れに乗らざるを得ない ...

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そしてこういった状況を回避すべく、(ステランティスの除く)ほとんどの自動車メーカーが北米においてテスラのスーパーチャージャーを利用可能とすべくテスラと提携を行っているのが現在の状況で、そのためこれは「テスラにとって大きな事業になる」とも言われていたわけですね。

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ただし今回報じられる「スーパーチャージャー事業の閉鎖」については事実であるようで、というのも実際に解雇対象となった従業員がこの事実を自身のSNSへと投稿し、イーロン・マスクCEO自身も公式Xにて「同社はまだスーパーチャージャーネットワークを拡大する計画があるが、この拡張は100% の稼働率の確保と既存の拠点の拡張に重点を置き、新しい拠点ではより遅いペースで行われることになる」と述べているため、スーパーチャージャーに対する温度感が下がっていることは間違いないものと思われます。

テスラ
ウォール街のアナリスト「テスラのスーパーチャージャーは非常に大きな規模のビジネスになる」。実際にテスラの目標株価を350ドルに設定

| やはり先行者、そしてリスクを冒してでもチャレンジを行ったものへと利益が転がり込むようだ | テスラ自身、スーパーチャージャーが大きな利益を生むとは考えていなかったのかもしれない さて、テスラは自前 ...

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テスラは今後どう動くのか

より報道の詳細について触れてみると、今回退職するのはテスラのスーパーチャージャー事業のシニアディレクターであるレベッカ・ティヌッチ氏と新車プログラムの責任者であるダニエル・ホー氏。

加えてレベッカ・ティヌッチ氏とダニエル・ホー氏のもとで働く従業員は間もなく全員解雇され、これに加えてテスラの公共政策チームも解雇対象になると報じられているため、レイオフもしくは解雇対象はさらに増える見込みである、という報道も。

イーロン・マスク氏は従業員に宛てたEメールにて「これらの行動により、人員数とコスト削減について徹底的に取り組む必要があることが明確になることを願っている。一部の幹部スタッフはこれを真剣に受け止めているが、大半はまだ真剣に受け止めていない」と記載しており、この発言を見ても、まだまだ解雇対象が拡大することは間違いないものと見られますが、ことの発端は4月はじめに「四半期ベースで4年ぶりの販売減少を受け、従業員を10%削減する」という発表。

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テスラはEV市場の減速と中国のライバルの台頭という現実と闘っており、今年第1四半期の納車台数は38万6,810台(2023年の同時期と比べて8.5%減少)にとどまっていて、この事実を受けて決定されたのが「人員の大量整理」。

この10%の人員削減は「コスト削減と生産性向上」が目的だと説明され、「人員削減は組織を徹底的に見直した後に決定されている。これ以上に嫌なことはないが、やらなければいけない」と(やはり従業員に宛てたEメールにて)述べていますが、すでにこの解雇は部分的に始まっており、出社した後に「社員証が無効になり社屋に入れない」ことではじめて自身が解雇対象であることを知ったケースもある、と報じられています。

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