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スバルがトヨタとの共同開発による「新型EV3モデル」を北米にて投入との報道。加えてハイブリッド車の現地生産も計画し電動化へと舵を切る

2024/05/15

スバル

| スバルはこれまで電動化に対しては一定の距離を保ってきたが |

そろそろ新しい時代に対応した新しい戦略を採用するということなのかもしれない

さて、スバルがトヨタとのパートナーシップにて新型EVを3車種投入するとのニュース。

すでに両者は「ソルテラ」「bZ4x」を共同にて開発し市場投入を行っていますが、報道によればこれに加え、2026年までに全く新しいEVが発売され、そのラインアップを拡充することになる、とのこと。

参考までに、トヨタとスバルは2019年に「EVを共同にて開発し、(下の画像の)6モデルを発売」という計画を公表し、その第一号が「ソルテラ」「bZ4x」であったのだと思われますが、そこから両者の事情、そしてEVを取り巻く環境が大きく変わってしまっています。

おそらくトヨタとスバルは「計画を仕切り直し」

そして状況が大きく変わった要因は「テスラの勢力拡大」「中国車の予想外の伸び」ということになりそうで、当時はたとえEV時代に入ったとしても「トヨタ、フォルクスワーゲン、GM、フォード」が支配権を維持し、それら既存自動車メーカーの発売するEVにて市場が構成されると考えられていたものの、その後1年もしないうちにテスラが大きくシェアを伸ばし、そしてそのまた1-2年後には中国車がとんでもない勢いで伸びることに。

それらに共通していたのは「ガソリン車とは全く無縁の、あたらしい製造方法を採用することでコストを大きく引き下げた車体構造を持つ」ことで、しかし一方で既存自動車メーカーはこれまでの設計技術や生産設備に依存してしまい、これら新興勢力に対しコスト面での優位性を発揮できなかったという事情があるわけですね。

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よってトヨタは「それまでのEVに関する開発計画をいったん(ほぼ全て)白紙に戻して出直す」という勇気ある決断を行っていますが、おそらくはこの時点で(2019年当時に持っていた)トヨタとスバルとのEV共同開発プロジェクトも同時に消え去ったと考えてよく、そのため今回の話に出ている「3つの新型EV」は、トヨタが仕切り直した新しい計画に基づいたものだと推測しており、つまり「満を持して」トヨタがEV市場に送り込む世界戦略車(のスバル版)ではないかと捉えています。

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このスバルのEVはおそらく「米国生産」

なお、このスバルの新型EVについては米国で生産される可能性が高いと見られており、それは「米国生産し、一定の基準を満たせば連邦政府のEV税額控除の対象となるから」。

スバルは現在米国にて非常に強い存在感を放っていて、そしてソルテラのように「アウトドアと親和性の高い」イメージを活用し(求めやすい価格の)EVを売り出せば現在のファン層を活用したスムーズな電動化への誘導を行うことができる可能性があり、そのためにも、そして電動化に遅れを取っているスバルがここから挽回するためにも、この税制控除は「必須」だとも考えられます。

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ただ、スバルがインディアナ州に構えている工場ではEVの生産に対応していないという話も聞かれるので、このスバルの新しいEVを生産するのはトヨタの工場だと考えるのが妥当であり、トヨタは自社ブランドとスバルブランドのEVを同じ工場にて生産する可能性が高いのかもしれません(というか、効率上そうすべきである)。

その一方、スバルは自社工場の電動化対応を進める計画を持っていると考えてよく、実際にスバルは(米国でのベストセラーであり、しかし日本で生産されている)スバル・フォレスターのハイブリッドモデルを米国で生産し、コスト削減とともに高い需要に応える意向を持っている、とも報じられています。

つまりスバルは、ひとまず自社ラインアップのハイブリッド化を行い、現在北米で増加する「ハイブリッド需要」に対応しつつ、その先にある完全電動化を見据え、トヨタとの協調姿勢を強めてゆくということなのだと思われます。

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参照:Automotive News

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