| スバルは独自路線を貫き、独自の市場とファンを獲得している優れた自動車メーカーである |
ただしボクにはなかなかスバル車購入の機会が訪れない
さて、スバルが米国特許庁に対して新しく12もの商標を出願したことが明らかに。
既存の単語、もしくは造語にて構成され、オフロードや自然、冒険を連想させるものばかりですが(そうでないものもある)、まず今回出願された商標は以下の通り。
スバルが出願した商標
- Accomplice(アコンプリス=共犯者)
- Everguide(エバーガイド)
- Everpass(エバーパス)
- Getaway(ゲッタウェイ=逃げる)
- Highroad(ハイロード)
- Hightrail(ハイトレル)
- Outsider(アウトサイダー=部外者)
- Tailwind(テイルウインド)
- Trailhead(トレイルヘッド)※トレイルには(移動の)痕跡という意味がある
- Trailseeker(トレイルシーカー)
- Uncharted(アンチャーテッド=前人未到)
- Viewfinder(ビューファインダー)
おそらくはスバルが採用する新しくグレード名だと思われるが
これらを見ると、いずれも「ちょっとワイルドな、冒険心をくすぐる」ものが多いようであり、商標として出願されたということは「車名」もしくは「グレード名」として使用される可能性が大。
ただし「車名」としてはいくぶんアグレッシブにすぎるため、グレード名として使用されると考えるのが妥当ですが、ウィルダネス(Wilderness)のような、ベースモデルに特別な装備と仕様を与えたバーションへと使用されることになるのかもしれません。
なお、スバルは「世界ではじめて乗用車に4WDを導入した」自動車メーカーとして知られていて、数年前にはアウディを抜き「世界で最もAWD車を販売した自動車メーカーになった」とも報じられており、そしてその矜持を保つためかミニバンやコンパクトカーといった「世間一般の売れ筋」から(OEMを除き)撤退してAWDへと集中する戦略を採用しています。
-
スバルの「4WD」はもともと東北電力の依頼によって誕生した!今や4WD世界販売の15%を占め「最も売れる4WD」になるまでの物語
| スバルは知れば知るほど面白い会社だ | さて、プレジデント・オンラインにちょっとおもしろい記事があったのでここでも紹介したいと思います。その記事の内容としては、「スバルはなぜ4WDを作るようになり ...
続きを見る
現代においてスバルのように「比較的安価で、頑丈で、走破性が高くガシガシ使える」AWD車を専門的に供給する自動車メーカーはほかに存在せず、よってスバルは独自のポジションをガッチリ掴んでいると考えて良いかと思います。
-
スバルがAWD車の累計販売2,000万台を記録したと発表!AWDの由来、その戦略、なぜボクがスバルを愛してやまないのかを考えてみた
| ただしボクはスバル車を購入したことはない | スバルの経営戦略は世界一だとも考えている さて、スバルが2021年6月末にAWD車の推計生産が2,000万台を突破した、と発表。なお、スバルが4輪駆動 ...
続きを見る
スバルの面白いところは、「メインストリームに出ようとせずニッチで勝負する」ところで、上述のように「販売台数は稼げるが、競争が厳しく体力を消耗する」コンパクトカーやミニバンに本腰を入れず、あくまでもニッチにとどまろうとすること。
実際のところ、先々代社長は「スバルはシェア1%の会社なので、大きな自動車メーカーの真似をしても仕方がない。1%には1%の戦略がある」として独自路線を貫き、それが現在のスバルを構築したとも考えられますが、これは「シンメトリカルAWD」という他にないバリューを持つスバルだからこそ採用できる戦略であることも考えられます(よってその分野でのトップランナーとなり、高い利益率を確保している)。
スバルの方向性は「電動化」と相性が良くない?
ただし現在「時代は(ハイブリッドにせよPHEVにせよ)電動化」であり、ワイルドなイメージのスバルはこういった「クリーンな」電動化社会とあまり相性が良くないのではと考えていたのですが、スバルは初のEVにおいても「ソルテラ」なるネーミングを採用しており、これの意味するところは「ソル=太陽、テラ=大地(地球)」。
これは非常に優れたネーミングで、EVのクリーンイメージ、スバルのオールテレーンなイメージとをうまく結びつけ、かつ環境保全にまで昇華させた「うまい戦略」であるとも認識しています。
残念ながらソルテラの販売は不調に終わりそうではあるものの、それでもスバルの今後の電動化における第一歩を踏み出したクルマであり、スバルは電動化時代においても「全地形対応型」車両の販売を継続するであろうことを消費者に強く意識させることに成功したわけですね。
よってスバルは今後、ハイブリッドモデルやPHEVにおいても得意のAWDそしてクロスカントリー的イメージを押し出した車両の販売を行うものと認識していますが、その際に用いられるのが今回出願された商標群なのかもしれません。
もちろん、商標は「予防的」「予備的」に出願されることもあるので、これら12の商標すべてが使用されることはないと思われるものの、電動化時代に向けた「新しい」スバルのクルマ、そのグレードに今回出願された商標が仕様されることになるのでは、と考えています(ガソリン車と区別する意味もあるのだと思われる)。
合わせて読みたい、スバル関連投稿
-
スバルはかつて「新エンジンすら開発できない会社」だった!そんな中、名機EJ20を開発し、名車レガシィを世に送り出したのは一人の”熱血社長”
| 当時、スバルは興銀の支配下にあり、同じく興銀が融資していた日産への配慮から「なにもさせてもらえなかった」 | プレジデント・オンラインにて、「名車レガシィを生んだ銀行マン社長の大胆経営」という記事 ...
続きを見る
-
スバルはかつて国内販売の2/3を占める軽自動車を切り捨てた!それが現在の躍進に繋がり、スバルをより強くすることに
| スバルが決めたのはたった2つのことだった | President Onlineにて、「スバルがメイン事業だった「軽自動車」から見事に撤退できたワケ」という記事が掲載。スバルは世界的に見ても非常に珍 ...
続きを見る
-
熱狂的ファンの多いスバル!いかにしてスバリスタが形成されたのかを考察する。「パワーに対して価格が安い」「数字などスペック的特徴が多い」
| ただしそれは苦肉の策から生まれた戦略だったのだと考える | スバルはけっこう(というか”かなり”)ファンが多いメーカーとして知られます。そして「なぜファンが多いのか」ということはあちこちで語られる ...
続きを見る
参照:CARBUZZ, United States Patent and Trademark Office