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ブラッド・ピット主演のF1映画の制作予算がすでに3億円に達し、完成時には「映画史上もっともお金のかかった作品」となる可能性が浮上。なぜここまでコストが膨らんだのか

ブラッド・ピット主演のF1映画の制作予算がすでに3億円に達し、完成時には「映画史上もっともお金のかかった作品」となる可能性が浮上。なぜここまでコストが膨らんだのか

| そしてハリウッドでは「その映画が成功」だと見なされるためには制作費の倍の興行収入が必要である |

ブラッド・ピット主演映画での興行収入記録は5.4億円

さて、ブラッド・ピット主演によって撮影が進められているF1を題材とした映画の予算が現時点で3億ドルを超え、完成時には映画史上最大のお金を投じた作品となる可能性が浮上しています。

ちなみにこの「3億ドル(現在の為替レートでは約470億円)」ではまだまだ「トップ10」にも入らないといい、1位となるには「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」の3億7900万ドルを超える必要が出てきますが、現時点で「ブラピのF1映画」はタイトル未定、そして撮影を行っている途中であり、さらに完成の目処が立っていないことから「映画出来上がる頃には3億7900万ドルを超えて歴代1位になるだろう」と見られているわけですね。

いったいなぜここまで映画の制作費用が膨らんだのか

この映画はアップルが制作しており、若き天才を指導するためにモータースポーツへの復帰を求められる(引退した)ドライバーをブラッド・ピットが演じることとなりますが、撮影開始前には「トップガン:マーヴェリックのF1バージョンだと考えればOK」だとその内容が簡潔に紹介されています。

よって、これまでの映画製作費のトップ10に入る「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」「アベンジャーズ/エンドゲーム」「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」のような(参考までにTOP10すべてがいわゆる特撮ヒーローもの系である)舞台規模が大きく大爆発がバンバン起きる映画ではなく、かつ現実世界を舞台としたものであってもワイルド・スピード系や007シリーズ(これらは20位に入っている)のように町並みを破壊する(さらに銃火器を使用する)カーチェイス系でもなく、このF1の映画にここまでお金がかかる理由についてはわかりかねる、というのが正直なところ。

ただ、様々な報道を見ると、撮影に使用するフォーミュラカー(使用したのはF2マシンをF1マシン風に改造したもの)が高価であること、俳優が実際にこれらをドライブするためのトレーニングにかかる費用や保険が高額であることがこの映画の予算を押し上げている一つの理由だとされています。

加えて、2023年7月に制作が開始されたものの、その直後に発生したストライキによってハリウッドの機能が118日間停止したことも影響し、この遅延によって多大なコストが発生したという指摘もあるもよう。

そしてここで思うのは「実際に車両を使用して撮影するのと、全編CGを使用して製作するのとではどっちがコストを抑えられるんだろうな」ということですが、今の時点では(そうしているところを見るに)実車を用いたほうがよりコストを抑えることができるのかもしれません。

ただ、昨今のインフレによって様々なコストが上昇しているので、よってどこかのタイミングで「映画製作においては、モノを使用して動かすと制作費がとんでもなく膨らむため、CGで作るのが通常」という時代となる可能性もありそうです。

一般にその映画が成功するには「製作費の倍」を稼がねばならない

なお、一般にその映画が「成功」と見なされるには製作費の倍を稼ぐ必要があるとも言われていて、となると現在の予算の時点でもこのF1映画は6億ドルを稼ぐ必要があるのですが、参考までにブラッド・ピットが主演した映画でもっとも高い興行収入を得たのは2013年のワールド・ウォーZ(全世界で5億4,040万ドル)。

よって6億ドルというのはかなりハードルが高く、しかし現在「F1」は世界中で高い人気を誇り、かつ2013年当時に比較すると中国でのスクリーン数が大幅に増えているはずなので、問題なく中国で上映ができれば6億ドルという数字も荒唐無稽ではないのかもしれません(しかしF1は中国ではさほど人気がない)。

ただし時代は変わっていて、今回のF1映画については上述の通りアップルが製作を行っており、考慮すべきは「独自の成功基準を持つApple TV+によって配信される」ということ。

よって直接の興行収入に加え、ストリーミングクライアントを獲得できるかどうかも評価されることになり、それも映画製作費の一部をカバーすること、あわせて映画の評価を押し上げることに役立つ可能性があるわけですね。

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