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トヨタが「開発したEV関連技術をスバル、マツダ、スズキなどと共有する」とコメント。さらにEV向けのコストダウン技術をガソリン車にも転用して原価低減を図るもよう

2023/07/08

トヨタ

| 本気になったトヨタがどれほどの競争力を発揮するかには期待したい |

ただしその効果が現れるのは早くても2026年以降となりそうだ

さて、トヨタは新CEOに佐藤恒治氏を迎えて以来、なんどかEV戦略に関する説明会を行っており、そこで語られているのがソリッドステートバッテリーの実用化、さらには「ギガプレスの導入」「車両のAI化」等の新戦略。

豊田章男氏の掲げていた「クルマ屋ならではの、もっといいクルマづくり」を引き継ぎつつも、その対象をEVにまで広げると言った印象もありますが、これはおそらく「株価(株主)対策」といった側面が濃いのではとぼくは考えていたわけですね。

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しかしこれからのトヨタは有言実行

つまり、2021年に「EVを大量に投入する」と発表しつつも、具体的にはほとんど実行してこなかった豊田章男体制に対する批判をかわすためにCEOを入れ替え、あらたなるEV重視計画を打ち出すことで株主の批判をかわし、株価の上昇を狙ったのではと考えていたものの(実際に株価は上昇している)、新体制となったトヨタはけっこう本気の計画を公表しており、どうやら「本当に」変わりそうな印象です。

なお、将来の計画の一環として、トヨタは2030年までに年間350万台のEVを販売するという目標を掲げており、その約半分は2026年に展開する新設計のEVプラットフォームをベースとしますが、この新しいプラットフォームは「ソリッドステートバッテリー」との組み合わせにて航続距離1,500kmを実現する、という主張がなされており、もし本当にこれを実現できたならばトヨタは文字通りの「ゲームチェンジャー」となる可能性も。

トヨタ

トヨタはEV開発にて得た知見をガソリン車、そして提携している自動車メーカーにも提供する計画を持っている

そして今回報じられているのが「トヨタのさらなる計画」。

トヨタは新しいEVに関する計画を推進するに際して「BEVファクトリー事業部」と呼ばれる部門を新設していて、ここでは上述の「2026年に投入する新車両アーキテクチャーの設計と開発」を行うことになり、テスラからヒントを得た「より少ない部品と工程で車両を製造できるギガプレス」、さらには自走式生産ライン(車両が工場内を自走することで、従来のラインの必要性を減らす)などの新しい生産工程を通じ、EVの製造コストを著しく削減するという計画を推進することになります。

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加えてトヨタは、(EVだけではなく全社的に)従業員を「より高い生産的を発揮できるよう」スキルアップさせる計画でを持っているものの、それと同時に労働者への依存を減らしたいとも考えているといい、「BEVファクトリー事業部」で培ったノウハウをガソリン車の製造にも転用することで内燃機関搭載車の生産をも効率化・低コスト化したいと考えているもよう。

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実際のところトヨタのBEVファクトリー事業部上層部は「これらの技術は、バッテリー式電気自動車のみに適用されるべきものではありません。トヨタ全体の品質と柔軟性を高めることが重要なのです」とコメントし、さらには(EV技術に関し)スバル、マツダ、スズキ、ダイハツ、日野、いすゞなど、さまざまな提携企業と共有する可能性がある、とも述べています。※ちなみにスバルは自社で電動化技術の開発を行なわず、それによって低コストでの会社運営を行っており、「必要になれば」電動化技術をトヨタから買うとコメントしている

なお、現時点でもスバルとトヨタとの間ではGR86/BRZ、bZ4X/ソルテラなどの共同開発モデルが存在しますが、今後はさらに(1モデルあたりの開発費低減を目的に)プラットフォームや技術の共有、開発費の分担、そしてそれぞれの得意分野を生かした先端技術の開発などを行い、提携各社との間でのシナジー効果を出してゆくものと思われ、これら全社をあわせると年間1630万台程度の規模を持つことになるため、うまくコストの平準化ができるならば、相当な製造原価の低減が見込めるのかもしれません。

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