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NIOとBYDが提携し中国国内向けに安価なEVブランドを設立。車両コストを引き下げてテスラ・モデル3とモデルYを直接のターゲットとし、間もなく第一弾が投入予定

NIO

| とにかくテスラは中国の新興EVメーカーからこぞって「目の敵」にされているようだ |

こういった状況を見るに、安価なEVの開発を中止したテスラの判断は賢明であったと思われる

さて、中国の新興EVブランド、NIOがBYDと提携し、テスラに対抗する安価な新しいEVブランドを立ち上げる」と発表。

このブランドは英語では「Onvo」、中国語では「Ledao」と呼ばれるそうですが、テスラ・モデル3、そしてモデルYを直接のターゲットとしており、最初の製品であるL60はモデルYと真っ向勝負を挑むクルマとなる、とのこと。

いま中国では新たな動きが誕生している

なお、中国では(一時の600社から減少し)EVメーカーが150社程度存在するといいますが、それでもなお競争は厳しくなる一方で、年間生産台数は(補助金に後押しされる形で)需要の倍ほどにも達していると言われます。

そしてこの競争に勝ち残るにはより低いコストでEVを作るしかないということになり、そしてそれを実現するのは(車両コストの60%を占めると言われる)バッテリー価格の引き下げ。

ただしこれはそう簡単に実現できることではなく、そのためNIOはバッテリー調達コストをより低く抑えるために(自社でバッテリーを製造している)BYDとの提携を行い、これによって車両製造価格を抑えることを目指すのだと考えられます。

NIO
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BYD
BYDは中国政府から直接補助金として3480億円を受け取っていた。これは収益の3.5%に相当し、さらに間接補助金も。どうりでEVを安く作ることができるわけである

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参考までに、現在NIOはバッテリーのほとんどをCATLから購入しているのですが、このCATLにもBYDが参加して一部のEV向けに小型バッテリーを供給するという計画も報じられており、これが実現すれば今後中国のEVはさらに製造コストが下がることになるのかもしれません。

話を「NIOとBYDが設立する新ブランド」に戻すと、第一弾であるL60に積まれるバッテリーはテスラ・モデルYのものよりも小さく、その理由としては「コストを可能な限り引き下げるため」、そして「中国では充電インフラが充実しているので、バッテリーサイズを小さくしても消費者から不満が出にくく、むしろ価格の低さの方が歓迎されるため」。

つまりNIOそしてBYDは中国メーカーという利点を活かし、より中国でのEV使用状況にマッチした電気自動車を提供することに努めており、この点もまたテスラ含む海外の自動車メーカーによるEVの競争力が低下している部分なのだと思われます(諸外国のEVは航続距離を重視しており、バッテリーが大きく、車体価格が効果になる傾向がある)。

加えて中国ではEVの製造に必要な原材料へのアクセスが良好で、さらには強力な経済的保護を受けているため、さらに海外の競合他社に比較して優位な立場にあり、中国市場では「海外勢の締め出し」傾向が強くなることも推測されます。

NIO

一方、中国の自動車メーカーにとっても海外市場を攻めあぐねている例があり、それは主に自動車の利用状況の相違、そしてアフターサービスの慣習の差異によるものだと言われます。

前者だと(上述の通り)中国では航続距離の短さは問題とならないものの、アメリカではこれが大きな(かつ致命的な)問題となり、後者だと「中国ではどこでも簡単にEVの修理ができるが、欧米ではそうではなく」、欧米に進出するにはアフターサービス網を構築する必要があるから。

実際のところ、NIOは今回立ち上げる新ブランドを米国含む諸外国で販売する計画はないとされ、あくまでも中国国内において「テスラのシェアを奪うために展開する」のだといい、テスラとしてはまたしても頭痛の種が増えたということになるのかもしれませんね。

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参照:Reuters

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