| 新車価格のおよそ「倍」の予想落札価格ではあるが、今後にわたりチェンテナリオの価値が下がることはないだろう |
やや奇抜ではあるが、ランボルギーニらしいカラーリングだと言えそうだ
さて、めったに売り物が出ないランボルギーニ・チェンテナリオ・ロードスターがオークションへと登場予定。
このランボルギーニ・チェンテナリオ・ロードスターは(ランボルギーニ創業者である)フェルッチオ・ランボルギーニの生誕100周年を記念して2016年に20台のみが限定発売されたスーパーカーであり、ボディカラーはロッソ・エフェストにブラックアクセント、インテリアはネロ・アデ・アルカンターラにロッソ・アララインサートという仕様を持っています。
フェルッチオ・ランボルギーニが同社の経営を行っていたのはわずか9年であった
ランボルギーニは1963年に創業し、つまり今年で60周年を迎え、最初の車両である350GTにはじまり、ミウラ、カウンタックをリリースすることで「世界初のスーパーカーメーカー」としての地位を確固たるものとしています。
ただし注目すべきことに、フェルッチョ・ランボルギーニがアウトモビリ・ランボルギーニの経営者として活動したのはわずか9年間で、その二年後である1974年には完全にランボルギーニと関係性を(同社の株式をすべて売却することで)絶ち、その後ランボルギーニは幾度となく親会社が変わった後、現在のフォルクスワーゲングループ傘下へと落ち着いています。
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つまり60年の歴史の中で創業者であるフェルッチョ・ランボルギーニが経営に関与した期間は1/6以下であり、しかし自動車業界に対してはエンツォ・フェラーリ、そしてフェルディナント・ポルシェと同じくらいのインパクトを残したと言って良いかもしれません。
ランボルギーニ・チェンテナリオはこんなスーパーカー
このチェンテナリオにつき、まずは「クーペ」が2016年3月のジュネーブ・モーターショーにて発表されており、そのベースとなるのはアヴェンタドール。
よってアヴェンタドールのカーボンモノコックフレームと6.5リッターV12エンジンを流用するものの、エンジン出力は770馬力にまで高められており、アヴェンタドールSVに比較し+20馬力を稼ぎ出すことに。
トランスミッションもアヴェンタドール同様の7速ISR(ロボタイズドMT)、しかしシフトスピードは50ミリ秒にまで早められ、駆動方式は4WD、0−100km/h加速2.9秒、最高速は350km/hを誇ります。
その後に追加されたのがオープントップのチェンテナリオ・ロードスターで、生産台数はクーペと同じ20台。
オープンという以外はクーペ / ロードスターとも基本的なデザインは共通しており、ボディワークはすべてカーボンファイバー(3000万円くらいのオプションとして、織り目の見えるヴィジブルカーボンも選択できた)。
フロントには「二階建て」スプリッターが採用され、バンパー両脇のウイングレット、サイドシルのウイングレットが横方向を流れるエアを整流することに。
さらにはヘッドライト内部など微に入り細に入りこだわり抜いたデザインを持っており、視覚的にも高い品質を持つことが理解できますね。
なお、デザイン上のハイライトはこの巨大なリアディフューザー、そしてガバっとタイヤが見えるデザインであり、これはランボルギーニ最新のV12モデル、レヴエルトにも引き継がれています。
ちなみにチェンテナリオのデザインを行ったのは前ランボルギーニのデザイナー、フィリッポ・ペリーニ氏ですが、このデザインが現デザイナーであるミッチャ・ボルカート氏の作品(レヴエルト、さらにはランザドールにまで)にも引き継がれていることからも「ミッチャ・ボルカート氏がこのデザインを大変気に入っている」ことがわかりますね。
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アヴェンタドールとのメカニズム的相違としては「後輪ステアリング」の装備が挙げられ、これの装備はランボルギーニ「初」。
速度によって同位相または逆位相に後輪を切ることで理論上ホイールベースを「長くしたり短くしたり」できるわけですが、これによって市街地走行時の操縦性の向上と高速走行時の安定性という相反する要素が高い次元でバランスしています。
インテリアだとセンターコンソールに縦長のスクリーンが取り付けられ、これは従来のナビゲーション画面およびエンターテイメントインターフェイスとして動作するだけでなく、テレメトリ、データロギング、ラップタイム機能も提供します(のちにほかのランボルギーニ各モデルにも拡大採用されることになる)。
加えてセンターコンソールや各種スイッチのデザインも変更されており、アヴェンタドールとの差別化を強く押し出すことに。
このランボルギーニ・チェンテナリオ・ロードスターはこんな仕様を持っている
このランボルギーニ・チェンテナリオ・ロードスターは(意外なことですが)20台のうち「ロッソ・エフェストにペイントされた唯一の個体」。
ボディのセンター、Aピラー、ドアミラーはブラック仕上げ。
リアハンプやボディ下回りのエアロパーツはカーボンファイバーの織り目が露出するという仕様を持っています。
サイドシルもカーボンファイバーが露出し、キックプレートには「CENTENARIO」のロゴ。
なお、この「角」がついたロゴはミウラ以降久々に採用されたものだと認識していますが、最新の「60周年記念ロゴ」にも同様のディティールが見られますね。
インテリアはバルクヘッドやドア内張り、センターコンソールなど含めてすべて「ネロアルカンターラ(レザーが使用されていないように見える)。
そしてアルカンターラ表面にはレーザーによるカットが施され、ランボルギーニのデザイン的特徴のひとつでもある「ヘキサゴン(六角形)」が再現されています。
このチェンテナリオ・ロードスターは2018年3月にランボルギーニ・フランクフルト(正規ディーラー)から納車され、それ以降ずっと最初のオーナーが保管しているという「ワンオーナー」。
走行距離はわずか71kmにとどまり、見ての通り「完璧なコンディションを持つ」と言って良いかと思います。
工場出荷時のマニュアル、純正タイヤポンプやセンターロックホイールソケット含む工具など付属品一式が揃っており、予想落札価格は最高で400万ユーロ(現在の為替レートにて約6億2000万円)というエスティメイトが出されていますが、今までチェンテナリオおよびチェンテナリオ・ロードスターほとんど売りに出されたことがなく、さらにこの個体はオークション「初登場」ということもあり、大きな反響を呼びそうですね。
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参照:RM Sotheby’s