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メルセデス・ベンツがガソリン版Gクラスの販売終了方針を撤回し「求める人がいる限り、ガソリン、とくにV8エンジン搭載Gクラスの販売を継続します」

メルセデス・ベンツがガソリン版Gクラスの販売終了方針を撤回し「求める人がいる限り、ガソリン、とくにV8エンジン搭載Gクラスの販売を継続します」
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| メルセデス・ベンツはいまGクラスの販売を失うことは絶対にできない |

かつては生産効率に優れないとして整理対象車種であったが、現在では稼ぎ頭のひとつに

さて、メルセデス・ベンツがGクラス(ゲレンデ)の展開においてマルチパワートレインアプローチを取り入れ、これによってリスク回避戦略を採用すると発表。

簡単に言うと、「電動版に切り替える」ことを想定していたGクラスにつき、その方針を撤回して「お客様が望む限りガソリンエンジン駆動のGクラスを作り続ける」という方向性へと転換したということに。

なお、Gクラスはデビュー以来(フェイスリフト=マイナーチェンジを行いながらも)そのスタイリングや基本構造を維持し続けており、おそらくは自動車史上これほどまでに時の試練に耐えたクルマはないかもしれません(唯一の例外はラーダ ニーヴァかもしれない)。

参考までに、最初に民生用として販売されたのは1979年で、これまでに生産されたすべてのGクラスの実に80%が現在も現役で走っているという事実もメルセデス・ベンツによって明かされています。

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メルセデス・ベンツGクラスは過去に何度か生産終了の話が出ているが

いまではメルセデス・ベンツの一つの象徴、そして利益の柱にまで成長したGクラスですが、これまでにも何度か生産ならびに販売の終了といった話が出たことがあり、その都度ファンからの強い要望によって「延命」が図られています。

直近では、メルセデス・ベンツの「全車両を電気自動車へと置き換える」という方針のもとガソリンエンジン搭載版Gクラスの販売を終了させ、EQGと呼ばれていたエレクトリックモデルを後継車として据える計画を(メルセデス・ベンツが)持っていると言われていたわけですね。

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ただ、この1年以内で自動車業界を取り巻く状況が大きく変わってしまい、その最大の変化は「自動車業界の唯一の未来」だとかたく信じられていた電気自動車の販売が鈍化してしまったこと。

これには様々な要因があり、電気自動車の価格がなかなか下がらず、しかし昨今のインフレによって生活費が上昇する中、人々が(電気自動車ではなく)より安価で経済的なハイブリッドやPHEVを選び始めたこと、いつまで経っても改善しない充電エクスペリエンスによること、そしてEVそのものの魅力が向上しない(よってマジョリティの購買意欲を刺激しない)ことが主原因ではないかと言われています。

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こういった状況の中で、「EVへの転換」を進めていた自動車メーカーは相次いでその方針を変更し、ガソリン車の廃止期限を定めていた(複数の)自動車メーカーも「ガソリン車を無期延命する」という公式発表を行っているほど。

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そしてメルセデス・ベンツもそういった自動車メーカーのうちのひとつであり、今年はじめには戦略の変更をアナウンスしていますが、その「変更」はGクラスにも及び、今回の「延命」発表へと結びついているわけですね。

メルセデス・ベンツ
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メルセデス・ベンツはガソリン版Gクラス存続のためにエクスキューズを用意

そして今回、AMGの最高経営責任者でありGクラスおよびマイバッハの責任者でもあるミハエル・シーベ氏は冒頭で述べたように「これまでに生産されたGクラスの80%は、今も市場にあります。つまり、このクルマの寿命は非常に長いのです」とコメント。

ここで計算できるのは、おそらくGクラスには(平均的な)コンパクトカーよりももう少し多くの材料が必要であるということ、そして耐久性についてです。1979年から販売されているGクラスの寿命の長さを見れば、コンパクトカーが同じ寿命を全うすることはできないことは明らかです。よって、1台のGクラスのライフサイクルは、何台ものコンパクトカーと同じだと考えることが可能です。

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ここで同氏が言いたいのは、「重く、空気抵抗が大きく、燃費が優れず、環境に悪い」と(主に環境活動家から)批判されてきたガソリン版Gクラスを存続させることについての正当性、そして何台ものコンパクトカーを作って廃車にするよりも、1台のGクラスを作ったほうがずっと環境に優しいということで、つまりこれがガソリン版Gクラスの生産を継続させることへのエクスキューズということに。

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加えて同氏は以下のようにも語っており、「ダウンサイジング」を進めてきたメルセデスAMGの方針にもなんらかの影響が出る可能性も伺えます(AMG各モデルが次々V8を捨て、4気筒にまで縮小されていることで大きな批判を浴び、実際にセールスも縮小しているという報道もある)。


私たちは顧客中心の企業になるよう努めており、私たちはお客様が求めているものを届けたいと思っています。 そして、彼らが V8 エンジンを要求するのであれば、非常に効率的で非常に強力な V8 エンジンを供給するのが私たちの仕事です。当社にはV8を心から愛する顧客が存在し、そして彼らはGクラスのV8を永遠に愛するでしょう。

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参考までに、過去にメルセデス・ベンツがGクラスの生産を終了させようと考えていたのは「当時、Gクラスはニッチな存在で(日本が最大の市場であった)、かつ特殊な構造を採用するために生産性に優れず、かつ環境性能が低いため、企業としてその存続を許すことがビジネス上の得策ではなかったから」。

しかしその後Gクラスが世界的に高い人気を誇るようになって十分な(あるいは十分すぎる)収益を確保できるようになった今、Gクラスを核としたビジネス展開も見えてきており、Gクラスの存続がむしろ「ビジネス上必要」になったため。

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ただし少し前までは「(メルセデス・ベンツの方針や世の中の流れを反映し、かつ電動化技術の進化によって)EVに切り替える」ことでGクラスを存続させようとしたものの、現在の状況を鑑みて「ガソリン版も残しておかねば、電動Gクラスだけではファンからそっぽを向かれてしまう」という判断にシフトしたものと思われます。※ただ、電動版Gクラス”G580 ウィズ EQ テクノロジー”のほうが(ガソリン版よりも)優れるという基本姿勢は変わらないようだ

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