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| BMWはデザイン戦略をその成長の「核」のひとつとしている
BMWはデザインの変革を恐れない
BMWは新世代EVシリーズ「ノイエクラッセ(Neue Klasse)」を投入することをアナウンスしていますが、さらに「今後数年間で、全モデルにわたり、ノイエクラッセに採用される新しいデザイン言語を取り入れ、既存モデルを刷新する計画を進めている」ことが明らかに。
加えてこれは単なるフェイスリフトレベルのものではなく、BMWのイメージを根本から変える大規模なアップデートである、と説明されています。
ノイエクラッセとは?BMWの未来を象徴する新デザイン哲学
まず、この「ノイエクラッセ(Neue Klasse)」とは、BMWが次世代EVやICE(内燃機関)モデルに共通して導入する新しいデザインコンセプト。※「新しいクラス」を意味するドイツ語
ノイエクラッセそのものは1960年代の革新的セダン群に由来する名称で、これらはBMWのイメージを刷新し大きく成長さえることに貢献していますが、現代においては「テクノロジーとデザインの融合」を意味します(もちろん、BMWは過去の成功を再現すべくこの名称を用いている)。
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そしてBMWのデザイン責任者アドリアン・ファン・ホーイドンク氏は次のように語っています。
「今年のミュンヘンモーターショーで登場する新型iX3から、すべてのモデルに新しいデザイン言語を展開します。全車種を統一感ある現代的なスタイルにアップデートしていきます。」
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BMWの新デザイン導入スケジュールと対象モデル
2025年秋に投入されるiX3からデザイン刷新がスタート
BMWは、2025年9月開催のミュンヘンモーターショーにて「第2世代iX3」をノイエクラッセデザイン採用第1弾として発表予定。
その後は以下のモデルが順次刷新される、と説明しています。
- 新型3シリーズ(EV版とICE版が別設計プラットフォームにて登場)
- 5シリーズ(2023年デビュー済みながらも大胆な外観変更予定)
- 2シリーズ、X2、7シリーズ、X7なども順次刷新
- 新型M5はPHEV V8を維持しつつノイエクラッセデザインを採用予定
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さらに全モデルの刷新は2028年までに完了予定であることもアナウンスされていますが、BMWは過去にも何度か「デザインの大幅、かつ全モデルでの大幅刷新」を行っており、かつ現在の「ジャンボキドニー」などの(あまりにリスクが高い)チャレンジにも積極的。
これはメルセデス・ベンツ、アウディが保守的なデザインを採用することとは対象的ですが、BMWはかつて「うまくいっているときほど変わらなければならない」とコメントしており、「飽きられる前に」積極的にデザインを上書きしてゆく傾向があるようです。
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「ノイエクラッセ」では内装も進化、パノラマiDriveを採用か
5シリーズを含む主要モデルの内装もアップグレードされる可能性が高く、BMWの新しいパノラマiDriveディスプレイの搭載が予想されています。
これにより、より未来的でデジタル重視のキャビンデザインが主流になりますが、既存モデルのフェイスリフトでこれが導入されるとなると、「例を見ないほどの大規模フェイスリフト」ということになりそうですね。
ここまで見てもわかるとおり、ノイエクラッセのデザイン言語、そして仕様はEV専用でははく、既存のCLARプラットフォームを活用した内燃機関モデル(ガソリン・ディーゼル車)にもこれらデザイン・仕様を導入し、ブランド全体の統一感と先進性を強調してゆくという徹底した意思も見て取れます。
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なぜ今、BMWは急速なデザイン刷新を進めるのか?
今回のデザインの大幅刷新につき、BMWのデザイン責任者は以下のように述べていて、この言葉の通り、今回についてはBMWは急速に進化するEV市場やデジタル社会に対応するため、デザイン・テクノロジー両面で大胆な転換を図っているのだとも考えられます。
たしかに「技術の進歩によって」新しく表現できるようになったもの、不要になったものも数多く、その状況の中で「旧来のデザインのまま」でいることは、顧客にとって「新しいテクノロジーの導入に積極的ではない企業」「新しいテクノロジーが盛り込まれていないクルマ」という印象を与えてしまうのかもしれません。
「社会の変化スピードが加速している今、私たちもそれに合わせて進化する必要があります。」
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まとめ:BMWは“すべてを変える”未来へ突入
つまるところ、ノイエクラッセは単なるデザインの変化ではなく、BMWというブランド全体のビジョン刷新。
今後2~3年でラインアップ全体が新しく生まれ変わり、デザイン、テクノロジー、インテリアのすべてが劇的に進化してゆくものと推測されます。
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