| たしかにヘッドアップディスプレイのほうがコストが安く、シンプルで居心地の良いインテリアを実現でき、消費者にとっても嬉しいだろう |
自動車メーカーは「クルマのスマホ化」を目指してきたが、クルマとスマホは切り分けたほうがいいのかも
さて、BMWはラスベガスにて開催の家電見本市「CES」へとヴィジョン・ディー(Dee)コンセプトを持ち込んでいますが、このヴィジョン・ディー・コンセプトはボディやホイールのカラーを”Eインク”なる技術にて自由に変更できるということが大きな特徴です。
一方でインテリアに目を移すと、フロントスクリーンの下半分いっぱいに広がるヘッドアップディスプレイ(HUD)、そしてシンプルな情報を透過表示するダッシュボードやドアインナーパネルなどが話題となっていますね。
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BMW「将来的に、巨大なディスプレイスクリーンは消滅する」
そして今回、このヴィジョン・ディーの発表に際しBMWのCEO、オリバー・ツィプセ氏がコメントしたのが「ダッシュボードに組み込まれた大型スクリーンは時代遅れになる」。
BMWはこういったスクリーンを取り入れることに積極的であったメーカーの一つですが、オリバー・ツィプセ氏は「規制によってこういったディスプレイは使用できなくなり、それぞれの自動車メーカーはインテリアのデザインを変更せざるを得なくなるでしょう。よって10年後には、こういったディスプレイは姿を召しています。それは間違いのないことなのです」とまで断言しています。
たしかにBMWは今年5月にも同様の発言を行っており、今回のヴィジョン・ディーはその一つの回答だと考えていいのかもしれませんね。
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BMWはヘッドアップディスプレイに注力
そしてこのヴィジョン・ディーには現代のクルマに見られる液晶ディスプレイが備わっておらず、かわりに見られるのがフロントウインドウ内側の下半分いっぱいに広がるヘッドアップディスプレイ。
BMWのデザイン責任者、ドマゴジ・デュケック氏によれば「ヘッドアップディスプレイの利点は確かに存在します。私たちの技術では、車内の誰もが、たとえ後ろにいる人でも、同じ情報を見ることができます。そして、クルマを操作するために下を向かなければならないとしたら、それは大きな間違いなのです」。
たしかにそれは「ごもっとも」ではあるものの、こういった感じでヘッドアップディスプレイが展開されると前方の情報を正確に把握できない可能性があり、これはこれでまた規制の対象となるのかも。
加えて、こういったヘッドアップディスプレイはARとの融合にて新しい可能性をもたらすとも考えていて、まだまだ発展途上にあるのかもしれません。
ただ、BMWは2025年発売の新EVシリーズ「ノイエクラッセ」にて(ここまでのもではないと思われるが)実際に「液晶ディスプレイを廃止してヘッドアップディスプレイを導入する」ともコメントしており、その新システムは「デザイン、技術、持続可能性の面で飛躍的な進歩を遂げた」とも。
たしかに一部の自動車メーカーにおける「巨大ディスプレイ」はちょっと行き過ぎの感もあり、しかしその根底にあるのは「助手席の人にも様々な情報を楽しんでもらえるように」というエンターテイメント性なのだと思われます。
ただし実際にはそれを求める人はそう多くなかったと見え、メルセデス・ベンツでは自慢の「ハイパースクリーン」がさほど支持されなかったのか、直近の新型車だと、よりコンパクトなディスプレイにシフトしているといった傾向も。
加えてベントレーやロールスロイスなどの(超)プレミアムセグメントでもこういった「大きなディスプレイ」を採用しておらず、消費者がおそらく求めていない(自分のスマホを見ている方がよっぽどいい)だろうという観点からも巨大ディスプレイは消滅してしまうのかもしれません。※なにより巨大ディスプレイはコストが高く、そこにお金を支払いたくない人も多いものと思われる
なお、自動車メーカーは「クルマとスマホとの連携」を重要視し、クルマをスマートフォンの「拡張型」として活用したい意向なのかもしれませんが、自分のスマートフォンの情報がディスプレイに表示されて他人に知られるのはあまり気持ちの良いものでもなく(たとえば電話がかかってきたとき、誰からかかってきたのかが助手席の人にも知られる)、よってクルマとスマートフォンはある程度切り分けたほうが精神衛生上いいのでは、と考えることも。
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参照:Automotive News