| BMWは「変わらなければ競争から置いてゆかれる」と考えている |
自動車史上、デザインにおいてこれほどまでの議論と批判を巻き起こしたことはないであろうと思われる「近年のBMWにおける、キドニーグリルの巨大化」。
新型7シリーズに始まり、X7やX5でもそれは継続され、トドメは「コンセプト4」で採用された、前面投影面積の1/3程度を占めそうな巨大グリル。
これについて、BMWのデザインを率いるアドリアン・ファン・ホーイドンク氏は「変革の必要があり、それを表したものが巨大キドニーグリル」だとコメントしています。
変わることは必要だが、方向性を間違えると「マイナス」に働くことも
そしてアドリアン・ファン・ホーイドンク氏は「企業は常に進化し続けねばならない。一つ所にとどまることは許されない」としており、「もし立ち止まれば、それは格好のターゲットになる。現在市場の競争は非常に厳しく、これはいまだかつてないレベルだ。もっとも難しいのは、成功を収めているときに変革を行うということだ」。
つまりアドリアン・ファン・ホーイドンク氏は、「現在BMWのデザインは成功を収めてはいるが、変化しなければすぐに真似され、または追い越されることになるため、変わり続けねばならない」と主張しているということに。
もちろんアドリアン・ファン・ホーイドンク氏の言うことは「もっとも」ではありますが、現在の自動車業界においてデザインの占めるウエイトは非常に重く、もしここで失敗すれば「売れなくなる」ことも。※カマロの一人負け、そしてジリ貧状態はデザインが原因だと言われる
逆に優れたデザインを実現できれば、現在のプジョーやシトロエンのように大きく販売を伸ばすことも可能となるわけですね。
モデルチェンジと同時に販売が激減したカマロ。それでもデザイナーは「後悔などない」。ちなみにそのデザイナーは今年に退任済み
なお、「成功しているときこそ変わらねば」というのは、BMWが所有する「MINI」からの教訓である可能性もあって、「デザインが大きく変わっていない(変えるわけにゆかないのも事実ですが)」ミニが、ほかメーカーのホットハッチにシェアを奪われている状況を指しているのかも。
同様の例だと「レンジローバー・イヴォーク」というものもありますが、現代においては「(いかにヒット作であっても)変わらない」ということは現状維持ではなく、相対的に「後退している」とも考えられます。
さらにアドリアン・ファン・ホーイドンク氏は「パフォーマンスクーペにとって重要なのは人目を引きつけるルックスであると述べ、”けして複雑なデザインが要求されているわけではない”」とも。
たしかにコンセプト4はシンプルと言えばシンプルなデザインを持ち、巨大なキドニーグリルにすべての視線を集中させ、あとは比較的簡素に仕上げているようにも見えますね。
これら一連の発言を鑑みるに、やはり次期4シリーズは「巨大なキドニーグリルを持つ」のは間違いないと考えられ、そのデザインももちろんですが、市場の反応がどうなるのかはもっと気になるところです(ぼくはけっこう売れるんじゃないかと考えている)。