
| レクサスがEVに“走る楽しさ”を取り戻すためにしたこととは? |
レクサスもヒョンデに続きEVへ「疑似マニュアル・トランスミッション」を搭載
レクサスは2026年モデルのRZにおいていくつかの変更を取り入れていますが、これらによって2026年型レクサスRZは「単なる電動SUVではない」存在となったもよう。
まずレクサスはこの新型EVに対し、「マニュアルトランスミッションを模倣する技術(i-Manual Drive)」を搭載していますが、これにより、ガソリン車のようなエンジンサウンドや変速フィールを再現するという大胆なアプローチを採っています。
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EVなのに「8速MTのような走り」が楽しめる
この取り組みは、先行して注目を集めたヒョンデ・アイオニック5 Nの「Nグリンシフト」に続くもので、EVでもドライビングの“感触”を重視する新たな潮流の一つでもありますね。
今回RZに用意された「Mモード」では、8速の仮想ギアを用意し、加速時にエンジンサウンドを車内スピーカーから再生。
これはレクサスRC Fのギア比を参考にして設計されたものですが、将来的には10速や他のエンジン音の再現も可能だといいます。
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なぜ8速?
RZの開発責任者である寺田康之氏は、「もっとギアを増やすことも可能だが、10速になるとシフト操作が煩雑になる」と述べており、8速は操作性とリアリズムのバランスから選ばれたもよう。※ただ、8速でも多いようには思う
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あえて「遅くする」ことで得られるドライビングの愉しみ
EVは一般的にトルクが瞬時に立ち上がり、加速性能ではガソリン車を(容易に)上回ります。
しかし、レクサスはこの「速さ」ではなく、「感触」こそがドライビングの本質と考えたようで、前出の寺田氏はこう語ります。
「我々は、意図的にトルクを抑えることで“楽しい走り”を実現しようとしています。速さではなく、操作の喜びを提供したいのです。」
その発言通り、RZではアクセル操作に対する反応やトルクの出力を制御し、V8やV10車両のようなパワー感を再現しており、ドライバーがギアチェンジしながら運転する喜びをEVで再構築している、ということに。
実際のところこのクルマを運転していないので「ナントモ」ではありますが、レクサスはこのi-Manual Drive開発時に「マニュアル・トランスミッション車のシフトチェンジ時に一瞬発生するトルク抜けも再現しようとしている」とコメントしているので、「本当にガソリンエンジンを積むMT車」のようなフィーリングなのかもしれません。
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未来のレクサスは「音」も「加速感」も自由に選べる?
なお、過去には「LFAのようなV10や、RC FのV8サウンド」をシミュレートしていると報じられたこともあり、もしかすると今後「プログラムのアップデート(あるいは有料オプション)」によってそれらのサウンドを選んで走れるようになる可能性も。
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そうなればボタン一つで「V8モード」「直6ターボモード」などに切り替え、好みに応じた加速フィーリングと音が選べるようになるかもしれません。※NAとターボの違いも”体感”できると面白い
現時点でレクサスの展開する量産EVはRZのみではあるものの、今後登場が噂される「LFA後継」電動スポーツモデルでこそ、この機能の本領が発揮されることも考えられます。
今後の展開に注目:ISの後継やスポーツEVへの搭載も?
現行のレクサスISは今年で生産終了と発表されており、次期モデルには電動バージョンが用意される可能性も。
もしそれが「IS 500風」の音とフィーリングを再現するEVだとすれば、走りを愛するファンにとっては夢のような一台になる可能性もあり、今回のi-Manual Driveは「RZのみにとどまらない」画期的な技術であると捉えています。
まとめ:レクサスが提案する“速さ”よりも“楽しさ”のEV
EV化が進む中、「静かすぎる」「味気ない」と言われることもある電気自動車。
しかしレクサスは、“あえて(EV特有の鋭い加速を抑えて)遅く”“音を足す”という逆転の発想にてEVの開発を行っていて、EVにも「走る歓び」を取り戻そうとしていることからも今後のモデル展開にますます注目が集まります(そのうち、ガソリン車を模した”振動”、さらには”匂い”までを再現しそうである)。
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参照:CARBUZZ