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このボディカラー「ポラリス」は世界に一台。かつて大阪で登録され日本で20年を過ごしたBMW M1が競売に。予想落札価格は1億4300万円

このボディカラー「ポラリス」は世界に一台。かつて大阪で登録され日本で20年を過ごしたBMW M1が競売に。予想落札価格は1億4300万円
RM Sotheby's

| このM1はBMWのクラシック部門が発行した証明書付き、低走行距離が評価され高い評価額に |

なんといっても「1台しか生産されていない」このボディカラーの希少価値は計り知れない

さて、BMW がこれまでに製造したモデルの中で最も希少であり、M部門管轄下で製造された初めてのモデルであるM1がオークションへと登場予定。

このM1はモータースポーツのホモロゲーション取得、そしてBMW初の市販スーパーカーのリリースを目的として企画されたもので、それまでミドシップスポーツの設計経験がなかったBMWは当初ランボルギーニとシャーシの開発契約を結びます。

その開発環境下では(カウンタックやミウラの設計にも参加した)ジャンパオロ・ダラーラが設計に当たり、その鋼管製スペースフレームを設計することになるものの、その直後にランボルギーニは財政難に陥ってしまい、その開発が進まなくなるにつけ、BMWはランボルギーニを買収しようと画策するものの、ランボルギーニのサプライヤーからの猛反発にあって買収を諦めることに。

その後ランボルギーニとのパートナーシップが解消され、しかしランボルギーニを退社して新しい会社を設立したメンバーがこのプロジェクトを引き継ぐことになり、そこでようやくこのM1が完成したわけですね。

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車体のデザインはジョルジエット・ジウジアーロ

なお、この美しいボディをデザインしたのはジョルジエット・ジウジアーロで、ボディワークそのものはグラスファイバー製。

1972年に発表された「BMWターボ(こちらはBMWの内製デザイン)」に近いスタイルを持ち、BMW初のターボ同様にミドシップマウントを採用するために大きなグリルは必要がなく、よってこのM1は「BMW史上最小の」キドニーグリルを持っています。

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搭載されるエンジンは新開発のM88型直列6気筒、6連スロットルボディや機械式燃料噴射など(当時では)先進的な装備を持つことが特徴で、 ストリート仕様では6,500rpmにて277馬力生し、これに組み合わせられるのはZF製の5速マニュアル・トランスミッションとリミテッド・スリップデフ。

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BMWは当初、FIA グループ5のホモロゲーション要件を満たすのだけの台数を製造することを計画しており、しかし開発期間が長期に渡ったため、その間にルールが変更されてしまい、まずグループ4の規定を満たすために最低400台の車両を製造する必要が生じます。

そこでBMWはこれだけの台数を製造することは難しいと判断し、まずは独自のワンメイク シリーズを計画しつつもグループ4のホモロゲーションを満たす方法を模索しますが、このワンメイクレース「M1 プロカー」はF1の前座として開催され、F1ドライバーもそのステアリングホイールを握って出場したために結構な話題を呼ぶことに。

結果的にM1はストリートバージョン、レーシングバージョンあわせて450台が製造され、ホモロゲーション取得後にはル・マン24 時間レースを含むさまざまな世界選手権に出場することが可能となったわけですね。

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このBMW M1はこんな経歴を持っている

出品者の説明によれば、このBMW M1のボディカラーは「ポラリス」と呼ばれるシルバーで、このカラーを持つのは399台のみが生産されたうちのわずか1台(他にも数台がシルバーにペイントされているが、この”ポラリス”ではないようだ)。

BMWクラシックが発行した公式証明書によれば、この車は1981年2月23日に製造を完了し、1981年3月27日にフランスのボワ・ダルシーにあるBMW正規ディーラーに納入され、その後1983年にフランスから日本に輸出された後、大阪で登録されたことが記録されています。

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その後20年を日本で過ごし、のちに欧州へと輸出されることになりますが、この時点での走行距離は(記録では)11,103km、そしてその後ベルギーのセラインにあるBMWデルベックで整備され、メーターが新しいものと交換されることに。

そして現在の走行距離は6,046kmなので、合計して(新車から)17,149kmしか走行していないという計算になるかと思います。

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2007年の整備においてはルーフガーターモールディング、点火ワイヤー、点火コイル、ステアリングタイロッド、およびブレーキコンポーネントの交換がなされ、その後2008 年1月22日付けにてBMWベルギー ルクセンブルクが発行した公式証明書では「シャシー番号 WBS59910004301424」がこの車のオリジナル番号であり、以前は判読できなかったために当時の車両に再刻印されたことが確認されています。

その後の整備記録だと、2013年にクラッチの交換が含まれ、2014年にはM1の専門家そしてプロカーのドライバーを含むBMW M1”クラブ アクセル”創設者のチームによって工場出荷時と同じ「ポラリス」に再塗装された、という記録も。

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現在のオーナーがこのM1を入手したのは2016年で、そこからBMW クラシックの認定を獲得しており、カリフォルニアにて開催されたカーメル・バイ・ザ・シー・コンクールへと出品しクラス優勝を獲得することでその優れたコンディションを証明しています(2017年3月にはアメリア アイランド コンクール デレガンスにも出品されている)。

出品物にはオーナーズマニュアル、ツールキット、日本とヨーロッパでの当時の写真のコピー、M1ブランドのオリジナルスーツケース、BMWクラシック認定を含むファイルが付属しているといい、コレクションとしては申し分ない内容を持つようですね。

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参照:RM Sotheby's

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