Image:BBS Motorsport
| BBSはレカロ、ブレンボ、ビルシュタインと並び、もっとも有名なパーツメーカーの一つでもある |
しかしながらBBSは現在に至るまで様々な部門を(倒産の都度)切り売りしている
さて、昨日は「レカロの破産申請」が大きな話題となっていますが、これに前後してBBSもドイツのロットヴァイル地方裁判所に破産手続きを申請したこと、そして同社は5月から給与の支払いを停止していたことが明らかに。
参考までに、BBSが倒産の申請を行うのは2007年、2011年、2020年、2023年に続く5回目で、直近の2023年の倒産時にはISHマネージメント・サービスがBBS(BBSオートモーティブ GmbH)を買収することで一時的に立ち直っており、しかし1年を待たずして破綻したということになりますね。
なお、昨年のBBSオートモーティブ買収時には(ISHマネージメント・サービスより)以下の通りの声明が出されています。
「私たちは、私たちと一緒にこの道を歩んできた人々を決して失望させません。私たちにとってドイツ最大のグローバルブランドの1つであるBBSブランドを決してあきらめません。私たちには計画があり、それを実行する決意があります」
ただしこの影響はさほど大きくないと見られている
レカロの倒産に関しては「レカロの代わりを見つけることが難しい」という理由から大きな問題となっているものの、このBBSについては「さほど影響はないだろう」と見られていて、その理由は「BBSは分割されて各地域で個別に活動しているから」。
どういうことかというと、今回破産を申請したBBSオートモーティブGmbH(ドイツ)とBBSアメリカ、BBSジャパンとの間に資本関係はなく、BBSオートモーティブGmbHが倒産してもBBSアメリカ、BBSジャパンは全く影響を(風評被害以外は)受けないわけですね。
実際のところ、BBSアメリカの社長、クレイグ・ドネリー氏は「このニュースは驚きだったが、米国事業は別のオーナー(KWオートモーティブ)のもとで行われており、米国のBBSは影響を受けず、当社はこの状況全体とは無関係である」とコメントしています。
一方のBBSジャパンについて触れておくと、BBSは1970年にドイツで創業されていますが、上述の通り2011年1月に一度倒産していて、このときはBBSのホイールを製造していたワシマイヤー株式会社(現在のBBSジャパン)の親会社である小野ホールディングスが”鋳造ホイール部門を除く”製造に関わる権利と商標権を取得しています。※しかし小野ホールディングスがその後まもなく経営破綻してしまい、前田工鐵傘下に吸収されて現在に至る
Stepping up the class with a set of white BBS. #BBS #quality #performance pic.twitter.com/X4HOTLJijM
— BBS Motorsport (@bbs_motorsport) October 6, 2015
そして重要なのは、2011年の経営破綻時に「鋳造部門とそれ以外とが分離している」ということで、鍛造ホイール部門は2011年の経営破綻の際に日本へと法人、生産拠点ともに移されているものの、鋳造ホイール部門はそれ以前の2007年の倒産の際にベルギーの会社へと売却され、さらに2015年にはこの会社が経営破綻して韓国のNice Crpo社が株式の大半を取得して再建を図っています(現在の状況は不明)。
こういった感じでBBSの運営元は国や製造方法によって「まったく別」となっていて、BBSとひとくちに言っても、様々な会社が様々な製法で製造しており、お互いに製品のやりとりはなく、よってこれが「今回のBBSオートモーティブGmbHの倒産の影響が最小限」と言われるゆえんです。
なお、F1はじめモータースポーツ用のホイールを製造する「BBSモータースポーツ」はBBSジャパンの100%子会社であり、よって今回の倒産がモータースポーツに及ぼす影響は「皆無」だと思われます。
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