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ボクが感じる「国産車ディーラー」と「輸入車ディーラー」との接客の違い。国産は刹那的、輸入車は長期的展望を持って接するように感じるが、そこにある背景とは

2023/07/07

ボクが感じる「国産車ディーラー」と「輸入車ディーラー」との接客の違い。国産は刹那的、輸入車は長期的展望を持って接するように感じるが、そこにある背景とは

| 両者の違いは市場環境、そして顧客の性質の差異によって生じた「自然発生的な」ものである可能性も否定できない |

いずれにしても、その環境に合わせて生存率を上げるための方法だと考えていいだろう

さて、最近ちょっと国産車を購入しようと思い、いくつかの国産車ディーラーを訪問しています。

そこでぼくが感じたのが「輸入車ディーラーとの(大きな)違い」ですが、もちろん十把一絡げに「国産車ディーラー」「輸入車ディーラー」を論じることはできず、そして国産車ディーラー、輸入車ディーラーのセールスパーソン(いわゆる営業マン)であっても人によって対応が異なるため、今回述べるのはあくまでも「ぼくが接した範囲」となります。

ぼくが考える国産車ディーラーはこんな感じ

まずはぼくが感じる国産車ディーラーについて触れてみると、現在の国産車ディーラーは大きくその店構えを変えつつあり、とくにマツダ、トヨタなどは一部で「非常にお金のかかった」高級感のある店舗を構築中(とくにマツダディーラーの変貌っぷりはスゴい)。

こういった対応については、「クルマを売る」というスタンスから「ブランドを売る」というスタンスへと移行しているからだと認識していますが、実際のところ国産車の価格も非常に高くなっており、従来のような店舗では「店構えと販売する商品(クルマ)とのミスマッチ」が生じてしまうという理由があるのかもしれませんね。

ただしこれらについては「変革の途上」にあり、まだまだ「高級型店舗」は少ないようで、そして全ての店舗をこういった高級バージョンへと転換するのはまず不可能だと思われ(店舗数も多く、敷地面積が狭いところもある)、今後どこまでトランスフォームが進むのかは興味のあるところです。

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なお、今回ぼくが取り上げたいのはセールスパーソンについて。

その対応というか営業手法というか方針にけっこう差があるなと感じた次第ですが(優劣を述べるわけではなく、単に市場環境の差異に起因するのだと思われる)、まず国産車ディーラーではけっこう女性の営業さんが多いという印象(とくにトヨタ)。

一方で輸入車の場合は女性の営業さんがほとんどいないと認識しており(ぼくの知る範囲だとルノーで一人だけ)、この差異が生じる理由は全くナゾ。

ちなみにぼくとしては営業さんが男性でも女性でも構わないのですが、女性の営業さんだと試乗の際にはちょっと緊張したりします(相手が警戒してないだろうか、と考えたりする)。

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参考までに、試乗については女性の営業さんが担当についてくれたとしても、その人ではなく男性の営業さんが代わりに乗ることがあり(女性の営業さんとの試乗において、過去に様々な問題があったと数カ所で聞いている)、ぼくとしてはそのほうがむしろ安心するというのが正直なところ。

国産車はやはり「対象となる顧客が多い」

ただ、ここでぼくが本題として述べたいのは営業さんの性別分布ではなく「販売手法」。

簡単に、そして言葉を選ばずに言うならば「国産車ディーラーは、来た客を捕まえる」、そして輸入車ディーラーは「見込み客を獲得し、囲い込む」という方針の違いがあるように思います。

たとえば国産車ディーラーの場合、ディーラーに行って、その時に買わなければ、もしくは強い購買の意志を示さなければアッサリとリリースされてしまい、その後は一切連絡がないことが大半です。

その淡白さたるや、こちらが「えっ・・・」と思うくらいであり、買わなければハイさよなら、という感じ。

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つまりはその顧客につき「買うか買わないか」の二択であり、「買わない」もしくは「買う可能性がない」と判断すればそこからは一切連絡しないとう潔さがあるもよう。

ちなみにランドクルーザー(ランクル300)発表時、ぼくは6件のトヨタディーラーを訪問し、当然ながら最初の頃は展示車も試乗車もなかったので、(来店時に記入するアンケートのようなものに記入して)「展示車か試乗車が来たら連絡して」と伝えたものの、ものの見事に1件たりとも連絡はなく、しかし後日そのディーラーの前を通ったりするとちゃんと展示車が置いてあったりして「なんだかなあ・・・」と思ったりしたわけですね。

おそらくランドクルーザーは引く手あまたであり、買うかどうかわからない人間の相手なんかしてらんないという感じなのだと思いますが、とにかく「今すぐに売上を作って成績を上げることが出来る場合以外は対応したくない」という意思も見て取れます。

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さらに言えば、昨今の「注文してから納車までに時間がかかる」車種の場合でも、そういった「売りたくない」雰囲気が(国産車ディーラーの場合)顕著であり、そういった車種の名を口にするだけでも「またコイツもか・・・」といった顔をされたりします(一日に何十回も「デイトナあります?」と聞かれるロレックスの正規販売店のスタッフのようなものかもしれない)。

つまり、国産車ディーラーの場合、「すぐに買う」「今ある在庫を買う」ということが前提にあるのかもしれません。

輸入車ディーラーは「客を育てる」

一方で輸入車ディーラーの場合は、訪問した際にはけっこう綿密なヒアリングがあるというか、雑談の中から様々な情報を収集し、その顧客の「カルテ」のようなものを作ろうとしているのだろうと感じる場合が多く、いうなれば「その客がすぐには買わない」ことを前提にしているようにも。

そのためにまずは情報収集から入り、その後ディーラーを後にしたとしても様々なイベントやキャンペーンの連絡を行ったりして再度来店する機会を設けたり、さらには試乗などを通じてそのクルマ、ひいてはブランドを知り、愛着を持つように”顧客を育てる”といった印象を持っています。

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そしてひたすら顧客を育て、機が熟して顧客が買う気になるのを”待つ”のが輸入車ディーラーの営業手法であるように感じているわけですね。

ただ、これは最初に呼べたように「優劣」の問題ではなく、市場環境に起因するものだと思われ、たとえば国産車の顧客だと「(そのクルマの)必要があって買う人」が多かったり、そして対象となる顧客が文字通り「掃いて捨てる」ほどいるのだと思われ、よって顧客を選別することが可能になるのだと思われます(その顧客を逃しても、またすぐ別の顧客がやって来る)。

あるいは、国産車ディーラーの場合、「生活必需品」を販売していると言い換えてもいいかもしれません。

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一方、輸入車の場合は、一般的に価格が高く、さらに趣味性が高いクルマも多いので、購入する層が(収入面で)限られ、かつ「今すぐにクルマを買う必要がない」人も多く、つまりは「生活必需品ではなく、むしろ不要なもの」を売っていると考えることもできます。

よって、輸入車ディーラーは限られた顧客を対象としており、自社の製品に興味を持ってせっかく来店した顧客を逃すことは販売の損失に直結し、よってその来客を「大事に」育てる必要があるのではないかと考えています。

ここが国産車ディーラーと輸入車ディーラーとの決定的な「差」だと考えていて、「必要なものを買いに来た不特定多数の人にモノを売る」場合、そして「不要なモノだけど、それに興味を持つ特定の人に販売する場合」との差異ということになるのかも。

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参考までにですが、以前にポルシェの偉い人が「そもそも、世界中探しても、ポルシェのクルマが”必要”な人なんか誰もいないんですよ」という衝撃発言をしたことがあり、しかしポルシェはその「必要でないモノ」を「必要なモノ」だと感じさせるプロダクトづくりを行ったり、さらには「ポルシェでないとダメ」と思わせるように日々研究や開発を行い、優れた製品を提供し続けている(そしてそれで売上を伸ばしている)わけですね。

ただし最近では輸入車と国産車との価格差が縮小している

こういった環境の差があるということを考慮すると、その売り方に差異が出てくるのも当然であり、販売状況を管理する側のツールについても、国産車の場合は「今すぐの売上を集計する」というものかもしれませんし、輸入車の場合は「どれだけの見込み客を獲得したか」なのかもしれません。

そして、そういった差があるからには現場の対応に違いが現れるのは至極当然であり、これがぼくが「優劣で語ることはできない」という理由です。

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ただ、現在国産車の価格はどんどん上がっており、中には輸入車と遜色ない、もしくはそれ以上のクルマもあり、さらに趣味性や性能においても輸入車を凌駕する国産車も存在するので、今後は国産車の売り方も少しづつ変化してゆく可能性もあり、販売現場もまたそれに合わせる必要が出てくるのかもしれません。


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