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新型シビック・タイプR(FL5)に試乗!発表から2日で3年分の受注が集まったのにも納得、このクルマに「買わない理由」を見出すことは非常に難しいだろう

新型シビック・タイプR(FL5)に試乗!発表から2日で3年分の受注が集まったのにも納得、このクルマに「買わない理由」を見出すことは非常に難しいだろう

| 「日本製」となったことで品質はもちろん、そのコンセプトに至っても原点回帰を果たしたようだ |

正直、ここまで高い完成度を誇るとは想像もしていなかった

さて、新型ホンダ・シビック・タイプRに試乗(残念ながら動画の撮影は禁止)。

新型ホンダ・シビック・タイプRは9月2日(金)に発売されているものの、その後の3日(土)、4日(日)の2日間でおよそ(全国で)3年分の受注が集まってしまい、現在ホンダ本社でも「どうするよ・・・」という話になっているもよう。

つまりは増産するか、増え続けるであろう受注を抱えながら継続生産するか、それとも数年分の生産という想定にて、生産可能台数を明確に示し、現在集めた受注含めて抽選にするかといった話が持たれていると言われます(ディーラー談)。

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ちなみに、ぼくがお世話になっておるホンダカーズでは、系列店(5店)合わせてすでに441台の受注があり、しかし月あたり8台しか回ってこないので、今注文しても、生産ペースが変わらなければ「55ヶ月」経たないと納車がなされない、ということに。

なお、納車待ちの列に並ぶには20万円の申込金を入れる必要がありますが(店舗によって異なると思う)、そして今後値上げが行われた場合、消費者はその値上げ分を負担せねばならず、しかしこれについても(納車までの待ち時間があまりに長いので)なんらかの救済措置が検討されている、という話も聞かれます。※おそらく、今後状況はコロコロ変わると思う

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新型シビック・タイプRはこんなクルマ

すでに新型シビック・タイプRについては、複数ディーラーにて展示車を見てきた様子を公開していますが、ここでおさらいしておくと、ベースとなる通常のシビックに比較すると「長く、広く、低く」なっていて、とくに全幅は+9センチ。

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そのため、公式フォトではあまりわからないものの、実車は相当に幅広く、かつ前後フェンダーが大きく盛り上がっているので「マッシブ」な印象があります。

複数の個体を見た印象だと、濃色車のほうがよりマッスルなクルマに見えるようですね(陰影や反射によってボディの起伏がよく分かる)。

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そして先代シビック・タイプR(FK8)に比較するとクリーンでスマートに見えますが、それは前後バンパーの「ダミー」ダクトがなくなったためであり、しかしこれによってむしろ実際のシビック・タイプRは「無駄を削ぎ落とした」という印象を受け、本物だけが持ちうるオーラを獲得したように思います。

つまり、オフィシャルフォトで見るシビック・タイプRと実際に見るシビック・タイプRではかなり印象が異なると感じたわけですが、もちろん実車の方がずいぶん美しく、力強く見えます(シビック・タイプRのように、写真写りの良くない、”損”なクルマもいくつか存在する)。

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さらに新型シビック・タイプRは「視覚的にわかる高性能」を持っているように思われ、その最たる例はエアフロー。

ここからこうエアを取り入れ、ここから抜けるといった風の流れのイメージ、そして取り入れたエアを無駄にしないためのガイド、さらには風の流れを途切れさせないためのパーツとパーツとの連続性など(とくにリアディフューザーはけっこう機能的な作りを持っている)。

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リアウイングのステーは「薄型」へ、そして肉抜きが施され、これによってウイングが「風を受ける」面積をより大きく取り、もちろん軽量化にも貢献しているということになりますが、こういった面を見ても「細かいところを、とことん効率化させてきたな」という印象を受けます。

ちなみに新型シビック・タイプRの生産は日本へと戻されていて、こういった細かい改良を見るに、開発段階から日本が担当しているのかもしれませんね(当初、アメリカのホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント=HPDが担当するという話もあった)。

そうだとすると、久しぶりの「日本企画」によるタイプRでもあり、タイプR初期、そして本来の姿へと戻り、原点回帰を果たしたのがこの新型シビック・タイプRということなのかもしれません。

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新型シビック・タイプRに乗ってみよう

そこでさっそく新型シビック・タイプRの試乗開始。

ドアを開けて目に入ってくるインテリアは非常に刺激的であり、大きなサポートを持つシートも視覚的インパクト大。

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ちなみにこのシートは(当然ながら)タイプR専用で、高いコーナリングGに耐えるべくフレームが強化され、クッションも高い反発力を持っている、とのこと。

ただ、サイズが結構大きいように思われ、もしかするとメインマーケットである北米の人々の体格を考慮した可能性もありそうですね。

そして、アジア人の体格も考慮したのか、座面先端はスプリット構造となっていて、これによって小柄な人でもペダル操作をしやすくなっているように思います(実際のところ、この構造を採用した意図はわからない)。

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そして足元は相当に広く、いわゆる「ダッシュ・トゥ・アクスル」つまりダッシュボードから前輪までの距離をかなり長く取っているもよう。

ペダルは小ぶりで、間隔はかなり広く、これは先日試乗したマセラティMC20の「超狭い」ペダル間隔とはまったく逆ではありますが(ミドシップカーはコクピットを前方に押しやるので、どうしてもフロントのホイールハウスに圧迫される形で足元が狭くなる)、実際に操作してみると全く違和感はなく、非常に自然なレイアウトだという印象。

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ペダルを踏み込み、ざっとシートを位置をあわせてステアリングコラム右側のスターターボタンを押してエンジンを始動させ、その後にミラーを調整し、各部の動作を確認していざスタート。

エンジン音や振動はかなり控えめで、最新のクルマらしい静粛性を持っています(外部との隔絶感がある)。

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新型シビック・タイプRのドライブフィールは?

実際に走り出して感じるのは「けっこう乗り心地がいい」ということで、これはアダプティブサスペンションの恩恵と言えるかもしれません。

初期の突き上げがマイルドであり、しかしストロークが少ないので姿勢変化が少なく、普段乗るにもまったく問題のない足回りを持っていると思いますが、(洗濯板のような)連続した不整路ではちょっとバタバタする場面もあるので、連続した細かい入力には十分に対応できないのかもしれません。

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ちなみにステアリングホイールの切りはじめの反応も比較的マイルドな設定を持っていて、しかしそこから切り込んで旋回してゆくと「ぐっと大きく曲がる」イメージです。

このあたり、同じFFホットハッチであっても、ミニJCWのように「最初からガクンと曲がる」というフィーリングでも、ルノー・メガーヌR.S.のように「切り始めから旋回中まで一定の感覚を維持しつつ曲がる」印象でもなく、シビック・タイプR独特の雰囲気を持っていますが、これについてはステアリングレシオに起因するのか、もしくはデュアルアクシス・ストラットサスペンションに起因するのかはちょっと不明。

ただ、そこに神経質さはなく、コントロールしやすいため、ぼくとしては非常にポジティブに感じた部分です。

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ブレーキについても「手前で効く」「奥の方で効く」というわけでもなく、踏み始めから踏み抜いたときまでしっかりと効くようで、これもまた街なかでの乗りやすさに貢献しており、神経質さが感じられず、かつ同乗者に気を使う場面もないだろう、という印象。

エキゾーストサウンドについては、街なかを走るレベルでは「一般のクルマと変わらない」レベルであり、室内に入る音も最小限。

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新型シビック・タイプRにはアクティブ・エキゾーストバルブ、アクティブサウンドコントロール=ASC)が備わりますが、これらの威力を感じるのは主に3000回転以上回したとき、もしくはドライブモードを「+R」に入れたときくらいで、しかしその場合でも(窓を開けてみても)さほど大きな音は車内に入ってこないので、車内で聞くサウンドはASCによるところが大きいのかもしれません。

ちなみにですが、ドライブモードで変化するのは「エンジン(スロットルレスポンス)」、ステアリングアシスト、サスペンション、エンジンサウンド、メーター表示、そしてレブマッチ。

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標準モードは「SPORT」、そして快適志向のCOMFORT、サーキット志向の+Rモード、さらには個別に各要素を設定できるINDIVIDUALとを備えますが、COMFORTとSPORTとの差はそこまで大きくなく(もともとシビック・タイプRは非常に快適なクルマでもある)、しかしSPORTと+Rとの差は結構大きく、視覚的なところだとメーター表示(+Rだと、その他モードでの円形メーターから、バーグラフ表示に切り替わる)、そしてハンドリングでは極端にずっしりとくるステアリングフィール、そしてダンピングが強化されたダンパーによって「Oh!」と思わされるわけですね。

なお、レブマッチはSPORT、+Rともに同じ設定のままですが、FK8では対応できなかった「2速と1速へのシフトダウン」にも応じるようになり、とくに3速から2速というパターンは街なかでも多用することになり、ついつい早めにシフトダウンしてくなってしまうことに(このときのサウンドはかなり刺激的でもある)。

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ちなみにクラッチは適度な重さを持っていて、ストロークはホンダの伝統に従って短め、そしてスパっとつながるという大変好ましいもの。

一定の踏力で操作できるので渋滞時にも負担にならず、またナーバスな印象もなく、エンジンのトルクも分厚いのでまずエンストの心配もなさそう。

エンジン(2リッター4気筒ターボ/330馬力)について触れておくと、相当にフレキシブル(最大トルクは2,600回転くらいから発生)という印象があり、ターボラグについては試乗中まったく気にならず、大排気量自然吸気エンジンのようなフィーリングを持っています。

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ボクは新型シビック・タイプRに試乗してこう思った

新型シビック・タイプRの全般的な印象としては、「トンガってないルックス」「広い室内」「乗り心地のいい足回り」「高い静粛性」「扱いやすいブレーキとクラッチ」「マイルドなステアリング特製」「トルクフルなエンジン」によって、タイプRといえども、プレミアムセダンのようにも使用できるという印象。

もしかするとこのあたりは「家族持ちにも乗って欲しい」というホンダのメッセージなのかもしれません(乗り心地や静粛性の面において、まずこのクルマで家族からクレームが出ることはないだろう)。

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ただ、その一方で「アクセルを踏み込んだり」「ステアリングホイールを切り込んだり」した際の挙動は紛れもないタイプRであり、+Rモードでは視覚や聴覚を刺激するホットなクルマに早変わり(ぼく的にはレブマッチのレスポンスに大変感銘を受けた)。

交通法規を遵守した中での試乗だったので限界性能を試すことはもちろんできませんでしたが、何と言っても「鈴鹿サーキット最速FFマシン」でもあり、そのスポーツ走行には折り紙付き(そして未だに、この鈴鹿最速マシンが、ここまで扱いやすく乗りやすく、そして快適であるという事実が信じられない)。

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新型シビック・タイプRは二面性(もしくはそれ以上の多面性)を持つクルマであり、そのキャラクターは扱い方やドライブモードによって容易に引き出し、また切り替えることができ、どんなシーンにでも、どんな要望にも、そしてどんなドライバーにでもフィットするという印象ですが、ここまでのクルマを500万円を切る価格で出してきたというのはまさに驚愕。

しかもタイプRはリセールが高いので、その観点からすると間違いなく経済的なクルマであり、ハンパなファミリーカーを買うよりも最終的にお金の節約になるため、家族に対する説得性も非常に高い、と考えています。

正直言うと、「買わない理由を見つけるほうが難しい」クルマであり、こんなクルマは久しぶりに見たな、というのが偽らざる心境です。

新型シビック・タイプRを見てきた際の動画はこちら

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