| 元祖ベルクスパイダーは重量384キロのヒルクライムマシン |
ここ最近のポルシェは急激に「レトロ」へと回帰しており、直近では「917コンセプト(これは市販されない)」、そして77台限定の「935」を発表済み。
さらにはル・マンで走る911のレーシングカーには「ロスマンズ」「ピンクピッグ」といった、馴染みの深いカラーリングを復活させています。
ポルシェはル・マンでもっとも多くの勝利を手にしたメーカーでもあり(近代のF1で活躍していないので、日本ではあまりレースイメージが強くない)、その他の栄光も数え切れないほど。
よって過去に活躍したレーシングカーを現代によみがえらせるのはお手の物といったところですが、今回は「まさかのまさか」ベルクスパイダー。
なんとポルシェ公式!あの917を現代に蘇らせた「917コンセプト」を突如発表。917の50周年にあわせてポルシェミュージアムで公開へ
ポルシェ”909”ベルクスパイダーはこんなクルマ
なお、「(909 Bergspyder)ベルクスパイダー」とはヒルクライムレースのために製作された超軽量シングルシーターレーサーで、重量は聞いてびっくりの384キロ(これはタイプミスではない)。
そして出力こそは275PSに留まるものの、パワーウエイトレシオはなんと1.39(フェラーリSF90ストラダーレよりも優れる数値)。
その後910/8ベルクスパイダーも登場したものの「後継モデル」は作られず、しかし今回ついにその名が蘇ったということになります。
ベルクスパイダーは935や917のように「耐久レース」を走ることを目的としておらず、ヒルクライムの「一発」にかけたという「ポルシェらしくない」クルマでもありますが、そこにぼくは花火のような「一瞬で燃え尽きる儚い夢」を見出していたわけですね。
ベースとなるのは「981」ボクスター
そして今回のベルクスパイダーのベースとなったのは2015年モデルの「981ボクスター」。
よって名称も「981ベルクスパイダー」となり、909ベルクスパイダー同様のカラーリングを採用しています。
ポルシェいわく981ベルクスパイダーで目指したのは「過激で、妥協のないクルマ」。
もともとの909ベルクスパイダーが過激極まりない、単独の目的のためにすべてを切り捨てたクルマだったのでそれも当然ですが、とにかく981ベルクスパイダーの登場には驚天動地といった印象を受けています。
もちろん車体はシングルシーターに改造され(カバーを取り付けただけではない)、フロントウインドウはなく小ぶりなスクリーンが取り付けられるのみ。
フロントバンパーやサイドのエアインテークは「ボクスター・スパイダー」と同じパーツを使用しているように見えますね。
その他シートもボクスター・スパイダーからの流用のように見えますが、ダッシュボードやシフトレバーまわりは大きく改装されてオリジナルデザインに。
この981ベルクスパイダーのエンジンはケイマンGT4の3.8リッター388HP仕様。
0−100キロ加速は4秒ちょっと、そしてニュルブルクリンクのラップタイムは7:30とのこと。
なお、メーターには「ZERO EMISSION」「CHARGE」の文字が見えますが、これはメーター類を918スパイダーから流用したからなのかも(メーター内の”918 Bergspyder”文字を張り替えたように見える)。
さらにポルシェは「ベルクスパイダー」の名に恥じぬよう重量をとことん削り、結果として981ベルクスパイダーの重量はなんと「1099キロ」に(981ボクスター・スパイダーの重量は1350キロ)。
今回の981ベルクスパイダーについては残念ながら「ワンオフ」。
ポルシェが910/8を中心としたベルクスパイダーの展示を行うにあたり発足したプロジェクトだそうですが、もし市販化されれば大きな反響を呼びそうですね。
この981ベルクスパイダーの実車は今年のゲイスベルク・ヒルクライムにて公開され(走行するかどうかはわからない)、その後ポルシェミュージアムに展示される、とのこと。