EV、NA、ターボは当然ながら出力特性が異なります。
たとえば、0-100キロ加速がいずれも同じ7秒だとした場合、ぼくの体感ではこんな感じ(もちろん排気量や加給圧によって異なるので、あくまでもイメージですが)。
ぼくが乗ってきた中だと、7秒前後ではレンジローバー・イヴォーク(2Lターボ+4WD)、ミニクーパーS(1.6Lターボ+FF)、BMW i3(EV+RR)、BMW Z3(NA+FR)がこの辺りですね。
EV(モーター)はいきなり最大トルクが発生するので、出だしが異常に力強く、急激に加速する印象があります。この「出だし」は予期するよりもずっと鋭い、と言って良いでしょう。
NAは回転数に応じてパワーが出るので、およそ予期できる加速ですね。
ターボは一瞬のラグがありますが、加給が始まると急激に加速力が伸びます。
ハイパワーなところだと、テスラ・モデルSはアクセルペダルを踏むと、予想を大きく超える加速力を発揮します。
そのため体感上は「メチャクチャ速い」のですが実際の0-100キロ加速は5.9秒。しかし体感上は3秒台前半じゃないかという錯覚が起きます。数字よりも感覚のほうが遥かに速く感じるということです。
ガヤルドはNAなので(V10、5.2リッター560馬力)、回転数に応じたトルクが生じます。
よって、アクセルペダルを踏んで回転数が上がるとともに加速感と速度が増すので、加速(0-100キロ加速は3.7秒)と体感が比例するわけです。
数字と感覚が一致している、と言って良いでしょう。
これがマクラーレンMP4-12Cだとツインターボ(3.8L、600馬力)で、踏み始めはさほど加速感はありませんが、加給が始まると加速感がJカーブを描いて増して行き、このまま飛ぶんじゃないかというくらいの体感上の加速を感じます。
これも感覚のほうが実際の数字(0-100キロ加速は3.1秒)より上という感じですが、この「感覚と実際の数字との乖離」はEVのほうがずっと大きいと感じます。
そそれぞれの動力源の特性があって面白いですが、「予期した以上」の加速考えられるのはターボとEVであり、加速感が続く(増す)のはターボといったところです。
ポルシェ918スパイダーはEVの急激なトルクとNAのリニアな加速を合体させたものになりますが、今後はこういった「モーターとガソリンエンジンの特性を組み合わせた」ものも増えてきそうで、その方法も多岐にわたりそうです。
出だしのみにモーターを使うものや、走行時のアシストを行うもの、加速時に一気にパワーを放出するものなど。
EV、ハイブリッド技術というと「省燃費」という印象が強いですが、今後は「速く走る」ためにそれらが採用される機会が増えるのかもしれません。