｜ デザインは時代とともに変化すべき ｜
メルセデス・ベンツ、BMWが「よりデザインをシンプルにする」と同じように発言。
BMWについてはチーフデザイナーであるエイドリアン・ファン・ホイーイドンク氏が「現代では競争がより厳しくなっている。そして世界は変わり、その変化の速度も速い。よって我々のデザインも変化する必要がある。今はよりクリーンに、より少ないラインで構成されたデザインが必要だ」とのこと。
メルセデス・ベンツは新型CLS、Aクラスから新デザインを採用
メルセデス・ベンツについてはダイムラー会長であるディーター・ツェッツェ氏がAutomotive Newsに語った内容として報じられ、最新モデルであるCLSそしてAクラスから「ミニマリスト・エクステリア」を採用し始めている（たしかにテールランプあたりはかなりスムーズなデザインを持っている）、とのこと。
これまではシャープでアグレッシブなラインを用いていたものが、より丸く、よりシンプルになるということで、「フェンダーが盛り上がったり」という抑揚も今後は減ってゆくものと思われます。
一方でアウディはボディラインの「凹凸」をより強く見せることでシャープさを押し出していますが、これとは真逆の方法をメルセデス・ベンツは採用するということになりますね。
たしかに同じ「EV専用ブランド」といえどもメルセデス・ベンツ「EQ」はかなりツルンとしたイメージを持っており、
しかし一方のアウディe-tronはかなりカクカクした、そして複雑なデザインを持つことに。
さらにディーター・ツェッツェ氏は「今後発売されるモデルは、さらにこの傾向が顕著になる」としていて、メルセデス・ベンツのチーフデザイナー、ゴードン・ワグナー氏も「先代Aクラスをデザインした時は、シャープで強いイメージを出し、人々の注意を引く必要があった。しかし時代は変わった。今は可能な限りラインをそぎ落とさなくてはならない」とも。
スマートフォンの登場がすべてを変えた？
なお、ミニの新しいデザイナーも以前同じように語って要るのが印象的で、「我々は常に先を見なければならない」とし、子供のころからスマートフォンに慣れ親しんだ層が将来の主要購買層になることを考えると、「車のデザインはスマートフォンのようになるべきだ」とも。
フォルクスワーゲンも同様に「アップル製品を目指す」としていますが、実際に同社のEVシリーズ「I.D.」はツルンとしたデザインを持っていますね。
ミニが拡大戦略を見直し。当面は現行モデルに集中しデザインを強化の意向
VWがEVシリーズに言及。「デザインはアップル製品のように」「ジュネーブでサプライズある」
たしかにこれには一理あるものの、現代においてスマホは「生活必需品」、そして自動車は「そうではない」ということを考えると、自動車とスマートフォンを同列に語っていいのか、という疑問も。
生活必需品ではなく、そのそも「不要な」もの（自動車）を消費者に買わせるにあたって、スマートフォンのような「無味無臭」なデザインで消費者の財布の紐を緩めることができるのかと考えるわけです。
↓ぼくはどうしてもこれを欲しいとは思えない
生活に不要なもの、つまり嗜好品と言い換えてもいいかもしれませんが、そういった「そもそも要らないもの」を買わせるには「どうしても欲しい」と思わせるデザインが必要で、それは「目立たない」ではなく「目立つ」デザインを逆に採用したほうがいいのでは、とも考えるのですね（ただ実際のところの正解はわからない）。
なおポルシェについては（ずっと前ですが）、「我々の製品はどれも生活に必要なものではなない」と語っており、しかし必要でないものにどうやってお金を払わせるかを考えた製品づくりをしており、それが現在自動車業界における「最高」の営業利益率を誇る会社へと成長させ、「1台売って215万円」の利益を稼ぎ出す会社にまで押し上げたのだろう、と考えています。
ちなみに、シンプルだから味気ないというわけではなく、ホンダの「アーバンEVコンセプト」はシンプルですが（ぼくにとって）欲しいと思わせるデザインであり、これからの自動車というのはデザイナーの技量がこれまで以上に問われる製品になるのかもしれません（自動車が性能ではなくデザインで選ばれる時代になったのは間違いない）。
