| BMWは過去にも京都とのタイアップを行っている |
BMWジャパンが日本国内向けとして、3台限定にて「8シリーズ グランクーペ京都エディション」を発表。
これはBMWのパーソナリゼーション部門、「BMW インディビデュアル マニファクチュール」と日本が誇る匠の技とを融合させた特別仕様車で、ボディカラーには特別色が採用され、インテリアの一部には蒔絵螺鈿細工が施されていることが特徴です。
なお、価格は2150万円に設定されているので、ベースとなる「M850i xDriveグランクーペ」の1723万円に比較し、427万円高価な設定となっています。
BMW 8シリーズ グランクーペ京都エディションはこんなクルマ
まず、その外装色には特別色として「アズライト・ブラック」が採用。
BMWによると、アズライト=藍銅鉱は日本の伝統絵画に広く用いられた高貴な色である、とのこと。
キドニーグリル、そしてウインドウモールはクローム仕上げです。
その真髄はインテリアにある
インテリアカラーは「アイボリー・ホワイトとタルトゥーフォーとのコンビ」で、レザーはMモデルに使用されるメリノレザー。
この「メリノレザー」はBMWが自社にて独自に用いている呼称であり、その詳細は明かされていません。
ちなみにBMWでは「ダコタ・レザー」「ナッパ・レザー」「メリノ・レザー」の順に高級になりますが、つまりメリノ・レザーは最高級ということですね。
なお、ダコタ・レザーは「レザー」とはいってもシボ加工が施されて厚みのある樹脂が塗られており、よって通気性や伸縮性もないので「合皮」と結果的に変わらないレベル(素材が天然皮革というだけで、皮革の良さは残っていない)。
参考までに、ナッパ・レザーはBMW独自の呼称ではなく、「ナパ地方(カリフォルニア)で加工されたレザー」のことで、柔らかさが特徴。
メリノ・レザーは革の風合いをそのまま活かしているのが特徴ですが、言い換えればシボ加工が不要なほどキメが整っていて傷が少ないということになります(インディビデュアル・マニファクチュール、もしくはMモデルでしか選べない)。
なお、皮革の産地は南ドイツだとされていますね(蚊にさされた跡が残らないよう、高地にて大切に牛が育てられているというウワサがある)。
さらに、この限定モデルにおいては、ステアリングコラムやフロントシートの台座を「ラインオフ後に職人が手作業でレザーで覆う」という徹底ぶりも見せています。
そしてこのグランクーペ京都エディション最大の特徴は「センターコンソール」。
ここには漆芸家である岡田紫峰氏が手掛ける漆塗り蒔絵螺鈿細工が施され、これはBMWのスローガンでもある「駆けぬける歓び」をモチーフにデザインされた、と紹介されています。
なお、BMWによれば、漆について下記のように述べています。
漆は16世紀にヨーロッパに渡り、当時深い黒の塗料がなかった西欧において、その艶やかな光沢は瞬く間に貴族など特権階級の心を魅了した。最終的にドイツで漆にインスパイアされた黒い塗料”ラッカー”を開発することに成功、それがまずはピアノに塗られ、現在BMWの高級インテリア・トリムに用いられているピアノ・ブラックに繋がる、日欧の歴史を感じさせるコラボレーションとなっている。
BMW
そしてこちらは蒔絵螺鈿細工が施される専用キー・トレイ(ありがたすぎてとても使用できなさそう)。
さらには老舗西陣織メーカー、株式会社加納幸とアルカンターラとの共同作業により、「アルカンターラを細い線状に裁断したものを上質な絹糸を使って西陣織の伝統技術で織り込んだ、全く新しい斬新なデザインと質感のクッション」も装備されています。
岡田紫峰(おかだしほう)氏はこんな人物
今回、8シリーズ グランクーペ京都エディションのセンターコンソールに施された蒔絵螺鈿細工を担当したは岡田紫峰氏について、BMWは下記の通り説明を行っています。
今回の8シリーズ グランクーペ京都エディションはかなり高価なクルマではありますが、その希少価値、芸術性を鑑みるに、けして「高い」クルマではなさそうですね。
京都を代表する漆芸家である。明治神宮、ボストン美術館など、国内外からの制作依頼のほか、国宝の修復なども手掛けている。さらに、シャネルとのコラボレーション・ファイン・ジュエリー制作も行うなど、世界で認められる最高峰の技術と一切妥協しない一貫した「こだわり」を持つ。
BMW
参照:BMW JAPAN